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「デジタル看護入門」第6回 〜バイタルサインとICT〜

 バイタルサインといいますと、おおよそ体温、血圧、脈拍数、呼吸数、そして最近では酸素飽和度いわゆるサチュレーションなどが代表的なものですね。もちろんそれだけではなく、呼吸音、心音など、患者さんのフィジカルアセスメントを行うためには、たくさんの観察ポイントを確認していく必要があります。

 こうした患者さんのバイタルサインを観察するために、看護師さんはどのようなICTを活用しているでしょうか。普段あまり意識されないかと思いますが、私たちはバイタルサイン測定のために、たくさんの医療機器、つまりICTに頼っています。今回からバイタルサインに関わるICTについて、ひとつひとつ解説をしていきたいと思います。

 まずは基本中の基本、体温計です。若い看護師さんはもしかしたら現在主流である予測式電子体温計の前に存在した水銀式体温計はご存じないかもしれません。こちらは水銀式の血圧計の部分でも詳しくお話ししますが、有機水銀による環境汚染が大きな社会問題となり、体温計に使われる無機水銀についても、破損によって生じる病院や家庭での環境汚染防止の面から、だんだんと電子式体温計への移行が行われ、1985年には水銀式体温計の生産が終了しています。

 ほとんどの電子式体温計は平衡温予測方式を採用しており、通常10分以上検温しなければ得られない平衡温を数十秒で演算予測します。このような予測式電子体温計は、医療メーカー各社でそれぞれ異なる演算アルゴリズム、つまり予測のための計算方法が異なるようです。つまり、ほとんど細かな部分では差はないかと思いますが、厳密にいうと医療メーカーごと、予測式電子体温計の予測測定値は若干異なるということがいえるかもしれません。

フライトナースや離島の保健師の経験を還元できるようなバーチャルリアリティ環境の構築およびコンテンツ作成が主な研究分野です。研究のための寄付を募っております。研究の成果はこのnoteで公表していく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。