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地獄の塩谷100キロウォークへのチャレンジ!(2回目)その6

【雨と自分との闘い】
上平ポケットパークを出発。ほどなく50kmコースへの分岐(真っすぐスタート地点の小学校へと戻ることになる)を迎えるが、当然、そのまま100kmチャレンジにトライする。
今回からの新しいシステムとして、100kmだけでなく50kmや70kmのコースも設定されており、分岐点でスタッフに申告してその距離を歩くことで、完歩証を得られるとのこと。
逆に、例え90kmを歩いたとしても、そこでギブアップしたらリタイア扱いとなり、70kmの完歩証を得ることは出来ない。
限界まで歩くか?それとも完歩出来ないと判断して、短い距離でも完歩を取りにいくか?という判断が求められるのだ。

さて、暗くなると困るのが、水たまり。ヘッドライトの明かりだけでは、完全に水たまりを回避するのは難しい。クルマの来ない田舎道では、道路の真ん中を歩けばある程度回避出来る…とおもいきや、フェイントで大きい水たまりがあったりもするので、結局意味がない。
一応防水のシューズであったはずの僕の靴はもう水の中を歩いているかのよう。もう割り切って歩くしかない。

高速道路の脇を歩いたり、東北新幹線を遠望したりして46.9km地点の杉山農場、暖かいうどんのエイドだ。ハウス?を休憩用に開放してくれており、雨を凌げるのもありがたい。

サクッと食べて出発。トイレ待ちのアーミー&ミンタロチームより先行して歩く。
もうすぐ20時。そろそろ花火が上がるころだが、降りしきる雨の影響もあって全く見えない。
あとから聞いた話、小学校周辺では盛大に上がるのを見ることができたらしく、早めにリタイアした人や、猛スピードで歩いて小学校に近い地点で見ることができた人は楽しめたらしい。

真っ暗な田舎道をひたすら歩く。普通ならテンションも下がりそうなところだが、えみポンは田んぼから聞こえるカエルの大合唱に上機嫌な様子。
ヘンテコな習性だが、こんな時には役に立つ?
ところで、予報では20時には雨が止むハズだったが、全くその気配がない。
丁度近くを同じくらいのペースで歩く方と話していたら、なんと、雨予報が深夜2時ぐらいまで伸びているとか。
小学校までは降り続けるということか…とげんなりする。

53.7km地点のたておか商店で、自販機で温かい飲み物をゲット。
ここから62.3km、ヤイタ工業までは結構長い。前回の記憶通り、ここからは山道ゾーンに入る。
登り坂に入る手前、ミンタロ+アーミー軍団に追い抜かされる。弱音を吐いていて心配だったが、アーミー、根性でついてきているみたい。
しかし、一群のなかから一人、やきそばクン(焼きそばが好きだかららしい)が脱落。声を掛けて通過するも、大丈夫だろうか?
あとから聞いた話、やはり直近のエイドでリタイアしたらしい。
薄着だったこともあり、低体温にやられたのだとか。

途中でおにぎりと暖かいスープの私設エイドがあり、感謝。
エイド間が長いところでの私設エイドはまさしく神に思える。
ヤイタ工業の明かりが見えてきて、坂を上りきるとようやく62.3km地点だ。

ようやく雨も、少しずつ弱くなってきている。小学校まではあと7kmほどと、もうひと踏ん張りだ。そこで装備を全交換するとしよう。暖かい飲み物で少し元気になり出発。
確か、この後に私設エイドでおでんが提供されたと記憶していたが、それは残念ながら見当たらず。途中からはスタート直後に歩いた道を逆から歩く形になり、スローペースになりながらもなんとか69km地点の玉生小学校に到着した。

【限界を超えて】

通過チェックを受けて、ここのエイドは焼きそば、フランクフルト…そしてイチゴ!!!
おばちゃんが「どんどん食べて!遠慮しないでね!」と薦めてくれるので、イチゴを山ほど頂く。ほんとにこんなに食べていいの?

