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サッカー解説者・林晃平 現在と過去と未来と【Short letter】

今、山口県のサッカーに注目するべき時が来ているのはないでしょうか。

山口県のサッカークラブで注目するのは、JFL昇格を目指すFCバレイン下関です。中国サッカーリーグに所属する当クラブは今シーズン現在3位に位置し、また、5月13日には新たにピッチ看板スポンサーの契約発表があったことなど、ピッチ内外でクラブが着実に認知、定着しつつある印象があります。

クラブ以外では、山口県に拠点を置いて活躍する三人は外せません。まずは、イラストレーターとして活動するりおたさん。Web集英社スポルティーバにて野球やサッカーを中心に独特のタッチで表現するイラストを目にした方は多いだろうと思います。



フットゴルフ日本代表でもある安村翼選手。サッカーとゴルフを融合させた新スポーツとして注目されるフットゴルフ。国内におけるフットゴルフの普及活動の一環としてYouTubeチャンネルを持ち、フットゴルフの楽しさを表現しています。


三人目として、KRY山口放送サッカー解説員を務める林晃平さんがいます。

林さんは1997年よりガンバ大阪でプロサッカー選手としてキャリアを開始し、2007年にモンテディオ山形で引退するまでの11年間活躍してきました。引退後は故郷の山口県で家業を継ぎ、サッカー界から完全に離れていました。離れている間には、名田島田園マラソン大会や国体・山口県ゴルフ代表選手選考会へ出場するなど、サッカーの他に打ち込むものを探していた時期もありました。紆余曲折を経て、レノファ山口がJ2昇格した2016年よりKRY山口放送にてスカパー!Jリーグ中継のサッカー解説員としてサッカー界に復帰し、「地上波のサッカー中継は言えば林晃平」と山口県のお茶の間では顔と名前が一致する解説員として第2のサッカーキャリアを歩み出しています。

サッカー解説者となった林晃平さんにこの度ロングインタビューをしました。


林晃平 (はやし こうへい)
1978年6月27日生まれ 山口県出身
ポジション : フォワード
経歴
1984年~1990年 牟礼FC 山口県選抜
1991年~1993年 牟礼中学校 U-14日本代表 中国トレセン 山口県選抜
1994年~1996年 滝川第二高校 兵庫県国体代表
1997年~2000年 ガンバ大阪
1999年9月~1999年11月 コンサドーレ札幌(期限付き移籍)
2001年~2003年 川崎フロンターレ
2004年~2007年 モンテディオ山形
成績
Jリーグ通算出場数 190試合 通算得点 29得点
同期には中村俊輔(横浜FC)、北島秀朗(大宮アルティージャ・コーチ)、都築龍太(さいたま市議会員)、伊藤宏樹(川崎フロンターレ強化部)らがいる。



サッカー解説者からみる2021年のレノファ山口


― 今シーズンのJ2リーグ三分の一を終えたレノファ山口の総括をお聞きします。まず、今シーズンは霜田監督から渡辺監督へ交代しました。この監督交代や選手補強から見える山口の今シーズンのチーム路線を教えてください。

林 昨シーズンの山口は最下位でした。本来ならJ3へ降格しているので、今シーズン開幕前から山口は「後がない」状態です。その中で、これまで積み重ねてきたチーム路線を継続していくのか否という決断に迫られますが、山口はチーム路線を継続していく決断を下しました。まずは監督交代。これは戦術に長けた監督同士の交代です。選手補強も同様に昨シーズンの基本的布陣を変えず、センターラインを重点とした核となる選手補強をしました。一般的にチーム路線の理想と現実のバランスが崩れた場合は、一旦リセットすることが多いです。ところが、山口はリセットせずに積み重ねていくというあえて難しい道を選択したと思います。しかし、この山口の選択に対してポジティブな危機感を感じました。「前を向くしかない」、言わば挑戦する姿勢を取ったと思いました。

― 第5節・磐田戦までは未勝利でした。

林 J2上位に食い込んでくるであろうチーム、琉球、新潟など開幕からの対戦相手に恵まれなかった不運がありました。しかしながら、新体制における攻守の形は開幕戦(松本山雅)から分かりました。なぜなら昨シーズン以上に守備意識が特に上がり、粘り強さが出てきている状態かつ手応えは十分にあった。けれども結果は出ない。その状態に対して、選手は疑心暗鬼となります。「こんなはずじゃない」と。しかし、この疑心暗鬼となること自体、今シーズンの山口にはあってはいけないことです。なぜなら、繰り返しますが、本来なら今シーズンの山口はJ3にいるチームなのです。開幕前に感じられたポジティブな危機感を磐田戦まで選手自身が身を持って理解できていなかったのかもしれません。それ以後の山口は苦しい展開の試合もありましたが、着実に勝点を重ねていきました。

― 今シーズンのJ2リーグはJ1昇格枠2チーム、J3降格枠4チームのレギュレーションにより、例年になく熾烈な昇格、残留争いが続いています。特に残留争いにおいては勝点3をもぎ取るだけで大きく順位は変動する流れがあります。J2リーグは中盤戦へと突入します。今後の山口の期待を聞かせてください。

林 今年のJ2リーグは中盤戦からは、勝点を如何に積み重ねていけるかというリーグ戦の醍醐味が味わえます。試合内容が良い状態で勝点を得ることよりも、試合内容が悪い状態で勝点1を拾い続けることが重要です。これができるチームは本当に実力があるチームだと思います。秋田はこれに当てはまります。第15節のホーム・山口戦では一人退場となり、先制点を奪われても引き分けに持ち込めたこと、これができるチームは強いです。また、核となる選手がいるチームは強いです。調子が悪くても結果をコンスタントに残せる選手、例えば京都のウタカ選手。調子が悪い時なりに今できるベストなプレーに徹するウタカ選手の存在は大きい。京都の躍進があるのかなと思います。山口はポジティブな危機感さえ見失うことがなければ、ダークホースとして上位進出の可能性は否定しません!

