Mio Isami

理論なき批評

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最近の記事

2022年に聴いた洋楽アルバム備忘録

2022年に聴いたアルバムで良かったものをすごく簡単に振り返ります。 1.BAD OMENS おすすめのトラック:02,04,06,14 BAD OMENSの新譜。全体的に悲しくなり、"Running in Circles"や”Burning Out”のような明るい曲がかなり減ったが、これはこれで好み。”Dethrone”の激しさをもう少し抑えたような感じ。中でも06はトップクラスに悲壮感がある。14は、今までと比べると割と新感覚。Bring me the horizo

    • 2021洋楽アルバムレビュー

      序エレクトロニカからロックを中心に、今年気に入ったアルバム8作品を簡単にレビュー。 1. Clark "Playground In A Lake" おすすめのトラック:02,03,06 IDMジャンルの担い手の一人であるClarkの新作。今作のレーベルはWarpではなく、ドイツのGrammophonから。私のClarkのイメージは、バリバリの電子音の曲からピアノが基本のの美しい曲まで幅広い…というものであるが、今作は後者の色が非常に濃かった。トラック02、03は2001

      • 東方虹龍洞・曲感想

        ~~~~~~~~~~~~~ネタバレ注意~~~~~~~~~~~~~~~ 序おそらく多くの人が、2020年という一年の空白から、此度の新作に対する期待を過分に膨らませていたであろうことは想像に難くない。こうして取り立てて感想を書こうと思ったのは、毎年当然のようにあったゲームタイトルのリリースが1年欠けていたために懐いた、蓄積された待望の念の発散ために他なりません。 タイトルテーマ第一の印象としては、近年のややアップテンポな曲風とは違いやや湿気のある空気を含んでいるという点。今

        • 2020個人的ベストアルバム5選

          ※掲載順は適当である。 1. Grimes "Miss Anthropocene" おすすめのトラック:03,05,10 満を持してリリースされた通称"FAIRY QUEEN"、Grimesの新譜。前回のアルバム”Art Angel"のポップな雰囲気を残しつつ、トラック01,07からは前作にないダークでミステリアスな空気が漂っている点が特徴的。今や"Geidi Primes"や"Halfaxa"の頃の幼さやアンビエントな一面は薄らいでいるとはいえるが、これまでとは違う壮

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          「逆転裁判4」レビュー ─三部作と比較して

          〜ネタバレ注意〜 逆転裁判4では、三部作と言われる「逆転裁判1,2,3,」シリーズとは大きく異なり、新しく登場人物やシステムの導入が図られた。 本作に対する評価は決して低くはないと思われるが、三部作と比肩すべかりけりという類の評価は殆ど無いだろう。  たしかしに、これまでの登場人物が放置されていることへの不満や、「見抜く」システムが言いがかり的であったり、一部登場人物の行動が意味不明であったりしたことなど、合点の付かない部分も処処にある。しかし、三部作との評価を決定的に別っ

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          アマガミプレイ後における虚無感とその治療法

          「アマガミ」というゲームをプレイしたことのある多くの人が、ある感覚を覚えたに違いない。それは、虚無感、虚脱感、あるいは〈現実〉との面晤─すなわちアマガミという〈物語世界〉からの疎外感のようなものだろう。 その虚無感とは、エンドを迎えた瞬間ゲーム内の〈物語世界〉が姿を消し、水泡に帰してしまうことに起因している感情である。 私はその脱力感の症状に酷く悩まされる患者の一人である。私の自己分析を通して、一人でも多くのアマガミストがこの病から立ち直れることを願って止まない。 さて

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