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言葉の覚え書き

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2022年2月の記事一覧

「気が置けない」

2012年度の「国語に関する世論調査」では、「気が置けない」の意味として、「相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい」と答えた人の割合が42.7パーセント、「相手に対して気配りや遠慮をしなくてはならない」が47.6パーセントという結果でした。 「気が置ける」とは、何となく遠慮の気持ちが出てしまうの意。したがって、「気が置けない」とは、遠慮が要らない、気を遣う必要がない、ということになります。

読めますか?──「陶冶」

トウチ、トウジではありません。「冶」の字をよく見てください。さんずいではなく、にすいになっていますよね。 正解はトウヤ。陶器や鋳物を作ること。転じて、もって生まれた才能を育て上げること。 「冶」の音読みはヤしかありません。「鍛冶」は「かじ」と読みますが、これは熟字訓で偶然そうなっているだけであって、「冶」を「じ」と読んでいるわけではありません。

「チェルノブイリ」

原子力発電所の事故があった当時はソ連領だったので、日本ではロシア語名の「チェルノブイリ(Чернобыль)」が一般的ですが、現在はウクライナ領なので、ウクライナ語で「チョルノーブイリ(Чорнобиль)」と呼ばれています。

「小春日和」

2014年度の「国語に関する世論調査」によると、「小春日和」の意味として「初冬の頃の、穏やかで暖かな天気」と答えた人の割合が51.7パーセント、「春先の頃の、穏やかで暖かな天気」が41.7パーセントでした。また、年代別では30代以上で前者を回答した人の方が多いのに対して、20代以下では後者を回答した人の方が多いという結果でした。 「小春(こはる、しょうしゅん)」とは、陰暦10月の異称。これは、冬の初め、日本付近が移動性高気圧に覆われる気圧配置でもたらされる、春に似た温暖な気

「貧すれば貪する」?

「貪する」ではなく、「鈍する」。貧しくなると、才知が鈍ったり、品性が劣ったりしてくる、という意味です。

「キエフ」

「キエフ(Киев)」はロシア語の発音。ウクライナ語では「キーウ(Київ)」となります。 ロシア語の発音をラテン文字に転写するとKiev、ウクライナ語だとKyivです。

「ウラジミール」か「ウラジーミル」か

Владимир (Vladimir)はスラブ系の人名です。 ロシア語では[vlɐˈdʲimʲɪr]と「ジ」にアクセントが置かれるので、原語主義に則るなら、ロシア人に関しては「ヴラジーミル」と表記することになります。「ヴ」の表記を避ける場合は、「ウラジーミル」とするのが慣例です。 同じ綴りでも、ブルガリア語では[ヴラディミール]、チェコ語では[ヴラジミール]と、それぞれ[ミ]にアクセントが置かれるそうです。

「大盤振る舞い」

気前よくもてなしたり金品を施したりすることを「大盤振る舞い」と言いますが、この表記は当て字です。 本来は「椀飯振る舞い」。「椀飯」とは、「王朝時代、公卿たちが殿上に集まったときの供膳」(『日本国語大辞典』精選版)。後の江戸時代には、正月に親類を招いて開く宴を指すようになりました。

「追い抜く」? 「追い抜かす」?

「抜く」には、先行者に追いついてその先に出るという意味がありますが、「抜かす」にはその意味はありません。したがって、「追い抜く」が適切です。 「抜かす」は、漏らす、力を失わせる(「腰を抜かす」など)といった意味などに用いられます。

「要件」と「用件」

用事、相手に伝えるべき内容のヨウケンは「用件」。ところが、私が見た画像のウェブ記事では全部「要件」になっていました。 「要件」は必要な条件、欠くことのできない条件。例えば「資格要件」「卒業要件」などです。

「暗雲が立ちこめる」?

「立ちこめる」は地表近くにあるもの、例えば煙、霧、靄などに使います。 雲や簾など、上にあるものには「垂れこめる」を用います。

「忸怩」

「忸」も「怩」も恥じるの意。したがって、「忸怩」とは自分の至らなさを深く恥じ入るさまを表します。 不満がある、悔しがるという意味ではありません。

「心血を傾ける」?

2007年度の「国語に関する世論調査」では、「全力で物事に取り組むこと」の表現として「心血を傾ける」と回答した人の割合が13.3パーセント、「心血を注ぐ」が64.6パーセントでした。 正解は「心血を注ぐ」。「蘊蓄」は入れ物ですから「傾ける」のですが、「心血」は中身なので「注ぐ」のです。

「喧々諤々」?

「喧々諤々」ではなく、「侃々諤々」です。