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2020年に日本酒関係でグッドデザイン賞を受賞した企画を調べてみた

こんにちは、日本酒D2Cブランド、株式会社RiceWineの渡辺です。
HINEMOSという日本酒ブランドを運営しています。

さて、今回は「グッドデザイン賞2020」について、ふと調べる機会があったので、せっかくなので2020年に「日本酒」関係で受賞作品をご紹介できれば幸いです。

検索方法

地道にサイトで検索していきました。ただ「日本酒」で検索するより「酒」で検索したほうが広範囲にヒットするので「酒」で検索してから地道に目視をしていきました。

※なので、抜け漏れがありましたら大変失礼いたしましたと先に言い訳しておきます。画像などは全て公式サイトから引用させていただいております。

さて、5つの作品をピックアップいたしました。こちらご紹介していきましょう!

福島の蔵元と乾杯する日本酒と肴の定期便[fukunomo]


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こちらは、サムネの画像が全て物語っているかと思います。
福島のお酒と肴を集めて、冊子にまとめてオンラインで酒の会も行う。これって、アイディア自体はサブスクとか頒布会とか以前からあったものだと思うんですけど、私はこの企画が福島で実行されているのが素晴らしいなと思うんですよね。福島県自体、酒蔵の数が70蔵と全国6位で数も多く、かつ全国の新酒鑑評会の金賞受賞蔵が6年連続で日本一を取っているような、非常に日本酒生産が盛んな県なのです。ただ、その印象が日本酒愛好家にはあれど一般の方に向けては・・・正直、新潟は酒処、という印象があっても、福島に「日本酒が有名」と印象として持つ方はそこまでいないのでは・・というのが現状だと思います。


※もちろん東北全般日本酒が盛ん、という印象を持つ方は多いかと思います。ちなみに私は新潟出身なので、日本酒の仕事をする前から「新潟出身なんだ、日本酒好きなの?」と聞かれるくらい、新潟と言ったら日本酒なんだなあという肌感を持っています。

ただ「福島」にこの酒蔵70蔵があるという強みを活かした定期宅配サービス、っていうのが組み合わせの妙ですね。毎月酒蔵を変えても約6年かけないと一周できないほど多様性がある県じゃないと実現できない仕立て。

もちろん山もあり海もある福島の美味しい名産品とセットにできるしで、組み合わせの可能性が無限大にあります。また、こう言ったいわゆる「地域の取り組み」に代表されるものってビジネス的な観点がついてこないこともありますが、サブスクの仕組みが取り入れられているのでマーケティング費用もかけられますよね。

1-2本の日本酒を売るだけだったら、仮に注文単価が4000円だとしても、かけられる広告費は、20%だとしても800円。正直潤沢とは言えません。それとは違い、6000円のセットを年間12回頼まれると想定するならば、年間に直すと72000円。仮に1年で定期購入が終わってしまうとしても、72000円の売り上げが見込めるならば・・・かけられる広告費が変わってきます。かけられる広告費が違う、ということは今までに日本酒が露出できなかった場所に露出する施策が打てるんですよね。WEB周りであれば、成果報酬型広告のアフィリエイトに高単価を設定することもできるでしょうし、チラシやDMなども打ち、様々な手法で消費者へのアピールができるようになっていきます。

従来の酒屋や酒蔵がリーチできなかった媒体や層へアプローチする機会を、福島の酒蔵をたばねてサブスクで届ける、ということを実現しているのが非常に面白いなあと思います。

※そして、ここまで書いておいてですが、こちらのfukunomoのサービスを手掛けているのは、私が昔某会社のインターンで一緒だった知り合いなので、今度機会があったらいろいろ聞いてみようと思います🏄‍♀️

日本酒[soma]

