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5G線上のアリサ【第3章#4話】

#4話:公開処刑



【視聴時間=03:15】


長野の時期が空白だったまとめサイトの愛利沙の記事は、十分埋まり〈アイムソーリーが一体どうしてフォローをしたか?〉彼女がそれほど何者でもない存在だったと分かった以上、議論の点が徐々に絞られ待っていたのは公開処刑。

魔女裁判にかけられるようにVR上は大騒ぎ。

パソコン教室開店前に立ち並ぶロートルズは、スマホを片手にVRメガネに書き足されるログを眺め、「オープンしたわ!」と大きな声をかけられるまで夢中であった。

「やっと気付いた。おはようございます、皆様」

「まとめサイトやツリッター見たか? 二十歳はたちの頃からの事も全部書かれとるで」

「20歳から一人で中学校の勉強を始めて、22歳になるまで定時制高校をたらい回し」

「町長も俺も噂は耳にしてたけど……何もできんかったよな……」

「……それから一人、他県の学校に入学ーーー」

「―――ここにある情報はその時通っていた通信制高校の子たちが情報源ソースのようですね。事細かく正確に書かれています」
清水/池田/平野/井口/平野/加護

全員震撼。

衝撃が走る。

教師の事実。

過去と現実。

今日の授業は愛利沙のフォロー。

彼女の壊れた心を癒し、力になるため初老の面子は円陣を組み戦闘準備。

VRメガネをオンにしたなら相も変わらず人混みが囲み、アリサ目当てで面白がっているネットの客で埋め尽くされる。

「これではまるで追跡や監視」

「フォローとフォロワーって一体何?」

加護に対しSNSの疑問をぶつけるロートルズは、愛利沙が気を引く男を頼りに打開策を話し出した。

「使い方や、相手次第です。芸能人や実績を持った有名人ならともかく、一般人が突然100万人のフォローを得たら、対応次第でこうなるのが現状ということでしょう」

「私は昨日、腹が立ってよく眠れなかったわ。愛利沙ちゃんのツリッターを見たけれど、イイネもリツリートもたくさん。せっかく承認欲求が満たされたのに、これじゃぁ幸せだなんて言えないわよ」

「長野まで行ったのに、ぶるーって奴が急に連絡を寄越さなくなったんだろう? その架空の恋人に言われた言葉が今でも愛利沙ちゃんを苦しめるんや。俺はそいつがムカついて仕方ないわ」

「自己愛ってやつか」
加護/平野/井口/池田

それから彼らは同時にgoogleで検索しググり愛利沙が該当しないと探る。

「自分に対する過大評価」「特別扱いが当然」もない。

そんな傾向はない。

でも、「自分のことに夢中な余り他人に対する共感性に乏しい」ことが当てはまると、親身になって話を続けこの戦争に勝つことを掲げ、人間不信になる出来事が多過ぎた過去を持つことにこそ、原因があり此度の戦の論点があると見出した。

清水

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