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🇹🇼台湾OL「同じAsian でしょ?」@高雄2010

台湾の初日は終わった。ほとんどの金を使ってしまった。たまたまマイレージが貯まったのでタイ以外の国にもいっとくか。マイレージ範囲は韓国、中国、台湾。台湾?行った事ないな。大きな島だっけ。

こんな程度の感覚だった。

到着日の台北で良い意味で期待を裏切られた私は、東南アジアの香りを感じさせるこの国と人々の虜になりつつあった。

たが、台北に居続けたら無一文になる事間違いなしだった。誘惑から逃れようと画策していると、南部に高雄という街があるらしく、気候も暖かいらしくいく事に決めた。

台北駅から高速バスで行く事にした。バスと言ってもテレビ付きの飛行機内のような造りで、居心地が良かった。

隣のシートには若いOLが座った。
タイでもそうだが、台湾人の視線は他人には興味はない、個人主義を感じる。日本人のようにチラっと目を人にやり品定めするような目線はほぼ遭遇しない。

自分が透明になった気分で居心地が良かったし、漢字が読み取れれば何とかなりそうなこの台湾に身を預けようと思った。


どっぷり寝ていた。
突然ドサドサと人が降り始めた。

「高雄駅に行くはずなんだけど、ここ?」

彼女は突然話しかけられてびっくりしたようだった。そのまま職場にいてもおかしくないような見るからにOL風女性はスーツでキメていた。どことなく化粧が薄いだけで、日本人とあまり変わらない風貌だった。

「ハーっ」
と突然ため息をつかれた。

「あんた、高雄駅に行くの?このバスはそこまで行かないのよ。ここから電車に乗ってすぐだけどさあ」

英語でひとしきりまくしたてるとまた
「ハーっ」とため息をついた。

どうしようか。
こんな暗いバス停に置いてかれてもどうしようも無い。

「ハーっ。ついてきなさい。」
彼女は私を睨みつけるようにみて、
顎でそういうサインを送った。

手を引かれるようにメソメソとついて行く男。それでよかった。
この女性の一挙手一投足が

「このアホ旅行者。まったく。でもほっとけないわね。まったく。」

と言ってるのがそのまま態度で分かるのだ。

タイと同じだった。思った事をそのまま子供のように表に出し、怒り、泣き、笑う。

やっぱり台湾もアジアだった。

地下鉄で無言で肩を並べた。
「このまま乗りなさい。ついてきなさい。」

ツンツンしているこのOLはよくよく見ると随分若かった。20代前半にも見える。

「今日は高雄のどこのホテルなの?」
なんだかんだ気をつかってくれるのが優しい。
(当時は知らなかったが、台湾人の親切心は底知らず。お節介すぎるくらい。アジアだ。)

「泊まる場所を決めてないんです」
私が答えると、彼女はまた

「ハーっ」と、ため息を、ついた。

「初めての台湾で、初めての高雄で、
ホテルもとらずにいきなり来たの?!
クレイジーね!」

ここで彼女は初めて笑顔を見せた。
とても可愛かった。安宿を寝ぐらにする旅行者をあまり知らないのだろう。興味を持ったようだった。

「私はここで降りるわ。あなたは次の駅で降りてね。そこが高雄駅よ。」

「なんでこんなに助けてくれるの?」
私は聞いた。

「ハーっ。同じAsianでしょ?
当たり前じゃない。じゃあね、バイバイ。」

高雄駅に着いて地上に出た。
彼女の連絡先を聞いておけばよかったな。

「同じAsian でしょ」

いい言葉だ。

宿はすぐに見つかった。
この界隈で最安値だ。

近くに夜市というものがあるらしい。
シャワー浴びて、すぐに飛び出た。

ーータケシ




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