見出し画像

5G線上のアリサ【第3章#8話】本音

#8話:本音



【視聴時間=03:00】


「中学生の頃、あたしはいじめる側を助けたのに、何でいじめられる側に回ったのよ? 辻のクソ野郎は今頃結婚でもして幸せにしてんの? 一回も同窓会に行けなかった苦しみが分かるか? あぁん?」

「それは安江のせいでは……」

「……そうだよ。安江ぇ! テメェもいじめる側に加担しやがった犯人と同じだよ。テメェのせいで十年以上睡眠薬を飲まないと眠れなくなっちまっただろう。強い眠剤じゃないと効かないから、朝起きられない気持ちが分かんのか、このクソ教師が! 辻も安江もこれ見てんなら土下座して謝れ!」
清水/池田

ネットも現実リアルも唖然となって〈壊れた!〉〈キレた!〉と話題が起きた。

戸惑う老人たちを見ながら10万人へとアクセス上昇。

20、30万人に膨らみVR上は熱膨張。

「ここからよ……」

自己愛呼ばわりされた時から他人に引いていたバリアを解いた。

続き井口を眺めぶるーを想定しながら叫び出した。

「あんたが生きているかどうか知らないけれど、尽くしてきたよ!いいや、嘘だ! 本当は自分を守るためにーーー」と泣き崩れながらーーー

「―――傷付くのが怖かった……だから会いに行けなかった……あなたを不安にさせて本当にごめん! だけどね、ネット上でも、電話も出ない、顔も見せない上に病気だなんて言われても、こっちだってどうしていいのか分からなかったんだ……」

あれから誰も愛せないようになったことの魂の叫び。

さらに平野を見ながら愛利沙はインフルで死んで天国にいる、両親にすら毒突きながら届かぬ想いを吐き出した。

「お父さんもお母さんも、あたしが登校拒否になっているのに何でアドバイスもしてくれなかったの? 普通、親は子供が困っているなら助けるものでしょう? 20歳で定時制高校をたらい回しにされたのに、どうして何も言ってくれなかったの……親の愛情が欠けているからあたしも愛情の足りない人間に育ってしまったんじゃないの? 天国にはネットは繋がらないけど、30万人の人たちにあんたたちの育て方がクソだったって言ってやる! 死んだ時、実はせいせいしたわ!」

涙を流し嗚咽を漏らし本音で叫び生徒に向かい、今言ったって何の意味もないことばかりを並べながら、長年溜まった鬱憤を晴らし届かぬ想いを伝える愛利沙。

40万人以上の人に見られるロートルズの面々は、彼女の抱えた心の曇りの鏡となって見つめ続ける。

残る一つの本音の告白。

毒吐く愛利沙の独白ショーはラストパートに突入。

ここから劇的変化を迎え始める。

そして新たな超難事件が幕を降ろすことになる。


次回の記事と作品です。ぜひご覧ください
4月のnoteカレンダーです。
新着記事と作品は19:00頃にアップします。

『”Drak Spaces”perfomed by Black Rhomb,used under license from Shutterstock』

Thank you for reading!