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”顧客への価値提供を最大化する”プロダクト組織になるために考えたこと、取り組んだこと

この記事はアソビュー! Advent Calendar 2019の第24回目の記事になります。

はじめまして、アソビュー株式会社の宮本です。
世間はクリスマス・イブという大変にぎやかな日にアドベントカレンダーの担当をさせていただくことになりました。

今回、個人としても初めての投稿となりますが、何を書こうかな?と考え、マーケに関することや、プロダクト開発に関することなど、色々アイディアはでてきたのですが、今回は「組織づくり」をテーマに書こうと思います。

まずは、自己紹介

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アソビュー株式会社では、執行役員CSO(Chief Strategy Officer)兼、休日の、便利でオトクな遊びの予約サイト「アソビュー!」のサービス責任者をしています。領域としては、全社事業戦略、新規事業の立ち上げ、プロダクトマネージャー、デジタル領域のプロモーション(特にSEO、SEM、アフィリエイト)などを担当してきました(現在も担当しているもの多数です)。

過去には、アフィリエイトサイトの立ち上げ(月商300~500万ぐらい)、ポイントサイトの事業責任者(月商1億ぐらい)や、HR系サービスにおけるデジタル領域のプロモーション、CRMと営業企画(Salesforceの導入や営業指標の見える化、メンバー1人ひとりのKPIモニタリング)などをしていました。

もともと、物理学を専攻していたのもあり、事象を観察し、情報を集め、モデル化するのが好きで、仕事もそういうアプローチで課題解決することが多いです。

企業における、プロダクトとチームの役割

これから実施してきたことをつらつらと書いていきますが、はじめに何故そういうアプローチをとってきたのか、前提条件について共有します。(釈迦に説法な部分もありますので、とばしていただいても構いません。)

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企業における事業(≒プロダクト)は、ミッション・ビジョンを実現する具体的なアイディアとして、顧客に価値を提供する役割を担い、組織(≒チーム)はそれを実現するために集まった集合ととらえています。

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顧客はチームが作ったプロダクトから価値を受け取り、その対価として報酬を企業へ支払います。このサイクルがまわることで、チームが大きくなり、また広告宣伝などに投資することができ、プロダクトは機能の拡張・品質が向上し、より多くの顧客に価値を提供し、いずれ企業が目指すビジョンに到達していきます。

つまり、顧客への価値提供を最大化するという主目的を達成するためには、市場・環境の変化にあわせて、対象となるプロダクトに影響を与えるチームのアウトプットを増加・変化させていく必要があると考えています。

今回の記事のスコープは、「アソビュー!」の提供できる価値を大きくするために、プロダクトチームにどういう変化を起こしてきたについてです。

ではいよいよ(長くてすいません)本題にうつります。

”顧客への価値提供を最大化する”プロダクトチームになるためには、どういう条件を整える必要があるか?

この命題は、僕自身がここ1年解きたいと思い、向き合ってきたテーマです。(もちろんまだ道半ば、だからこそ面白い!)
このテーマに向き合うために、まず前提とすべき制約条件について定義していきました。

まずは外部環境についてです。外部環境を考える上では、ベタではあると思いますが、VUCAに着目してます。VUCAとはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Amiguity(曖昧性)の頭文字でできたキーワードで、今のビジネス環境を考える上で重要な考え方のです。

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VUCAの時代には、どれだけ時間を投資しても未来を予測することが非常に困難です。
経営チームや事業責任者が作成する事業計画、それを実現するための開発計画は、想定していないアクションを実行することに不向きです。(なぜなら、その想定しないアクションは、当初想定していたアクションの計画に影響を与えるため。)
ただ、想定していなかったアクションが緊急・重要となる場合は数多くあり、またこのアクションを実施しないという選択をするケースは非常に少ないのです。
※上記は、事業計画を否定しているものではありません。

そのため、今必要なのは、

①状況変化に柔軟に対応できる
自己組織化された
拡張性の高い

チームではないかと僕は考えています。3つの条件を満たすために、チームのコミュニケーションの見直し、設計の開発プロセスの見直し、組織体制・役割分担の変更などを2019年実施してきました。上記は、アジャイル宣言に多分に影響をうけました。なぜ、この3つなのかというのは、またいずれどこかで。

【19年10月まで】2つのシステム、2つのスクラムチーム

アソビュー!は遊びを探したいゲストインターネットの力でより多くの人に体験を提供したいパートナーの大きく2種類のステークホルダーがいて、それぞれに価値を提供するためのプロダクトを開発しています。

当時の顕在化した課題は、

・プロジェクトマネジメント型の開発で、急な優先順位の変更ができなかったこと
・デザイン→開発→QA→運用と職能的機能軸で暗黙的な役割分担の境界があり、それぞれの間でコミュニケーションコストが増大していたこと
・顧客の要求を起点とするコミュニケーションが少なかったこと

