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【映画レビュー】南北間のスリリングな諜報戦【黒金星と呼ばれた男】

スパイ映画というと、ミッションインポッシブルや007といった娯楽的な映画がイメージされやすいですが、一方で潜入して地道に情報を得たりする系の、まあ地味ともいえる作品はあまり連想されにくいかと思います。

しかし今作「黒金星と呼ばれた男(原題:공작、工作)」は韓国映画であり、実際に起こったことを題材としているというだけあって、一見地味な活動の映画のように見えてスリリングな展開があり、真に迫った雰囲気の映画でした。

舞台は1992年の韓国。韓国軍の情報部隊に所属しているパクソギョンが国家安全企画部の部長より、コードネーム「黒金星(ブラック・ヴィーナス)」として北朝鮮に潜入しろという命令を受けます。

当時、北朝鮮は冷戦の崩壊という国家存亡の危機に対して核開発で乗り切ろうという動きが始まっていました。その実態はどうなっているのかと探れというものです。

名前、素性をすべて変え、韓国の新興事業家に扮したパクは、3年かけて工作を行い、中国の東北部に飛んで北の対外事業部に接触。

北朝鮮の対外交渉を担うリ所長から信頼を得て、北朝鮮への訪問を実現。権力者である金正日との謁見まで行えるほど潜入に成功しました。

が、しかしひょんなことから南の安企部と北との間で裏取引が行われることを知り、パクは葛藤することに…

というのが大体のあらすじです。

朝鮮戦争後、休戦という形で南北は戦争こそしなかったものの、この映画内のような諜報戦が繰り広げられてきたという事実がとても衝撃的でした。

現在、南北間での緊張緩和や一触即発の動きがある中、考えさせられるものがあります。

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