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❖足元美術館Ⅶ(自然が平然と行う異色との融合こそ、人為が目指す姿)❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2022年2月27日)

(長さも中身もバラバラ、日々スマホメモに綴る単なる素材、支離滅裂もご容赦を)

◆足元美術館Ⅶ(自然が平然と行う異色との融合こそ、人為が目指す姿)◆
日中の日当たりの良い場所は多少暖かさを感じるようになってきた。昨日も散歩をしながら、春の訪れを探していた。

すると、通りかかった公園に現代アートが展示されていた。それは異色の要素を融合させた作品で、一つは「老い」「色褪せ」ではあるが「成熟」を特徴とし、もう一つは「若さ」「色づき」ゆえの「成長」を特徴としていて、その一見すると相反する要素が絶妙に組み合わさって「一つの秩序」を作り出していた。

「多文化共生」「異文化理解」

その在り方が展示作品では端的に表現されている。成熟した切り株に、これから様々な成長の可能性を秘めた若木が、まるで「接ぎ木」されたように繋がっている。異なる要素が繋がり融合して一つになっているその姿に、内村鑑三の言葉が思い起こされた。

「武士道に接ぎ木されたるキリスト教」

一見すると異なる精神が、対立することなく、むしろ一方が他方を支える土台となって、生命活動を成立させている。内村鑑三の中には「多文化共生」「異文化理解」という絶対的な原理があったと考えられる。だからこそ、国際社会で当時起こっていた日露戦争をはじめ戦争一般に対して明確に反対の意思表明をしたのではないだろうか。

「私は今は非戦主義者であります。かつては、オリバー・クロムウェルを私の理想に最も近き人として仰ぎし私は今や、戦争の罪悪と害毒を唱えて止まざる者であります。 私は、戦争は、キリスト降世二千年後の今日、文明国の間に在るべからざるものと信ずるものであります。それゆえに、私は日露戦争に最初から反対しました。私は第一に宗教、倫理、道徳の上から反対しました。第二に、両国の利益の上から反対しました。第三に、日本国の国是の上から反対しました。而して、徹頭徹尾、反対を表しましたこの戦争に対して、私は、何の熱心をも注ぐことはできませんでした。」

「戦争は戦争のために戦はれるのでありまして、平和のために戦争などとはかつて一回もあったことはありません。日清戦争はその名は東洋平和のためでありました。然るにこの戦争はさらに大なる日露戦争を産みました。日露戦争もまたその名は東洋平和のためでありました。然しこれまたさらにさらに大なる東洋平和のための戦争を生むのであろうと思います。戦争は飽き足らざる野獣であります。」

これらの言葉は著書『日露戦争より余が受けし利益』において、内村鑑三が述べた非戦に関わる考えである。国際社会は多様性に満ち溢れている。そのうちの特定のものだけを正当とし、それ以外を不当なものとして排除しようとしたり、画一化を推し進めようとしたりすることは多様性の尊重に逆行した動きである。

私が昨日見た足元の展示作品のように、自然は多様性を融合させて一つの秩序を作り出している。しかし、叡智とか理性とかいったものを持っているはずの人間による人為の世界では、どうしてそれができないのだろうか。叡智とか理性とかいったものにプライドを持っているならば、人間が目指すべき姿は足元や身の回りの自然の中に当たり前のように存在している。
Like the work I saw yesterday, nature fuses diversity to create an order. But why can't we do that in an artificial world that should have something like wisdom or reason? If we take pride in wisdom and reason, the form we should aim for exists in the nature at our feet and around us as a matter of course.

東京ではそんな自然の姿を春の訪れと共に眺めることができる。しかし、地元の北海道はそれどころではないようで、「雪」に覆われている。しかし必ず春はやってくる。必ず「雪解け」はやってくる。自然は裏切らない。

さて人為はどうか。人為の「雪解け」はかつて「デタント(緊張緩和)」と呼ばれた。異なる価値観がいがみ合うのではなく、叡智や理性を駆使して歩み寄ろうとした状態である。

自然はそろそろ「雪解け」の季節である。直近で起こっているウクライナ情勢についても「雪解け」を進めてはどうだろうか。自然の「雪解け」は原理に従った美しきものである。人為の「雪解け」も打算とか妥協によって歪められることのない誠実で美しきものであるべきだろう。
It's the season of detente. Why don't you proceed with the detente about the recent situation in Ukraine? Natural detente is a beautiful thing according to the principle. Artificial detente should also be honest and beautiful, which cannot be transformed by calculation or compromise.

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