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言葉の覚え書き

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2021年12月の記事一覧

「したり顔」

「したり」は、うまく事が運んだときに発する感動詞で、もともと動詞「す」の連用形に助動詞「たり」が結びついた語です。 したがって「したり顔」とは、してやった、うまくいったといわんばかりの得意げな表情のことをいいます。現代のはやり言葉で言い換えるなら「ドヤ顔」といったところでしょうか。 なお、「知ったかぶりをした顔」という意味ではありません。

「沸く」と「湧く」

「沸く」は、水を熱してお湯にすることなので、昂奮する、熱気を帯びるという意味に用います。 「湧く」は、地中から水が出てくることなので、なかったものが発生する意に用います。

「満を辞して」?

「満を辞して」ではなく、「満を持して」。 「満を持する」とは、弓をいっぱいに引いて構えること。十分に準備をして機会を待つという意味です。

「喧嘩をしてしまい、『目覚めが悪い』」?

自分の行いを後悔する、過去の行為を思い出して良心がとがめる、という意味の慣用句は「寝覚めが悪い」です。

「天下の宝刀」?

いざというときの最後の手段は、「天下の宝刀」ではなく、「伝家の宝刀」。 代々家宝として伝わる刀、という意味です。

「熱に『うなされる』」?

「うなされる(魘される)」とは、悪夢を見るなどして、眠りながら苦しそうな声を上げることをいいます。 高熱で意識が朦朧とする、刺戟を受けて心を奪われるという意味では「浮かされる」が正解です。

「『焼けぼっくり』に火がつく」?

「松ぼっくり」という言葉はあっても、「焼けぼっくり」という言葉はありません。 「焼け木杭に火がつく」が正解。 「焼け木杭」とは読んで字のごとく、焼けた木製の杭のこと。炭化しているので燃えやすく、関係が途絶えても元に戻りやすいたとえをいいます。

「地位に『連綿』としがみつく」?

「連綿」ではなく、「恋々」。未練がましいさまの意。 「恋」はもともと慕う、思い続けるの意味で、異性に心ひかれるというのは近世的な語義です(『全訳漢辞海』第四版)。

「喝采を叫ぶ」?

「喝采を叫ぶ」ではなく、「快哉を叫ぶ」。 「快哉」を書き下すと「快なるかな」。「かな(哉)」は感動を表す終助詞。こころよい、愉快だという意味です。 「喝采」はほめそやすという意味ですから、これに結びつくのは「……を送る」「……を博する」などです。

「悪評嘖々」

「嘖(サク)」には言い争うという意味がありますが、「嘖々」というと通常は、称賛する、ほめそやすの意になります。

「ジェット・コースター」

「ジェット・コースター」が和製英語であることを知っている人は多いと思いますが、これは1955年7月に開園した後楽園ゆうえんち(現・東京ドームシティアトラクションズ、東京都文京区)の遊戯施設の名に由来します。 英語では「ローラー・コースター(roller coaster)」と言います。「コースター(coaster)」は、滑走用のそり(橇)のことです。

「寄る年には勝てぬ」?

「寄る年……」ではなく、「寄る年波には勝てぬ」。「寄る年波」は、「年が寄る」と「波が寄る」とを掛けた言葉です。

「『おっとり刀』で駆けつける」

「おっとり刀」という言葉を知っていますか。 刀といえば、普段は腰に差すものですが、その暇もないほど急いでいるときには、手で摑んだまま飛び出すことになります。そうしたせわしない様子を譬えたのが「押っ取り刀」です。 「お(押)っ」は、「押す」の連用形「押し」の変化した形で、動詞の前に付けて動作に勢いのあるさまを表す接頭辞です。「おっとり」の他には、「おっぱじめる」「おっぴろげる」などがあります。 なお、のんびりしているという意味の「おっとり」とは関係ありません。

「『双壁』をなす」?

「双壁」ではなく、「双璧」。二つの優れたものの意味。 「完璧」と同じく、「璧」は立派なものを表します。