見出し画像

トランプ撃たれる!

アメリカの二大政党制の歴史

 先日、アメリカの次期大統領候補である共和党のドナルド・トランプが、街頭演説中に狙撃されて危うく命を落とすところだった。
 しかし彼はその後すぐに立ち上がると、演説会に来ていた大群衆に向かって耳から血を流しながらも拳を触り挙げ、自分は大丈夫だということをアピールしていた。
 聴衆はその勇敢さに
   トランプ、トランプ・・・
   USA、USA・・・
の大合唱で答えた。
 自らに降りかかった危機をすぐさま選挙に利用するとは大した度胸だ。
 今の日本の政治家にはない気概が感じられた一面でもあった。

 このニュースは瞬時に全世界を駆け巡り、一部メディアでは
   自作・自演の選挙戦術だったのでは?
などと陰謀論まで出る始末。
 でもあの時の検証映像を振り返ると、その時放たれた弾丸は、彼の側頭部近くを通っているのがはっきりと映し出されていた。
 まさか自分の命をそのような危険にまで晒してまでの自作・自演はないだろうと思っていたところ、すぐにその手の論調は立ち消えとなった。

 そしてこの時の警察の対応にも、日本との違いが明らかだった。
 メディアでは、警備の失態を非難する声も多かったが、現場の警官はすぐに発射地点を割り出して、犯人を射殺した。
 銃社会アメリカならではの対応だろう。

 同じようなことは、数年前に日本でも起こった。
 故安倍総理が選挙応援遊説中に狙撃された事件である。
 日本の警察官は、現場で犯人が第一射をした時に気づかなかったばかりか、すぐに身を挺して総理を守ろうという動きもなかった。
 相手が銃で攻撃しているにも関わらず、警察官が銃を抜くということもなかった。 
 この時最初の射撃では安倍総理は無傷であったので、すぐさま力ずくでも総理を伏せさせたりしておけば、その後の惨劇は起こらなかったであろうことを思うと残念でならない。
 日本は銃所持が禁止されているので、警察官はもとより集まった聴衆も、一国の総理がまさか銃で襲われることはないだろうという思いが先行し、緊張感が欠如していたのかもしれない。
 
 このトランプ氏の暗殺未遂事件を受けて、反対陣営のバイデン大統領も
   トランプ氏とは意見が異なるが
   アメリカ国内でこのような凶行
   が行われることを許してはならない
   アメリカは暴力には党派を超えて
   立ち向かっていく
という勇ましいコメントを出した。
 こちらも、相手陣営の危機をすかさず自らの陣営に利用しているところはさすがだ。

 歴史を振り返れば、アメリカの大統領が暗殺の危機に遭ったことは多く、リンカーンやケネディなど4人が凶弾で倒れ亡くなっているほか、その未遂に終わった大統領も11人もいるようだ。
 ご存知のとおりアメリカは二大政党制を取っており、民主党がリベラル、共和党が保守という構図だ。
 そしてその歴史は長く、南北戦争の頃に遡る。
 このためいずれの政党が政権を執っても、すぐにアメリカという大国を動かすだけのスタッフと準備ができている。
 政党助成金を貰いながら、現政権の足を引っ張るようなことしかできない日本の野党とは雲泥の差がある。
 二大政党制の歴史だけは、アメリカに一日の長があるようだ。

 ところが歴史を振り返れば、どうも民主党政権時には、日本はあまりいい目に遭っていない。

 日本が明治維新後、文明開化を成し遂げたことで欧米列強と肩を並べる先進国になり、その後国際連盟で常任理事国に上り詰めてから
   人種差別撤廃
を声高く主張するようになると、「黄禍論」を持ち出してそれを真っ先に潰したのは、当時アメリカ大統領であった
   ウッドロウ・ウィルソン
であった。
 「黄禍論」とは、読んで字のごとく
   黄色い禍
つまり、黄色人種である日本人を「黄色い禍」と揶揄する極端な人種差別主義である。
 彼は民主党の大統領で、人種差別論者、白人至上主義者でもあり、台頭してきた日本に対する危機感を覚えたのかもしれない。  

    また、先の大戦に日本を狡猾に追い込んだのも、民主党の
            フラククリン・ルーズベルト大統領
だったし、大戦中急死した彼のあとを受けて大統領になり、日本に二発の原爆を落とした
   ハリー・トルーマン
も民主党の大統領だった。

 戦後日本が経済大国となって再び頭角を現し
            ジャパンアズナンバーワン
ともてはやされるようになると、「日米経済戦争」と銘打ってそれを潰しにかかったのも民主党の
            ビル・クリントン大統領
だった。
 三菱セクハラ訴訟などで、日本企業に勤めればあたかもその性奴隷になるかのように日本人を貶めたり、東芝、トヨタ、ホンダなど日本を代表する大企業に仕掛けられた欠陥商品訴訟など、最たるものだ。
 
