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居る場所で変わる普通-834.194-

5月13日(木)、有給を取って、北海道札幌に来た。行きの飛行機も楽しい。運よく窓側に座ることができて、窓から見える風景から、日本の国土の特徴を改めてよく理解できる。北海道という土地が開拓使によって拓かれ、またその土地は秩序立って綺麗に区画で整理されている。その様子が上空からだとくっきりと見える。体感を持って全体を観ることで、2000年を悠に超えた時間を掛けて、この土地が作られたのだと思うと、それだけで感慨深い。人の些細な営みの積み重ねが、遥かな時間を掛けて、このような形をなしていることに言葉に尽くし難い重みを感じる。

成田空港から2時間ほどで新千歳空港に着いた。駅直結のJRで札幌に向かって、まず驚くのは湿度がほとんどなくてかなり過ごしやすいということ。夜は肌寒いくらいで、地元の人と思しき人は長袖を着ている。

夜はサッポロビール園でラムジンギスカンを食べた。2時間の食べ放題コース。ラム肉が甘くておいしかった。初めてジンギスカンを食べた時は、体の内側がジンジンと熱くなったけど今回は全くなかったので、良い肉だったのかもしれん。

サッポロビールの博物館に行った。どんな歴史をたどってきたかを知ることができた。開拓使の1人である中川がビール作りに力を入れ、ドイツまで行って勉強してきた。
当時ビールは高価で日本酒3.5升相当だったらしく、一般の人にも手が出やすいような価格にした。その貢献は計り知れない。

食べ終えた後、宿泊先である小樽までに向かった。目的地として選んだ理由の一つは、サカナクションが好きで、ボーカルの山口一郎が生まれ育った地だったから。日本を代表するミュージシャンがどんな場所、空気を吸って暮らして、名曲が生まれてきたのかということに強く興味を持っていた。

札幌から小樽は電車で50分ほど。東京だと新宿から八王子とかそのくらいの距離か。宿泊先はトレーラーハウス型の無人のホテルだった。ドミトリー型で予約して、ベッドは6つあり、蓋を開けたら予約者は自分しかいなく貸し切り状態だった。ラッキー。

慣れない場所では眠りが浅くなるので、いつものようにオードリーのラジオを聴いて、22時過ぎに眠りに落ちる。

5時に目が覚める。昨日コンビニで買った菓子パンを齧り、身支度を済ませて7時にはチェックアウトした。そのあと、昨晩ビールを飲みすぎて散歩したかった小樽運河を散策する。夜景での小樽運河の印象が強すぎて、朝方の運は少しもの悲しさを感じるような雰囲気があった。

一通り歩き、朝方駅前にある三角市場で食事し、食堂で3点盛りの丼を食べた。
食べ終えて、朝方8時。JR小樽駅の待合室で遠巻きで改札から出勤で次々と出てくる大勢の人を見る。この街でこれだけ多くの人が働いていることが驚きだった。この地にこれだけの人の生活を支える産業があるということに。


東京に10年も住んでいると、いろんなことの感覚が麻痺してくる。
満員電車でぎゅうぎゅうに押し込まれた状態で、半ば人の圧で電車から目的の駅に降りることが日常化している身からすると、席もほぼ座れるということに感動した。いつものあの窮屈さは全くない。東京生活の過密状態が当たり前になってしまって、ゾッとした。

日本の各所を回ることの良さは、自分の暮らしている街を相対的に捉えられるようになることもあると思う。居る場所で変わる普通。北海道旅行2日目でそんなことを思った。

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