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退職したいメンバーの転職先を一緒に探して、見つけて、送り出したリアルな話

久しぶりのnote。タイトルでネタバレですが、昨年ウチの営業部から1人のメンバーが辞めました。退職をあんまりオープンにすることってないので、起こったことをできる限りリアルに発信しようと思って書きました。何かの参考になれば嬉しいです。

こんな人に読んでもらいたい
・転職する人として
・退職相談を受けた上司として
・企業の採用担当として
・人材業界に関わる人として

それでは約6000字10分ほど、お付き合いいただければ幸いです。

別れはいつも足音もなく突然やってくる

僕が直接見ている営業部のメンバーから「相談したいことがある」と会議室に呼び出された。長いこと管理職をされている方はもうお分かりだろう。これはもうほとんどの確率で「退職する旨を伝えられる」相談だ。もう1つ付け加えると月曜日を体調不良で休んだ次の日のことだった。

一緒に働いてきた仲間が去っていくのはいつの時代も悲しいし、なにより少数でやっていると1人が抜ける組織へのダメージは計り知れないくらいデカい。自身の転職も含めた過去の体験談によると、こういうときは話す前に必ず考えることがある。

1.第三者としてメンバーにとってのベストは何か?
あくまでも上司の目線ではなく、第三者として。全く利害関係のない友人から相談を受けたら、どうするのか?一番最初にこれを考える。これが一番最初に来ないと本当に揉めるし、結果誰もハッピーにならない。組織が離職率低下を追っていようが、あとの組織が大変だろうが、絶対にこれを一番にしている。またこの前提にもとづいて、以下のことを聞いている。
2.もう転職先は決まっているのか?
決まっている場合、その退職は止められない可能性が非常に高い。決まっていない場合、なんらか相談の余地はあるのかもしれないが、都合のいいように捉えてはいけない。メンバーなりに義理を通そうとして、在職中には転職活動をしないで業務にコミットしてくれていることもある。
3.退職の理由は何なのか?
「他にやりたいことが見つかった」なのか「今の業務・組織・給与などが合わない」なのかで、要素を大まかにポジティブ・ネガティブに分類できる。ただし、白か黒かではなくポジティブもネガティブも意思決定のなかに共存するという前提で物事を捉えておいたほうがいい。それ以外にはどうしようもない理由(家庭の事情とか)もあったりする。
4.後のアクションのスケジュール感はどう考えているのか?
退職するにせよ、異動するにせよ、そのまま残るにせよ、どういうスケジュール感で動くのかはお互い明確にしたほうがいい。

御託はさておき、時を戻そう。僕はメンバーである古庄から会議室に呼び出された。

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古庄 史明
こしょう・ふみあき(25歳)/第3期新卒として2018年にゴーリストへ就活アウトロー採用より入社。東京都出身。元バレーボールの人で身長186cm。入社後は立ち上げたばかりの受託開発事業部で新規開拓営業、フロントエンジニアなどを少しずつ経験し、1年後に既存事業であるHRビッグデータ事業部へ異動。人材業界への既存深耕営業やSFAツールの導入を進めている。

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菊池「おう、古庄!相談って何や?転職でもすんのか?

言いにくいことを切り出しやすい雰囲気を作るため、こちらから冗談交じりに切り出してみた。お互いパソコンを持ってきたことに何の意味もない。

古庄「なっ・・・なんでわかったんですか?(苦笑)実は・・・そうしようと思っています」

「そうか・・・わかった」と僕は小さくうなずき、考えていたことを冷静に思い出した。動揺したワケではなかったが、離婚とかと同じ部類でやっぱり慣れるものでもない。

菊池「僕が昔の上司にやったことのある『なーんちゃって!』とか言って誰か入ってくるドッキリじゃないよね?」

古庄「いえ、違います」

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その目は真剣そのものだ。古庄、茶化してゴメンナサイ。東京の人は笑いに厳しい(←そこか?)30分ほど話したことをまとめるとこういうことになる。

今回相談してくれた退職理由
・直近半年間営業をしてきたが、やっぱりエンジニアの仕事がしたい
・出会ったお客さんは好きだが、売上やKPIなどはあまり関心がない
・会社や組織は好きだが、今からエンジニアになれるのか分からない
・社内でできないなら、第二新卒と言われるうちに転職して挑戦したい
今の転職活動の現状と今後
・転職先は決まっていないし、まだ選考も受けていない
・転職サイトで求人を見たり、エージェントの登録をしたりしているところ
・11月末には最終出社として1月から次に行きたい

