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NoCodeとMVP

いい天気ですね。

以前こちらのポストで、NoCodeの事業会社での展開のポテンシャルについて書きました。

前回はどちらかというと社内新規事業での使用可能性という論点でした。

今回は、実際にBubbleでサービスを作ってみた経験も踏まえて、Bizdev系の独立起業家にとってNoCodeのポテンシャルについて整理したいと思います。(そもそもNoCodeってなんだ?という方は上記の記事よりお読みください!)

ちなみに私がBubbleで作ったのはこちら・・・

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1. 仮説検証のステップ

当たり前ですが、プロダクトを作る前に、顧客が誰なのか、顧客の課題が何なのかなど、仮説を立てて、ディープインタビューなどによってある程度クリアにしておく必要があります。Dan Olsen氏の有名なピラミッドを参照しましょう。

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Productに入る前に、Marketを明らかにする必要があります。その後のステップに、プロダクト(=ソリューション)の提供価値、それを実現するために機能、そしてUI/UXの検証に意味が出てきます。これらの3つを検証するものが、広義のMVP(Minimam Viable Product)になるわけですね。

MVPを作る際に、ユーザーストーリーを突き詰めることは勿論、開発に必要な期間/コストと顧客にとっての価値のバランスを考慮したプロダクト設計にして、ROIを意識する必要があります。この文脈でNoCodeのスピード/低コスト性はフィットしますね。

MVPの細かい議論に関しては、こちらの書籍を参考にしてください。

ちなみに、上記の図におけるMarketに関する仮説を検証するための手段として、プレトタイプという考え方もあります。

LPだけ提供したり、サービス紹介動画などを公開したりしてユーザーの反応を見る手法ですね。こちらも低コストでスピーディな手段ですが、"課題の存在/大きさ"を検証することはできるが、"課題に対する手段の最適性"は検証することができないというのがポイントになります。手段の最適性に対してはMVP。

なので、上記の著作の著者は、

アイデア・課題を検証する=プレトタイプ
プロダクトを検証する=MVP

という整理をしています。

2. 改めてMVPとは

MVPという概念は、リーンスタートアップの提唱者であるエリック・ライにより有名になりました。

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最低限にViable(実行可能)であるということは、低機能を意味しているわけではなく、全ての要素を(最低限)部分的に満たしていることが重要ということですね。

"The Lean Product Playbook"では、以下のようなフェーズでMVPを整理しています。(インタラクティブ性=実際にユーザーが触れる/デザインの忠実度=lofi or hifi)

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3. NoCodeでできること

実際にBubbleを使ってみた率直な感想は、学習コストが半端ないということです。(楽しくもあるのですが・・・)

Bubbleが上のチャートでできることは、"クリック可能なモックアップ"や"インタラクティブなプロトタイプ"を作ることです。しかし、デザインをちゃんとしたものにしようとすると、素人にはかなりハードルが高く、データベースなどの機能を実装するとなると結構しんどいです。

結局Bubbleという特殊なフレームワークがある、という感じなので、NoCodeが掲げる手軽さは難しいでしょう。

他方でGlideは手軽にサービスっぽいものが作れるのですが、デザインがLofiすぎるため、MVPとして活用するのはかなりきつい。

なので、少なくとも現時点では、BizDev系の人間がBubbleやGlideで"そこそこのレベルの"MVPが作れるという議論はかなりの程度怪しい気がします。(誰でも仮説検証のスピードを上げられる!!という議論です。)

(結局私が現在作っているのはUIをBubbleに貼り付け、ワークフローでクリッカブルにしたモックアップです。これではNoCodeの良さが活かせていないと感じながらも、これしかできず・・・)

しかし、Bubbleはプラグインの種類の豊富さなど含めて奥が深く、使いこなしている方にMVPを作ってもらうという選択肢もあります。

この場合、コーディングで作るよりも(原理的に)低コストで実施可能であり、現在のNoCodeの一つの価値は、この制作コストの低さにあると言えそうです。(実際にNoCode開発特化型の企業が出てきています・・!)

また、もう一つのNoCodeの利点として、その低コスト性故に手数が増やせる点があります。

今までのリーンスタートアップの常識として、シングルプロダクトで細かくユーザビリティなどを検証していく、というのがありましたが、NoCodeで複数プロダクトを同時に開発して、どのマーケット/顧客に刺さりそうか判断する、という課題検証のあり方も出てくるかもしれません。(NoCodeスタートアップスタジオ)

昨今のスタートアップブームの背景として、AWSなどのクラウドの登場でサーバーなどのコストが低下したことが挙げられますが、NoCodeで初期の開発コストが低下するのであれば、リーンスタートアップのあり方も変わるかもしれませんね。個人的にはこの可能性が一番テンション上がりますね。NoCodeを活用した様々な事業体のスタジオ化。実際に、KPMGのようなコンサルがUnqorkを活用してサクッとプロダクトを立ち上げるという動きが出てきており、こちらの動きに期待です。

4. (ちなみに)様々なMXP

MVPを巡る議論は結構面倒臭く、色々な概念が出てきます。例えば、

MSP(Minimum Scalable Product) - グロースのためのプロダクトや組織

MSP (Minimum Sellable Product) - 必要最低限で売れる製品

MLP(Minimum Lovable Product) - コア機能のユーザー体験をとことん突き詰める愛されるプロダクト

などがあります。もうMVPなんて表現使わなければいいのに・・・。

5. その他MVP参考記事

有難うございました🙏

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