殺して欲しいと願った日
数枚の小銭が重なる感触を何度も確かめ、駅の構内を歩き続ける。
早々とシャッターの下りた店先には先客が段ボールの上にボロボロの毛布を敷いて、何かに感づいたようにこちらをギロリと睨みつけている。
先客の脂で絡まった髪には埃やゴミが付いていて、冬だと云うのに焼けた肌は乾き切っている。
しかし、その目の奥には生半可に生きることを決して許さないような、強い意志が秘められている。
自分はどうだろう。段ボールの上に身体を横たえ、腐臭を放ちながら人々に蔑まれ生きることは出来るだろうか。
い