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増ページした怪談社ベスト版『怪談社THE BEST邪の章』 傑作にあらたなエピソードを加筆+27話の書き下ろし

めくるめく恐怖が溢れ出す増ページ!
あらたなエピソードを加筆した傑作+27話の書き下ろし

怪談社THEBEST邪の章(帯つき)

あらすじ・内容

怪談社の糸柳寿昭と上間月貴は心霊番組「怪談のシーハナ聞かせてよ。」レギュラー出演をはじめ、怪談ライブ、YouTubeなどでも大活躍。
「怪談社」十干シリーズから傑作を選び出し、新たなエピソードを加筆。さらに新作27話も書き下ろした。

・心霊スポットにあった地蔵の首を蹴り落とすと子供の声が…「首塚の話
・井戸の水を抜いてみると大量の位牌が見つかった!「床下の井戸
・住宅街の電柱の陰からヘイトスピーチを叫んでいる老婆。半裸の男性や手首が傷だらけの女性などが集まってくるという…「真夜中の少女

洪水のように溢れ出す恐怖を余すところなく増ページして全58話を掲載したベスト版第2弾。
怪談サブスクで怪談ジャンキーが出来上がり!

著者コメント

心の闇を反映するかのように怪異談は数多く生まれ続けております。とり憑かれている如き登場人物たちと、怪しき世界を共有して、己の「邪」を感じとり愉しんでくださいませ。その穢れこそが人の世の理なのですから。

試し読み1話

「床下の井戸」

岐阜県に住んでいるAさんから数年前に聞いた話である。
Aさんの実家には「開かずの間」があった。
むかしは普通に入れた部屋で、亡くなった曽おばあさんが使っていたらしい。
曽おばあさんが亡くなってから、その部屋で眠ると金縛りにあい、影のようなものを視たりしたそうだ。すこし入るだけでも気分や体調が悪くなることもあったので、おじいさんが扉を閉めて「開かずの間」にした。
怪談奇談の類が好きだったAさんは、ある怪談師に実家のことを話した。
怪談師は床下を調べてみるようにと助言した。
フタを閉じた井戸が放置されているかもしれない、そこからガスがでていることがある、フタのあいだから漏れたガスが部屋に昇ってきて身体にさまざまな影響を与えているかも、と教えた。
現実的すぎる助言だったが、Aさんは指示に従って開かずの間の床下を調べた。
畳と床板をめくると、本当に井戸が部屋の真下で見つかった。床板を開けた途端、吐き気を催すようなニオイが広がる。
いままでの奇怪な出来事の原因はこれだったんだと、Aさんは確信した。

工務店に連絡をすると、専門の業者を紹介してもらうことになった。
井戸には神さまがいるらしく、埋め立ての前には儀式をするものらしい。
近くの神主を呼んで、儀式を終わらせ、埋め立て作業の準備に入った。
これで問題は解決だ、使用できなかった部屋がひとつ使えるようになったとAさんもAさんの家族も喜んだ。
埋め立て前の儀式が終わり、汚水となってしまった井戸の水をポンプで汲みあげていく。
空にした井戸から、妙なものが大量に発見された。
大量の位牌だった。
すべて腐っていたが、なかには字がまだ読めるものもある。
これにはさすがに業者もAさんも震えあがった。ほとんど分解しているものもあったが、数えてみると五十以上もあった。それらの位牌は、いままでずっと井戸に沈んでいたことになるのだ。
気味悪がった業者は、工事を止めるか否かを聞いてきた。
Aさんは考えて、埋め立てを続行するように頼んだ。

これがAさんの家が、原因不明の火事で全焼する前日の出来事である。

―了―

🎬人気怪談師が収録話を朗読!

著者紹介

伊計翼  (いけい・たすく)

怪談イベント団体「怪談社」の書記として怪談師が取材する怪談を記録している。著書に『怪談社THE BEST 天の章』、『怪談社』十干シリーズ、『怪談社書記録 赤ちゃんはどこからくるの?』『怪談与太話』『魔刻百物語』『あやかし百物語』『恐國百物語』『怪談社RECORD 黄之章』『怪談師の証 呪印』『怪談社書記録 闇語り』ほか多数。

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