こちらはど真ん中、日本酒の受賞。
タイトル[soma]は福島県の南相馬市の「soma」です。

概要にある通り

被災地産の酒米を用い日本酒を生産する過程を通じて、コミュニティを形成し、風評被害払拭と信頼回復に取り組む。

というのがプロジェクトの内容です。

いまだに福島県の農産品については、原発事故の風評被害、及び海外への輸出規制は続いています。日本との輸出入の結びつきが強い中国、香港、台湾などでは福島県産の食品を広い品目で輸入禁止にしていますし、韓国やアメリカでも規制は続いています。

震災から9年が経過した今もこういった状況に置かれている中で、農業を続けていくことの苦労を想像するだに大変でしょう。。

そんな中、農家自らが周りを巻き込んでいくことで、科学的な「安全」以上に心理的な「安心」を作り出していくこと。コミュニティに入ってもらうことで、お米やお酒に複合的・重層的な意味合いが生まれていること。田植えから始まる米作り・酒造りといった季節を跨ぐような長期間をうまく活用し、コミュニティ作りに活かしていること・・・それぞれの要素がうまくマッチしているなあと思います。

実は私も、学生時代に田んぼに関わるイベントを開催していたことがありますが、田植えと稲刈りがやはり人気なイベントなのでどうしても単発的なイベントで関わりが終わってしまうことがありました。そこに「酒造り」と言ったように収穫後も引き続き「ともにつくる」イベントがあれば、周年的な繋がりを生み出しやすくなると思います。

ちなみに、福島関係の受賞を続けて紹介しておりますが、グッドデザイン賞には震災復興の一貫で福島関連の方のマーク使用料の減額(減免)措置があるようです。いい支援ですね。

酒器[雄勝ガラス]

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酒器[角杯]

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酒器は2つが受賞。[角杯]はLEXUSが「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」というプロジェクトを通じて実現したものだそうです。漆の98%は海外産、というのは私も全く知りませんでした。

両者とも、サイトをみるとデザイン自体の素晴らしさは(私が語るのはおこがましいので語りませんが汗)もちろん、素材のもつストーリーなどが伝わってきて、ストンとプロダクトがもつ背景や意味が伝わってくることが素晴らしいなと感じます。

日本酒はそれ自体が大変に嗜好性が高い飲み物だと思いますが、様々な酒器を集めてお気に入りの器でお酒を飲むことは、ますます日本酒の世界の奥深さを広げていくのでたまりません。

公設試験研究機関による技術開発のPR手法 [[酒造好適米吟烏帽子展]  科学コミュニケーションに基づく地方公設試のPR]

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PR手法自体が受賞する、というちょっと珍しいプロジェクトです。

まずタイトルにある「酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)」という言葉。一般的には「酒米」という言葉を使う方がほとんどだと思います。

また、食べるお米には「コシヒカリ」や「ササニシキ」というように品種があるのと同様に、酒米にも「山田錦」とか「五百万石」と言ったような品種が存在します。

この受賞内容は「酒造好適米」である「吟烏帽子(ぎんえぼし)」をわかりやすく展示し、理解を促したことが評価されたようです。

青森産業技術センターは、上記のように「青森産技マルシェ」と言ったサイトでその技術の結果生まれた産品を紹介する取り組みを行っています。こういう取り組み自体、正直地道な取り組みではありますが、地元の誇りに繋がりそこで働く人々の支えになるので、重要な取り組みと私は思います。

また、科学コミュニケーション自体も耳慣れない言葉ですが、Wikipediaに項目がある通り 一つの学問分野となるほどに重要視されている概念です。

こう言った骨太なプロジェクトのグッドデザイン賞の評価になるのかと驚きです。日本酒の酒米の科学コミュニケーション、のようにニッチな話題もカバーするグッドデザイン賞の懐の深さを思い知りました。


以上です。まとめるとやはりいろいろ気づきがありました。過去の受賞作もいつか並べてまとめてみたいな・・!


ーーーーーあとは宣伝ですーーーーー

弊社のプロダクト、HINEMOSもデザインに相当にこだわっている新しい日本酒ですので、ぜひ一度お目にかかっていただければ幸いです🥂

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