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【特選映画】Amazon prime、Netflixで楽しむフランス・アニメーション映画①

Amazon primeやNetflixで、ほぼ毎日のように、アニメコンテンツが、追加されていますが、その中に、フランスのアニメーション映画もたまに存在します。スタジオジブリによる貢献も、大きいのかもしれません。

  追加されるものの多くは、"カンヌのアニメ版 "アヌシー国際アニメーション映画祭の候補作など、現実世界を意識した、哲学的要素も含んだ、大人もしっかり味わえる作品になっています。

今回は、その中から、個人的におすすめの作品をいくつか挙げたいと思います。


『イリュージョニスト』(2010)



『イリュージョニスト』は、『ベルヴィル・ランデブー』のシルヴァン・ショメ監督が、『プレイタイム』『ぼくの伯父さん』のジャック・タチ監督の遺稿を脚色して、アニメーション映画として完成させた作品です。

  ジャック・タチ作品に登場する、監督自ら演じるのユロ氏がアニメーションで見事に甦っています。

  主人公のタチシェフは、タチの本名ですし、映画の中の劇場で、『ぼくの伯父さん』の一コマが写しだされるなど、ジャック・タチ監督へのオマージュに、溢れています。

 そして、何と言っても、手品師のタチシェフ氏を魔法使いと思いこみ、勝手に付いてきた少女に対する無償の愛(娘への愛)が、時代遅れの老手品師の哀愁を感じさせる場面を挟みながら描かれているため、より一層、観るものの心に染み渡ります。

  さらに、ジャック・タチ監督の真骨頂である、すれ違いの美学が、随所にしっかりと表現されており、特に、ウサギを優しく放つ場面を含めた、タチシェフの去り際が、綺麗に描かれています。

 また、最後に、ソフィア・タチシェフに捧ぐとありますが、この作品は、元々、ジャック・タチ監督が、映画制作者であった娘ソフィアに遺したもので、ジャック・タチ監督の娘への愛情から生まれた作品であることが想像できます。

※現在、Amazon prime video プライム会員特典で視聴できます。



『失くした体』(2019)


  本作は、Netflixが世界配信するフランスのアニメーション映画です。カンヌ国際映画の国際批評家週間で賞を獲得し、またアカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされました。

 この映画の原作小説の作者は、『アメリ』の脚本を担当したギョーム・ローランで、本作でもジェレミー・クラパン監督と共同で脚本のクレジットがされています。

 特に、この作品ですばらしい点は、作品のテーマにも重なる、見る側の感覚を刺激するような、効果的な映像や音楽の配置がなされている点です。

 また、脚本が良く練られていて、抽象的で、哲学的で、寓話的なストーリーが緻密に、展開されています。

 原題は、『Happy Hand』で、孤独な運命を背負った青年が、身体を通して、新しい世界と邂逅する過程が描かれています。

※現在、Netflixで視聴できます。

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『スーサイド・ショップ』(2012)



 『スーサイド・ショップ』は、生きる希望を持てない多くの人々が住む街で、代々、自殺用品店を営む一家に、心から笑うことのできる男の子が生まれたことから、巻き起こる騒動を描いた、ミュージカル・ブラック・コメディーです。

何と、『仕立て屋の恋』『イヴォンヌの香り』のパトリス・ルコント監督による、アニメーション映画作品です。パトリス・ルコント監督は、映画監督の前に、漫画家としてキャリアをスタートさせていた過去があるそうです。

『髪結いの亭主』などと同じように、一見シュールに見えるストーリーの中にも、母親のルクレスや息子のアランのミシマに対する愛情や、アランによって徐々に芽生える生への歓喜など、心を動かすシーンがいくつもあります。また、特に、息子アランの笑顔が、ミシマを苦しめる描写からも、この作品が単なる娯楽作ではないことが分かるかと思います。

※現在、Amazon prime video プライム会員特典で視聴できます。



『アヴリルと奇妙な世界』


 

『アヴリルと奇妙な世界』は、アヌシー国際アニメーション映画祭のグランプリとセザール賞(長編アニメ部門)を獲得した作品です。

この作品は、現在の歴史とは、異なるディストピアのパリを描いた作品で、科学第一主義や科学万能主義を批判した内容になっています。

こちらも、フランス映画らしくシニカルで、大人も楽しむことのできる壮大なSFアドベンチャーになっています。また、ラストのオチもセンスが良いですよね。

※現在、Amazon prime video プライム会員特典で視聴できます。

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