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サッカー解説者からみるサッカー解説者


林さんの引退後は故郷の山口県で家業を継ぎ、サッカー界から完全に離れていました。体力維持のためマラソンやゴルフを始めるなど現役時代にはできなかったスポーツなどを楽しんでいました。その中でも敢えてしなかったことがあります。

― 林さん、現役時代はサッカー中継やサッカー番組は見ていました?

林 全く見ていません。テレビの画面で見るサッカーは、ミーティングの時に試合分析で見るか、調子が悪い時に自分の得点シーンを振り返るときに見るぐらいでした。敢えて言うなら、遠ざけていました。特にシーズン中はニュース番組や天気予報、お笑い番組を見るぐらいで、あとは気分転換にゲームをするためにテレビを点けるぐらいです。

― 引退後も?

林 引退してからも半年ぐらいはサッカー関連の番組を遠ざけていました。いや、見る余裕がなかった。高卒でサッカー選手をしていたので、デスクワークに慣れるのに時間がかかり、正直見る余裕がなかったです。でも、山形の成績や仲の良かった選手の活躍を新聞で知ると気になって自然とテレビでサッカー観戦していました。選手目線や当事者感覚ではなく、一サッカー観戦者として見るJリーグの試合は面白かったです。

― でも、ペナルティーエリア内のシーンなど見て「俺ならこうするのに」など思ったりはあったのでは?

林 ないとは否定しないけど、試合展開よりも解説者のコメントの方がとても気になってしまいました。例えばA選手に対するB選手のプレスする回数が増え、A選手が攻撃の起点を作れなくなり始めたとします。その時、解説者が「先ほど○○監督が何分のセットプレー前にB選手に細かく指示していたのは、正しくこのプレスですよ。」って言うのです。解説者って試合状況の解説だけじゃないんだと知ってから、解説者の言葉を聞くことがメインのテレビサッカー観戦が始まったと思います。

― その解説者は?

林 水沼貴史さんです。試合状況を見つつ、ベンチいる選手や監督、ボールパーソンまでの動きもチェックできて、その変化を見逃さず、実況を遮らない言葉を入れるタイミングは非常に勉強になります。

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― 2016年にスカパー!Jリーグ中継のサッカー解説員となってから6年目となります。解説者となってから持ち続けているポリシーを教えてください。

林 僕を含めて全ての解説者はサッカーというスポーツをリスペクトして解説をしています。例えば、軽く足を引っかけてファールとなり、ファールした選手が審判に対して抗議する場面があります。ところが、あらゆる角度からリプレイで確認したら、実際には足を引っかけていなかった。その場合、視聴者は「誤審だ」と思うし、口にすると思います。解説者も視聴者と同じように誤審と思っても、絶対に口には出しません。なぜなら、審判が下した判定は絶対だからです。審判のポジショニングからすると足に引っかかっていた、この判定に異論があっても、判定に対してリスペクトしたコメントを残します。そもそも審判がいないとサッカーの試合は始まりせんから。どんな判定があっても、なぜそのような判定を下したのかを視聴者が納得するコメントをすることが僕たち解説者の役割だと考えています

ー 最後にサッカー解説者としての目標を教えてください。

林 僕にはサッカー解説者の中でも実績がありません。日本代表の経験のある方と僕と同じ場面を解説しても、コメントに対する視聴者の納得度は、やっぱり日本代表の経験のある方にあります。もし仮に僕が居酒屋解説をすると、どうなりますか?KRY山口放送に抗議の電話やメールが殺到しますよ。それだけ日本代表は偉大なのです。でも、僕は怯んだりはしません。現役時代にたくさんの熱い声援で応援いただいたサポーターの存在が今でも僕を支えているからです。だからこそ、1人でも多くの視聴者に納得してもらえる解説とサッカーの楽しさを伝えたい、その想いは絶対に負けません。その積み重ねがサッカーとサポーターへの恩返しとなればいいなと思います。

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川崎フロンターレのJ1昇格阻止弾を覚えていますか??


向かうところ敵なしの川崎フロンターレ。ほんの数年前まではシルバーコレクターなどと揶揄されることもありました。更に言えば、J2時代にもJ1昇格に届かなかった過去をも忘れるぐらい、今の川崎フロンターレは強いです。

2004年の川崎フロンターレはJ2リーグ優勝をし、念願のJ1昇格を果たしました。しかし、このシーズンに唯一負け越したチームがありました。それは林さんが所属していたモンテディオ山形です。このシーズンの山形はJ1昇格争いに絡み、粘りに粘りを重ねていました。しかし、残念ながらJ1昇格できなかった年です。

以下の有料部分では2004年9月23日J2リーグ・川崎フロンターレ対モンテディオ山形で決めた同点ゴールについてお話いただきました。

この試合は、引分け以上でJ1昇格が決まるホーム・川崎フロンターレ、勝点1でも積み重ねてJ1昇格争いに残りたいアウェイ・モンテディオ山形の試合でした。


ちなみにモンテディオ山形の歴史において、この試合は2004シーズンの中級レベルのクイズに設定されています。対する川崎フロンターレではカルトクイズになるのかもしれません。


ここからは有料公開にさせていただきます。
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