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あなたは、いくつ”Design Mindset”がありますか?

ある日、隣に座っていたwevoxのデザイナー木下と「僕らがいつも気をつけていることって何だっけ?」と雑談しながらパパっと言葉を書き出していました。
なぜ出したかというと、若手デザイナーが2人いて同じことを別々に伝えていて、まとめたらモレなくダブりなく伝えられるよね。という気づきがキッカケで、会話しながら言語化し多少のブラッシュアップをした後、バージョン1として社内のデザイナー陣に共有しました。
それが全部で10個にまとめ上げた「Atrae Design Mindset」です。

言語化したのはたった数十分でしたが、noteにするのに半年かかりました😅
それでは、1つずつ紹介していきます。

現地現物

「机の上や頭の中だけで考えたり判断するのではなく、実際に現場に足を運び、現場の事実に基づいて考える。 問題を解決し、困難を乗り越えるための答えは、必ず現場にある。」というのがトヨタ社の考え方です。リスペクトでそのまま使ってます。
なぜなのか、どのように使われているのか、実際に体験してみたらどうなのか、感覚は?感情は?と事実を把握し探求することがアイデアを考える源泉になると考えています。また、プロトタイピングでもユーザーの利用シーンで試してみたり、紙の広告や冊子の場合は、必ず実寸サイズでプリントしたりして、空想や妄想ではなく、五感を使って感じることで、細部にまで気づくことがたくさんあります。

とにかく最初に幅を出せ

いろんな可能性を模索するのに、物事が決まってからでは可能性の幅を広げることはできません。物事が進んでから幅を広げようとすると、決定事項が制約となって幅を広げるのが難しくなります。
最初だからこそ、360度全方向でいろんな可能性を模索でき、ワクワクするような突拍子もないアイデアが出せるのです。そうやって真逆も含めた全方向で考えることで、「やっぱりこっちの方向ではないな。」「こっちの可能性ってありえるね。」と見えていなかったことがわかったり、確証を得たりしながら、プロダクトやサービスが進む方向の輪郭がわかってきます。
濱口秀司さんは「コンセプトや戦略、0から1をつくる最初のところは、なにをやってもいいんです。つまり自由度が高い。」と仰ってます。

エッジを立てろ

「角度のある問い」や「エッジのきいたコンセプト」など、エッジがあることでユーザーに深く刺さりますし、積み上げでは作れないクリエイティブジャンプできる可能性が上がります。しかも、エッジがあればあっただけクリエイティブジャンプは遠くまで行けます。いろんな可能性を広げられるので、いかにしてエッジのきいたコンセプトをひねり出すことが最初のクリエイティブなところであり、このエッジの角度で成果が決まってしまう部分もあると思っています。

アウトプットは議論の材料

プロトタイプやモック、図解などのアウトプットは、デザイナーとエンジニア、開発チームとカスタマーサクセスチーム、上司と部下、などいろんな役割同士のハブになります。アウトプットを中心に対話や議論をすることで、個々の認識が合ったり、違和感を共有したり、新たなアイデアが出てきたりします。言葉だけでは議論は空中戦になりがちですが、パッと図解でもUIでもデザイナーがアウトプットすることで対話や議論を誘発することができるのです。そう捉えるとアウトプットは100%完璧なモノでなくても議論の呼び水になればいいとも思うのです。

批判は磨く種

前述したアウトプットで議論がうまれると、時には他者からのいろんな批判や指摘をされることがあります。やっぱり批判はデザイナーにとって辛く、ネガティブになってしまったりで、聞きたくないものです。しかし、「この批判は良くする為の種である。」「もっと良くできる箇所を教えてくれた。」と捉えられると、少し受け止めやすくなりますし、カイゼンして課題を乗り越えられるとアウトプットのクオリティも耐久性もグッと上げられます。どんな時もピクサーのブレイントラストだ。というイメージですね。