などがあげられます。こういった課題を対処するために、ゲスト側の開発を行うチームとパートナー側の開発を行うチームを作り、スクラム開発を導入しました。

この期間にプロダクトチームで実施したことは、

・デザイナー、エンジニア、QA、SREなどの全職種を1チームにする
・デザイナー、QAのような顧客の品質に携わるメンバーに、スクラムマスターをお願いし、タスクの進捗だけでなく、質にも目が届くようにする
・チケットの起票を機能や実装箇所単位ではなく、ユーザーストーリー単位にし、全員がストーリーで会話できるようにする
・テスト工程はQAだけでなく、開発メンバーも行う
・パートナー側のチームには、ステークホルダーである営業・CSチームのメンバーも参加する

の5つです。

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これらにより、全員が顧客の要求(ユーザーストーリー)で会話し、価値の提供であるリリースに向き合うことで、出戻りの減少、テスト期間の短縮、そして安定したベロシティでの価値提供を実現できました。

【19年10月〜12月】LeSSっぽい体制&ベトナムオフショア拠点の活用&全員ソフトウェアエンジニア宣言

チーム全体がスクラム開発にもなれ、安定したベロシティで価値を提供できはじめた9月ごろから、別の危機感(課題感)が浮上してきました。

具体的には、

①ゲスト側/パートナー側どちらも顧客の要求を今のベロシティで実現するには、時間がかかりすぎること
②ゲスト側/パートナー側の両システムで密結合な部分があり、それぞれへの影響を考慮した開発が必要となったこと
③開発するに案件ごとに、フロントエンド領域とバックエンド領域の開発比率が異なるため、人員不足による開発期間の延長や一部分(デザインだけ、フロントだけ、サーバーだけ)の実装完了が起き価値提供ができていない期間が生まれたこと

の3つがありました。

これに対処するために、ベトナムオフショア拠点の1チームを追加した3つのスクラムチームを1つのバックログ、1人のプロダクトオーナーで運営するLeSSっぽい(ぽいと言ってるのは、まだ完全にフレームワーク通りできていないため)体制に変更しました。

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また、アソビュー!のブラウザサービスをよりプログレッシブなものにするという大義名分(?)をもとに、フロントエンド、バックエンド、インフラなどのレイヤーを制限した職種の考えから、1人1人が顧客へ価値を届けるソフトウェアエンジニアであるという考え方にシフトし、全員でサーバーサイド、フロントエンドの設計から実装までを実施しています。

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ベトナムオフショア拠点であるASOVIEW VIETNAMは、これまで新規機能・新サービスの開発で、特に要件が明確なパートナーサイドのシステム開発には活用されていましたが、今回はじめてのB2C領域でのアサインです。
10月からチームを組成し、現在は主にエンハンスメントの領域であるUI改善や、営業・CSチームからの調査作業・不具合修正を中心に行い、システム理解を深めていってもらっています。

この1年を振り返って少しずつですが、

①顧客への価値提供を最大化するために、環境変化に柔軟に対応できる、
②顧客への価値提供を第一と考え各自が議論・意思決定できる自己組織化された、
③日本国内に制限されず海外の人員拡充も可能な拡張性の高い

プロダクトチームが構築できる手応えを感じています。
※チームのみんなには、わがままな要望を受け入れてくれて感謝しかない

【2020年以降】これからやろうとしてること

あと7日で2019年も終わりますが、2020年にやっていきたいキーワードをいくつかピックアップします。(順番に意図はないです)

・価値提供を成果であるKPIを見て、PDCAをまわせるプロダクトチーム作り
・ビジネス構造とシステム構造、チームが一致した状態作り
・機械学習ができるデータ基盤作り
・エンハンスメント機能のベトナム拠点への移管
・リリース頻度や期間を短くするDevOps系の施策の実施
・顧客指向で部分ではなく全体を見れる環境構築

組織作りという観点では、今年3つの良書に出会えたのは本当に良かったです。ここに書かれているようなことは特にやっていきたい。
もしここまで読んでくださった方の中で、このあたりディスカッションできる方いれば是非情報交換しましょう!

・大規模スクラム Large-Scale Scrum(LeSS)
・LeanとDevOpsの科学[Accelerate] テクノロジーの戦略的活用が組織変革を加速する
・リーン開発の現場 カンバンによる大規模プロジェクトの運営

最後に

最後に宣伝です。アソビューでは様々な職種の採用を募集しています。興味がある方はぜひぜひオフィスに遊びに来てください。
https://hrmos.co/pages/asoview/jobs

アドベントカレンダーも残すところ後わずかですが、引き続きお楽しみください。
https://qiita.com/advent-calendar/2019/asoview

#ビジネス #プロダクトマネージャー #PM #開発 #開発組織


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