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【第6話】生きたまま焼く? 火葬場の噂、驚愕の真相を元職員が暴く!【下駄華緒の弔い人奇譚】


――第6話――

今回は、ネット上など様々なところで噂されている都市伝説的な話の『嘘』を暴いていこうと思います。

まず、体の悪い部分が火葬した後に黒く残る、という話。
これは嘘です。火葬場職員自身も信じ切ってしまっている場合もありますが全く根拠のないデマです。
黒い部分は悪いところ説の発端は不明ですが、一つの話として昔、まだ火葬技術が発達しておらず野焼きで火葬していた時代は完全に綺麗に骨だけになるまで火葬する、というのが難しく、よく焼け残っていたそうです。その焼け残りを誤魔化すために「ここは体の悪い部分」と言っていたのではないか? という説があります。

現代では大抵、一緒に入れたおにぎりやおまんじゅうなどの食べ物、その他諸々の原因で骨に黒く色が移っている要因が殆どです。

ぼくの体験としては、火葬が終わってお骨上げの時、焼骨のお腹のあたりにおにぎりが黒く炭になったカスがあったんです。それを見るや否や「ああ…胃癌だったから黒く残ってるんだ…」と、焼けたおにぎりのカスを見ながら喪主の男性が言っていました。なので、丁寧に説明しておきました。


「火葬場では稀に生きた人を焼いてしまうことがある」というトンデモ話もネット上ではまことしやかに囁かれています。その証拠として、火葬中に「あああぁぁ!」と中から叫び声がするが、もう助からないので放っておくことがある、という内容です。
火葬場職員を人殺しのように流布しているのは悲しい事です。

まず、亡くなった方は死亡後24時間経たないと火葬できません。
さらに棺に入れているドライアイス。このドライアイスの威力はものすごくて数時間も経つと体に触れている部分がカチンコチンに固まります。即ち、仮に生きていたとしても死亡するレベルです。
そして、火葬中に叫び声が聞こえる、という部分ですが、あり得ません。
何故かというと、火葬の火は物凄い勢いでして、それに伴い「ゴー!」という物凄い轟音を響かせます。隣の人と話す時にも耳元で大声で話すレベルです。そんな状態で、火葬炉の中の、さらに棺の中の声なんて聞こえる事はありません。


――ですが、本当の事もあります。
実は、亡くなって火葬するまでの間の遺体は、稀に「オォォォ…」と唸ったり、イビキをかいたりする事があります。
びっくりして救急車を呼ぶ、なんてこともあるとかないとか……。

これは、亡くなった後に、体のガスなどが口から漏れる事により起こる現象です。稀に、結構な大きな声で「オオォオ!」と声が出る事があるみたいで、お通夜で一人で番をする人はさぞかしびっくりしただろうと思います……。


著者紹介

下駄華緒 (げた・はなお)
2018年、バンド「ぼくたちのいるところ。」のベーシストとしてユニバーサルミュージックよりデビュー。前職の火葬場職員、葬儀屋の経験を生かし怪談師としても全国を駆け回る。怪談最恐戦2019怪談最恐位。

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