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5G線上のアリサ【第4章#9話】正体のネタバレ

#9話:正体のネタバレ



【視聴時間=08:30】


翌朝、愛利沙は炎上中のVRメガネをかけて覗いた。

トレンド1位が自分ではなくアイムソーリーのつぶやきにより、染まっているのを知ったことからその目は一気に覚めだした。

彼のつぶやく短い言葉はイイネが2000万件超えて、日本のツリッター人口多くを巻き込みながらリツリートされ、国民全土をNHKの国会中継へ釘付けにした。

総理がどんな発言をするのか気になる一日になった。

「……まさか、加護さんが探していた第三者……」

思えば自分がフォローされたのは偶然ではなく必然ならば、自分の身近にいる者だけしか手掛かりがないというのであれば、加護が一番、怪しい上に、愛利沙が過去を乗り越えるために―――

「―――どんな風に傷付けるのか、恐れることなく自分で確認しにいきましょうか」

いつも通りに昼に並ぶ4人に向かい挨拶した後、椅子に座り推理を出し合いトントン拍子で話が進む。

「ロートルズの集合知は並外れているものがある」と、加護の口から「日本を変えただけあると」讃えられた。

「―――まさかーーー」

「―――そう、皆様にとっては日頃のブレイクタイム。ですが、ある人にとってこれは、貴重な言葉の数々だったのです」

加護は自分の言葉で切り出し大垣住まいは本当だが、大垣生まれ大垣育ちというのは大きな嘘だと言って―――

「―――すいませんでした。私、本当は東京生まれ、東京育ち。この地にはある人から派遣をされて来たのです。ちょうど5年前―――」

加護の生まれ育ちの謎を探り当てる時が来たと、ロートルズは目を光らせて国会中継を待った。

「その人は、ネットにはえらく疎い世代……というわけでもないのですが、60過ぎでもパソコンやスマホはさっぱり。東京の専門家に聞いても耳を右から左。入って来なかったのですね」

けれども時代はテクノロジー化を果たし5年前5Gへ、移り変わりIOTの使い方が明暗を分ける。

ビジョンはあるが自分の知識や発想力では叶えられずに、国を今より真なる意味で豊かにさせることができずに―――

「―――終わっていくはずの人でした。ですが、この国を襲った地震、津波、原発問題。加え決定的になったのがインフル感染、ロシラ戦争問題です」

天災、細菌、戦争3つが平和な世界を脅かした。

加護が語る男の苦悩は騒ぎを起こした大国のこと。

高齢者がSNSを上手に使うことができずに、テレビの情報ばかりに流されプロパガンダ状態となれば、第三次世界大戦すら引き起こすことに恐怖を抱き、5G線上ネット社会を正しく学ぶことが動機と打ち明けた。

「東京を中心にしか物事を考えられないこの国の異常さと対応力のなさ。それをIOT化で変えようとしたのです」

最初は見えない話が徐々にパズルのように解き明かされる。

けれどもまだまだ話の底が見えず仕舞い。

加護を頼り、国会中継前にパーツやピースを与える男に食い入る。

「政治家というものは世襲制度の面が大きく、彼らの警護も信頼できる者のみで固められています。要するに箱庭育ち、世間知らずのボンボンのままではいけないと気付いたのですね」

けれどもそれでは地方に住み着く国民を犠牲にするのと同じ。

確信を抱き、加護を通しVRメガネで一緒にネットを学習すると、胸に誓い、最高の人材探しをした末、この地に至り、アリサのパソコン教室を選び国家を発展させていった。

「私が仕えるその方は、田舎の人の気持ちや立場で物事を考えようとしていました。私のとあるアカウントのツリッターで検索をしたところ、アリサのパソコン教室が目に入りました。体験学習をした後、楽しみながら学べる確信に至り、私がこの地に派遣をされたというわけです」

「……その人ってまさか……」

「……いや、そのお方というべきではないかなぁ……」
加護/平野/池田

加護の前振りは1000万人以上のフォロワーたちが聞いて、音声だけをオンにしている自分のアカウントから伝えながら、アイムソーリーの本人の真相を皆に静かに答え出す。

「清水先生、先日アイムソーリーの正体を知りたくはないかと100万人のフォロワーの方々に宣言をしましたが、その正体を教えてよろしいでしょうか?」

国会中継が始まる前にネット上は沸きあがった。

同時並行で拡散し続け世界中へとリンクし続け、仕事も家事も勉強も止めて市民を加護へと集中させて―――

「―――この際なら知りたいです。教えてください、加護さん」

「分かりました。では私のツリッターVRを初めてオンにします」

加護がその手をスマホに添えてメガネの機能をオンにすると、1000万人以上の画面に愛利沙の顔が映り出した。

「……えっ? これってーーー」
「―――まさかーーー」
「―――アイムソーリーの正体は……」
「……加護さん、あなただったのですね」

一瞬、自分の顔を覆い必死に隠した愛利沙であるが、加護がその気になっているのなら「自分もね」と受け入れた。

令和の予言者アイムソーリーの正体はいつも側にいた、アリサのパソコン教室で習う最古参の加護だった。

謝りますアイムソーリー。私がアイムソーリーです。今まで隠していて本当にすいませんでした」

この告白に日本中が驚き5G線上ネットのアリサが実はーーー

誰もがスマホとメガネを片手に頭の中を整理し始める。

「愛利沙が育てた最初の生徒は八名蜂谷の隠れ秘書か?」

「その通り」と答えた加護は国会中継に繋げ合わせて、清水愛利沙の炎上騒ぎを収めるために動きだした。


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