マガジンのカバー画像

言葉の覚え書き

961
日本語の一貫したスタイル・ガイドとして、用字、用語や文章表現に関する情報をまとめています。「ココナラ」で、文章校正サービスも提供しています。詳細はこちらから https://co… もっと読む
運営しているクリエイター

#校正

『言葉の覚え書き』目次

【第1部 表記】組版右横書き 文体口語体と文語体 常体と敬体 能動と受動 文のねじれ 「べき止め」 「さ入れ表現」 可能の表現 助動詞「れる」「られる」 可能動詞 「ら抜き言葉」 用言の活用と音挿入 改行・段落改行と段落 文字種日本語の文字体系 全角と半角の使い分け アルファベット、アブギダ、アブジャド ギリシャ文字 Unicodeについて ヘボン式ローマ字 漢字常用漢字 同音の漢字による書きかえ 字体・字形 仮名現代仮名遣い 「じ」「ず」と「ぢ」「づ」 漢語に続

「興行」と「興業」

「興行」は、演劇やスポーツなどの催し物。 「興業」は、新たに事業をおこすこと、産業を盛んにすることです。

「頭骸骨」?

ズガイコツは、「頭骸骨」ではなく、「頭蓋骨」。「頭蓋」とは、脊椎動物の頭部の骨骼を指します。 ちなみに、医学や生物学ではトウガイコツと読むそうです。

「耳を『そば立てる』」?

「そばだてる」は「欹てる」と書きます。

引用文献の書き方──デジタル上での表示に関する付記

引用文献の表記、特に通し番号を付けて記述する方法について、既出の文献を再度引用する場合、従来は下記のように示すのが慣例でした。 しかし、近年普及している電子書籍などのデジタル環境では、このような方法では若干の不都合が生じます。 というのも、「同上」「前掲書」という記載は、一続きの同じ一覧にあって初めて成立するものだからです。印刷媒体では文献はリストにまとめて載せるので、特に支障は生じませんでした。 ところが、デジタル環境では、リストに載せる以外に、ポップアップなどで註釈

「狂乱怒濤」?

正しくは「狂瀾怒濤」。 「瀾」も「濤」も大きな波の意。荒れ狂う波のように、ひどく混乱しているさまをいいます。 「狂瀾を既倒に廻らす」は、波を押し返す意から転じて、傾きかけた形勢を元に戻すことです。

「1箇所で『寸断』」?

「寸断」とは「きれぎれに断ち切ること。ずたずたにきざむこと」(『広辞苑』第七版)ですから、本来は複数箇所が断ち切られる場合に用いる言葉です。

「すべき仕事」? 「するべき仕事」?

「べき」は、義務を表す助動詞「べし」の連体形で、用言の終止形の後に続きます。 文語「す」の終止形を使うなら「すべき」、口語「する」の終止形を使うなら「するべき」となります。したがって、この2つは動詞における文語と口語との違いでしかないので、どちらでもよいということになります。硬派な内容なら「すべき」、読みやすさを重視するなら「するべき」というふうに、目的に応じて使い分ければいいでしょう。 但し、「べき」は連体形で、必ず体言の前に使うものですから、文末に来ないように注意して

「もぬけの空」?

「蛻ける」とはセミやヘビが脱皮することで、「蛻」はその抜け殻をいいます。したがって、人が去った後の空間は「もぬけの殻」が正解です。

大統領は「宰相」?

「宰相」とは、もと古代中国で「天子を助けて政治を行なった官」(『日本国語大辞典』精選版)のこと。あくまで元首の輔佐役、というわけです。したがって、国家元首たる大統領に用いるのは適切ではありません。 一般に行政府の長を指す「首相」も、首席の宰相を表す語です。これも、元首が別にいるからこそ成り立つ表現です。

「地域『遍在』」?

ここでは地域によって医師の数にばらつきがあるという意味でしょうから、「偏在」が適切です。「偏」は「かたよる」という訓読みのとおり、全体の釣り合いを欠くの意。 「遍在」の「遍」は「あまねく」と訓読みします。すなわち、どこにでもあるという意味。「偏在」とは意味が正反対です。

「水菓子」

「水菓子」とは、水羊羹やゼリーなどの水分の多いお菓子のことではなく、フルーツ、果実類のことです。 そもそも「菓」という字は果実の意で、「菓子」はくだもの全般を指す言葉でした。それが、江戸時代になると、和菓子など嗜好本位の食品と区別するために、くだものを「水菓子」と呼ぶようになったのです。

「持ち回り」と「回り持ち」

「持ち回り」とは、稟議書のように関係者の間を順次巡ること。 順番に担当することは「回り持ち」といいます。

「行かざるおえない」?

「行かざるおえない」ではなく、「行かざるをえ(得)ない」。 こう書いてしまう人は、「行かざる」「おえない」というふうに、そもそも語の区切りを誤認しているものと思われます。 正しくは、「行かざる」「を」「得ない」。「得ない」は「やむを得ない」と同様、「得る」の否定形。通しで、「行かざる」ことができない、すなわち「行かないわけにはいかない」という意味になります。