見出し画像

DX(デジタル・トランスフォーメーション)をしっかり理解するための良書たち

はじめに

最近コロナウィルスの影響でリモートワーク/テレワークなどIT活用の必要性が叫ばれています。
また、その中でデジタル・トランスフォーメーション(以下DX)についてもよく耳にするようになってきました。

ただし、DXは人によって解釈が違うことがあります。(それってプロセスの自動化のこと・・?とか)

私たちも日本企業のDXを推進したいと考えている会社の一つですので、今回はDXを理解するための素晴らしいレポートを5つ紹介します。

そもそもDXとは?

IDC Japnaは次のように定義しています。

“企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内
部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること”

少しわかりづらいので噛み砕くと、DXとはデジタルデータを活用することで、ビジネスモデルを変革し、新たな価値を提供することです。
これから紹介するレポートもこの前提で記載されています。

それではここからDXについてより深く理解していくために、主に経済産業省から提供されている有用なレポートを紹介していきます。

1.DXレポート

このレポートでは2025年の崖を中心に、日本企業が取るべきアクションについて記載されています。
2025年の崖とは、2025年に日本の大多数の企業が技術的負債に陥り、レガシーシステムの維持にコストをかける必要があり、結果として、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があるというものです。

また、その他にも下記のようなことが具体的に記載されています。
・DXを妨げる企業における課題
 →曖昧な経営戦略や目的なきシステム導入
・日本特有のIT人材の配置
 →多くのIT人材はベンダーに所属
・2025年までのめざすべき目標数値
 →IT投資やIT人材の配置

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html
※時間がない方は「簡易版」だけで十分です

なお、日本特有のIT構造(ベンダーに人が多く、ユーザー企業に少ない)がなぜ生まれたかについては、ところてんさん(@tokoroten)のスライドが非常に参考になります。
https://www.slideshare.net/TokorotenNakayama/dxdevopstechlive
該当箇所はp.60からですが、全体として素晴らしいレポートですので全篇お読みください

2.デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン

このレポートでは企業がDXを推進するために取るべきアクションが「経営のあり方」、「ITシステムのあり方」の2つの軸でまとめられています。
経営のあり方については下記のように5つが定義されています。
 1. 経営戦略・ビジョンの提示
 2. 経営トップのコミットメント
 3. DX 推進のための体制整備
 4. 投資等の意思決定のあり方
 5. DX により実現すべきもの: スピーディーな変化への対応力

また、ありがちな失敗ケースも記載されており、”経営者が明確なビジョンがないのに、部下に丸投げして考えさせている(「AI を使 って何かやれ」)”
といったことはよくあることではないでしょうか?
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004.html

3.デジタル経営改革のための評価指標

このレポートでは、企業がどの程度DXを推進できているかを定量/定性の両軸で判断するために、具体的な評価項目が列挙されています。
例えば、定性評価だと、ビジョンや経営層のコミットメント、マインドセットなど。定量評価だと、IT予算や人材の数など。
また、この結果をIPAに提出することで総合的に分析してくれるとのことです。
https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003.html
※関連指標から「DX推進指標」を参照ください

4.DX銘柄

昨年まで攻めのIT銘柄という攻めのITを実践している企業の一覧が選定されていました。
今年からはDXを推進している企業を選出するといったものに変わっています。
重視するポイントは下記で、上記のガイドラインや評価指標で言及されている取り組みが評価基準となっています。
 1. ビジネスの変革 機会とリスクを踏まえたビジネスモデル
 2. 戦略的取組
 3. 経営者のリーダーシップ→経営者自ら全体戦略をステーク

なお、今年の2月に選定方法に関する説明会が実施されたそうなのですが、定員の関係からZoomでの配信も行った模様です。
中央省庁主幹の取り組みでSaaSが使われるというのは嬉しいですね。
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/meti_meigara2020.pdf

5.その他

デジタルガバナンス・コードというデジタルガバナンスの達成度を測るための基準が策定される予定です。
検討会に関するレポートも提供されています。
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/meti_meigara2020.pdf

まとめ

ここまでDXに関するレポートを紹介してきました。全てのレポートの完成度は高く、現状の分析や取るべきアクションが明確に提示されています。
特に経営層のコミットメントなしにDXは難しいという点や、日本のIT人材の構造的な問題点を国が指摘しているという点は非常に興味深いです。

ただし、分析や道しるべの提示だけでDXは成し得ないと考えています。
それぞれの企業が現状に目を向け、改善策を講じ、実践していくことが不可欠です。

私たちの会社としても、すべての企業が簡単にシステムを使える社会を目指しています。
その社会を実現できる時がDXが実現できた状態だと考えています。
まだまだ小さな会社ですが、仲間を募集していますので、興味がある方はぜひご連絡いただけると嬉しいです!!

一緒に日本のDXを推進していきましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?