    そうなのだ。
    アメリカ、特に民主党政権は自国より頭角をだし始めた相手は、誰であろうと潰しにかかるという歴史的証拠がある。

     そして、先日新聞を広げたら
   バイデン大統領
   USスチールの日本企業買収
   反対案に署名か
という見出しが躍っていた。
 まさに「バイデンよ、お前もか!」
である。
 ご存知のとおり、彼も民主党だ。

 USスチールの本拠地はペンシルベニア州ピッツバーグであり、大統領選の大きな票田でもある。
 反環境派、国粋主義者のトランプは、以前から自国の企業を守るためにこの日本企業による買収案に反対する姿勢を取っていた。
 だから、彼の主張はまだ分かりやすい。
 そしてそれは、大統領選で製鉄業界という大票田を取るための大きな布石でもあったのだろう。

 ところが今回ここに、バイデンも相乗りした。
    鉄鋼業界という大票田のトランプ票切り崩し作戦だ。 
 未だ大統領である権限を最大限に使い、この反対案に便乗した。
 そして自らの後継者であるハリスのためにその反対案に署名しようとしている。
 表向きの理由は
   安全保障上の脅威となる
かららしい。

 馬鹿も休み休みに言って欲しい。
 これが中国やロシアの企業というのならまだ分かる。
 日本は先の大戦以降最も重要な同盟国のひとつではなかったのか。
 それあってこその戦後の平和と繁栄を思う時、先の大戦で亡くなられた英霊はまだ浮かばれる。
 あなた方の犠牲あってこそ、今の日本の繁栄があると・・・
 それを「安全保障上の懸念」などという、取ってつけたような理由で反故にしようとしている。
 あなた方は安全保障上の脅威となる国と、長きにわたり同盟関係を結んできたのかと問いたくなる。
     またも民主党だ。

 結局アメリカも国益優先なのだ。
 長きにわたる同盟関係も、自国の都合でしかも単なる選挙目的で、簡単に
   安全保障上の脅威
にしてしまう。

    アメリカのこのような変節ぶりを見ると、
            はたしていざという時に
            日米同盟は機能するだろうか
と心配になる。

 今や日本のメディアも次期大統領が
   共和党のトランプの返り咲きか
   ハリス副大統領が女性初の大統領
   となるか
という推測報道で連日のように賑わっている。
 確かに、現時点では我が国にとって最も重要な同盟関係なので、その大統領選の行方は大切なものかもしれない。
 しかしメディアの捉え方は、どうも公平性にかけ、民主党よりという感が拭えない。
 まあ、世界中どこも民主イコールリベラルという感じだが、メディアは上記のような過去の歴史を少しは知っているのだろうか。
   過去は水に流し
   決別してこそ今がある   
とでも考えるのだろうか。
 いや、私から見れば逆に
   歴史は繰り返す
という感が強い。
 明治から現在に至るまでの歴史を振り返れば
   過去は過去のこと
としてはとても捨てきれない。
 むしろ歴史から学ぶという姿勢が必要に思えるが・・・

 将来日本が、今の中国のようにアメリカにとって大きな脅威となった時、彼らが果たして現在の同盟関係を維持してくれるか疑問だ。
 やはり最低限自国の安全保障環境は自国で守るというスタンスを取らなければ、そしてそのためには憲法を改正して自国の軍隊を持たなければならないだろう。
 日米同盟が反故にされれば日本は丸裸も同然だ。
 なぜなら、何せ武器の多くをアメリカからの輸入に頼っているのだから。
 同盟が解消されれば、イージスシステムをはじめとした現在の高度な戦闘システムは形骸化するということを頭においておかなければならない。
 今はまだ共通の脅威である中国と向き合うということで、同盟関係は維持されるが、先の大戦中、アメリカは日本と対決するために中国と手を組んだという歴史も忘れてはならない。
 いつの時代も
   敵の敵は味方
となるという兵法上の論理があるということも頭の片隅に置いておかなければならない。

 アメリカとの同盟関係が未来永劫続き、そしていつまでもそれに守られると考えれば、それこそ左翼の
   お花畑の平和主義
と何ら変わらないことにならないだろうか。

 目を日本に移せば、自民党の総裁選挙告示を受けて立候補した9名の動向が連日のように放送されている。
 このうち記者会見場で、国旗を背に、またその国旗に深々と頭を下げて会見に臨んだのは
   高市早苗経済安全保障担当大臣
ただ一人だった。
 そして今ある平和が過去の歴史の延長線上にあるという歴史観を披露したのも彼女ひとりだった。

 メディアは、アメリカの大統領選では
   アメリカ最初の女性大統領誕生か
と、ハリス候補を持ち上げるところが多いが、高市候補のことを
   日本最初の女性首相誕生か
とは決して持ち上げない。
 ハリス候補は民主党で、高市候補はその民主党と反対の立場の共和党と同じ保守政権である自民党だ。
 メディアの立場がよく分かる報道姿勢だが、できるだけ公平な報道に心がけて欲しいものだ。
 報道の基本は
   不偏不党公平忠誠
ではなかっただろうか。
 

 


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?