質は磨いた回数

プロトタイピングなどカイゼンを繰り返しアウトプットすると、その度に新たな気づきがもらえます。今までわからなかった未知の発見があったり、改善したことがうまくできているか確認できたり、繰り返すことでアウトプットのクオリティは上がっていきます。最初のアウトプットで一発OKは、ほぼないと思います。フィードバックやリフレクションしながら、カイゼンを繰り返すことでクオリティが上がっていくので、質は回数に比例すると言えます。(過去にリフレクション力のnoteを書いていますので参考になれば)

構造が表層を支配している

UIデザインは、構造が重要と言われています。情報・構造設計がうまくいっていなくて、見た目だけ変えてもうまくいかない失敗を経験してきていますし、逆に構造から見直して改善して良くなったと手応えを感じたこともあります。そんな経験もありますし、広告デザインやマーケティングなど他のことも思い返すと、情報・構造設計が要になっていると気づきました。
ただ、構造は無機質です。構造だけではヒトの原動力の心を揺さぶることはできないので、表層もとても大事です。それが次のマインドセットに繋がってきます。

心を揺さぶる

理論ではなく直感で心を掴むと、ヒトはつい行動してしまいますし、サービスやプロダクトを愛してくれて長く利用してくれます。そんな愛してくれるユーザーはファンといえますし、ファンは自発的に他者に紹介してくれて、サービスやプロダクトの可能性を押し広げてくれる存在になってくれます。
ユーザーに届けたいコンセプトになっているか、それに共感できる表現ができているか、愛される体験になっているか。心を揺さぶるのを意識し続ける必要があると思っています。アメリカのスタートアップでも”MVPではなくMimimum Lovable Productを”ということが2014年から言われています。

自分を融かす

デザインはアートと違って主張するものではありません。特にUIは、「意識しないで使えるのが良いUI」と言われています。「融けるデザイン」では、ハードウェア・ソフトウェア・インターネットが融け合うという話がありますが、さらにデザイナーという作り手の自分たちがユーザーから見て存在しないように融かす必要もあるのでは。という考えで、自問自答できるように最後に入れました。

倫理観が伴う

UXデザインを学びはじめた頃、ある空港での出来事で、ユーザーの知り得ない所で着陸してから預けた荷物を取りに行く道を長くすることで、荷物を降ろし受取場に運ぶまでの時間を稼ぎ、旅行者の待ち時間を減らすという事例を使って、倫理観を問われたことがあります。

体験を設計することができるようになるのは、ユーザーの知り得ない所で意図的に良くも悪くもできる為、誠実にデザインする姿勢や倫理観が問われる。倫理観は常に持ち続けるべきマインドセットなので、中心にあるべきものと言えます。


3つずつを始中後の3つに分類できる

10個と多いのですが、時系列に並べてみると、最後を除く9つが3つずつの塊にできて、それぞれがデザインフェーズの最初、最中、最後と分類できたので、その順序に決めてみました。最後の「倫理観」はこのサイクルの中心に置いています。

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「Design Mindset」はデザイナーだけのものか?

Designer Mindsetではなく、Design Mindsetにしたのには理由があります。それは、デザインは、見た目だけの話ではなく構想設計も意味が含まれていて、デザイナーだけが独占していいものではありません。みんながデザインしていいのです。また、エンジニアもカスタマーサクセスも営業もマーケターも創造的な業務がある職種の方にも共通していえることなのではないか。とも思います。

このDesign Mindsetをキッカケに、みなさんが大切にしているMindsetを書き出してみて、今一度自分にインストールしてみてはいかがでしょうか。
そして、デザイナーはもちろんのこと、モノづくりコトづくりに関わる人にとって、無意識にこのMindesetが在る状態にまで昇華できると良いですね!

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まだまだ洗練できると思うのでこれからも常に考えながらアップデートを重ねていきたいと思います。



ちなみに、Mindset以外も洗い出してみよう、整理してみようと思った方は、ぜひ、こちらも読んでみてください。


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