「逆転裁判4」レビュー ─三部作と比較して

〜ネタバレ注意〜





逆転裁判4では、三部作と言われる「逆転裁判1,2,3,」シリーズとは大きく異なり、新しく登場人物やシステムの導入が図られた。
本作に対する評価は決して低くはないと思われるが、三部作と比肩すべかりけりという類の評価は殆ど無いだろう。
 たしかしに、これまでの登場人物が放置されていることへの不満や、「見抜く」システムが言いがかり的であったり、一部登場人物の行動が意味不明であったりしたことなど、合点の付かない部分も処処にある。しかし、三部作との評価を決定的に別った真の原因とは物語における〈因縁〉の有無なのである。〈因縁〉とは、血縁という抗えぬ結びつきであると同時に、人々のさまざまな出会いも含まれる。

「逆転裁判3」における〈因縁〉とは、一見関係が無いと思われていた「美柳ちなみ」と「綾里家」の一族の繋がりである。そして、その渦中にあった「成歩堂竜一」は、かつての恋人と、師匠、として同僚という複雑な関係の縺れ合いの中で事件の真相に迫る。
 そしてその〈因縁〉は「法廷」というコンテクストによって成歩堂竜一とゴドーに結びつけられ、「逆転裁判」「逆転裁判2」とも連関していく。
 そこに「逆転裁判」三部作を引っくるめた運命力の激動と悲哀のドラマを見ることができる。すべては、一本の線で繋がっていた!とばかり言うようにである。

その一方で、「4」において、その〈線〉は、どうも強引に綯い合わされたような感が拭えない。
 ガリュー弁護士の復讐と、アルマジキ一座という二本の〈線〉は、平行線であった。
 つまり、ガリュー弁護士が行った計画の中に、アルマジキ一座が組み込まれる必然性は無かったのである。そこに〈因縁〉はない。
 たしかに、成歩堂竜一が美柳ちなみに出会うというのは三部作における奇妙な〈偶然〉である。しかしそこには、〈法曹界〉と〈綾里家〉とを結ぶ強烈な運命力というものを感じさせる。
「4」はそれと異なり、〈法曹界〉と〈アルマジキ一座〉を結ぶ線は薄く、弱いのである。
「4」までをプレイした所感であるから、本作以降における展開は考慮しないが、本作と三部作との決定的な違いはここにあると考えている。

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