そして体育館へ。既にゴールした人や、リタイアした人が仮眠を取ったり、そのまま100kmにトライする面々もいたりと、そこそこカオス。

さて、足はどうなっているのか…恐る恐る靴下を脱ぐと…

あ…
これ…
アカンやつや…
完全に水にふやけてしまい、今にも破れそうな状態。水膨れもできている。
その前から痛みを感じていたが、これはかなり危機的状態。
ストーブで乾かしたり、塩クリームを塗ったり、マッサージしたりと、応急措置。
その間に、先着していたミンタロ+アーミーは出発していった。

えみポンの調子は、流石に疲労はあるものの、防水対策がよかったためか、まだまだ元気そう。マッサージをすればまだまだ大丈夫だ。
時間は2時を回った。次のチェックポイント79.7kmの道の駅までは10km以上の道のり。結構キツイ区間であり、時間帯だ。
急に激しく体育館の屋根に打ち付ける雨音に、出発する気持ちを削がれ、暫く休憩。
この時点で自分の完歩は断念した。多分一人なら、ここでリタイアしただろう。
だけど、何とかえみポンだけでも100km完歩してほしい。暗闇の中を一人で歩くのはかなり厳しいので、せめて次のチェックポイントまで伴走できれば、あとはまもなく明るくなるので、なんとかなるだろう。なんとか限界まで頑張ってみるか…。少し雨も弱まった2時半、重い足を奮い立たせて出発した。

塩谷町中心部を歩きだす。普通に歩こうとすると、足に激痛が走り、思うようにスピードが出せない。これでは時速4キロ程度か?
このままじゃ次でタイムアップだな…と考え、軽く駆け足に近いフォームに変更。実は、歩きで限界が近くても走るのとは足の使い方は異なるため、走ることは可能だ。ということを、過去の経験から知っていたからだ。ただ、スタミナは著しく消耗するので、あまり長くは持続しない方法でもある。

好都合なことに、僕らと同じぐらいのペースで歩く参加者がいた。これぐらいのペースなら、次の関門は無事に通過できるだろう。
上り坂に差し掛かったところで、案外早く僕の足に限界がやってきたことを悟る。多分72km地点ぐらい。
ああ…これ以上はついていけない。
唐突にえみポンに
「ここから一人でイケそう?」
一瞬迷ったえみポンに
「ちょっとオレは無理やわ。ギリギリまで歩くけど、多分次でタイムアップになりそうや。えみポンだけでも頑張ってゴールして!」
と限界を伝え、送り出す。
「わかった。無理しないで」
と軽くハグして、歩きだすえみポン。
僕もペースを落としてゆっくりと歩きだす。
すると、少し先へ先行していたペースメーカーにいいかな?と思っていた先ほどの参加者を、軽々と追い抜いていく。
これなら大丈夫かな?ちょっと飛ばしすぎていないか心配だけど(笑)

【結末】
73.4kmのファミリーマートに寄ろうか一瞬迷うが、動けなくなりそうなのであえて通過。
その直後の私設エイドで、ありがたくチョコを頂き、口に含みながらノンビリと歩く。
完全に雨もやみ、上を見上げると星空も。
まあダメだとわかっていながらだが、一番気楽に歩くのを楽しめている瞬間かもしれない。

徐々に辺りが明るくなってきた。ぼんやりと、霧につつまれている。
幻想的だな~
と思いながらぼんやり歩いていると、前方からなぜか参加者が!
落とし物でもしたのか?だけどそんなのなかったけどな…と思いつつ声を掛ける。
すると、「いや、コース通りに歩いてきたんですよ?」とのこと。
こちらもハテナだ。
聞くと、道の駅しおやまでは既に行っており、そこから看板通りに歩いてきているのだという。
しかし、丁度僕も方向指示看板を通過するところだったので、こちらが間違っていることはありえないし、この区間で同じ道を行き帰りで通ることもない筈だ。

多分どこかで間違えたのだろうということを伝え、一度戻ってみることを薦めた。
あとから見ると、やはりどこかで看板を見落としたものだと思われる。濃い霧だし、見落とすのも無理はない。

再び一人で歩く。ふとそろそろか?と時間を確認したら、ちょうど5時。次の道の駅しおやの関門時間だ。
まあお迎えの車が来るのか?なんとか自力で辿り着けると良いのだけれど…と思いつつ歩いていたら、後ろからエンジン音が聞こえ、横に止まる。
スタッフさんから声をかけられ、ありがとうございましたとお礼を述べて車に乗り込む。

僕の2023年、しおや100kmウォーキングが終わった。


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