お客さんのこと、業務のこと、組織のこと、これからのことが僕の頭のなかを駆け巡るが、「第三者としてメンバーにとってのベストは何か?」を一番大事にしたい。この相談内容の場合「本当にやりたいことが見つかったなら、シンプルにそれを本気で応援したい」が僕の意見だと伝えた。

論点は「社内で11月末までに未経験からできるエンジニア業務を任せることができるか」だ(ちなみにこれは10月3週目の出来事です)ということで、この日の相談は一旦ここで切り上げることとなった。

古庄が会議室を先に出たあと、その足ですぐに代表の龍さんと受託開発事業部の事業部長である大塚さんを会議室に連れ出し、かくかくしかじか、けんけんがくがく。隠すことでもないので、その時の話をまとめるとこうなる。

議題:古庄にエンジニア業務を任せるかどうか
◆事業のフェーズ
・今、開発業務は順調に進行していて新たに人を追加する予定はない
・積極的に新たな案件を獲得しようとするフェーズではなかった
・新たに案件を開拓しようとしても未経験者OKの案件が少ない
◆社内の体制
・英語で書かれた最先端情報を学び続けるインド人エンジニアが2人もいる
・ベトナム法人では経験のあるエンジニアがすぐに採用できる
・新卒日本人エンジニアも1ヶ月かからずに言語をキャッチアップする

「未経験エンジニアの仕事、社内には無いな」という結論に至るまでそう時間はかからなかった。移り変わりの激しい技術、世の中の情報量の何割が日本語で書かれているのだろうか。社内ではまさに日本の縮図が現れているようにも思えた。

退職が決まって一件落着?

その夜、僕は古庄にチャットでメッセージを送り、早速翌日に受託開発事業部の事業部長・大塚さんも同席のもと2回目の面談をセッティングした。

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大塚 剛史
おおつか・たけし(41歳)/受託開発事業部・事業部長。IT業界で未経験からキャリアをスタートさせ、開発やプロマネを経験し、2017年ゴーリストへジョイン。2019年度ゴーリスト全社MVP。身長185cm。誕生日はゴーリスト創業日と同じ1月5日。

早速昼間に3人で面談をした。昨夜のミーティングの内容を伝え、本人も納得のうえ、古庄の11月末最終出社が決まった。ただし、まだ解決していない問題がある。

古庄の次の仕事決まってないやん問題である。

菊池「いや、ほんで!古庄よ、次の仕事どうするつもりよ?」

古庄「これから探します!」

菊池「ちなみに転職したことないから言うとくけど、だいたいの人は次が決まってから退職するんやで」

僕の隣に座っている185cm・大塚さんも大きくうなずいている。古庄より1cm低いが、2人ともデカい。

古庄「え?そうなんですか!」

就職活動もアウトローな彼だったが、転職活動もアウトローにいくことになるのか。知らないって怖いが、誰かが丁寧に教えてくれることでもない。思うように見つからなかったとき、バイトでもするつもりだったのだろうか?

古庄「じゃあすぐにエージェント行ってきます!」

菊池「まぁ待て。今日の面談ではどうやって次を見つけるか話そうぜ」

僕は人材業界に10年ほどいて採用する側のことはたくさん見てきた。また大塚さんも自身がIT業界で3度転職している。エンジニアを採用する側の立場も経験済だ。

菊池「エージェントは入社が決まると採用する企業はエージェントに35%のfeeを払うことになっているのは知ってるよな?例えば、年収300万円だったとすると企業は100万円を払うことになる」

古庄「僕みたいな今は何もできない経験ない人間に100万円、、、そう考えると高いですね。入社後プレッシャー感じますし、僕が採用担当なら本当に採用するのか躊躇します」

1を伝えて10を理解する。この理解力が古庄のいいところだ。そして今まで黙りこんでいた大塚さんが切り出した。古庄が新卒で配属された受託開発事業部では上司にあたる関係だ。

大塚「古庄さん。未経験で転職するなら絶対知り合いのツテで探したほうがいいですよ。IT業界で未経験エンジニアって本当に狭き門ですし、未経験で大量採用している企業はとにかく手数だけが必要な場合が多く、古庄さんの望むような仕事が待っているとも思えません。その度にまた転職を繰り返す必要が出てきます。開発をやって将来プロマネとかやりたいなら、ちゃんと会社を見極めるべきです。そして転職活動は次の入社まで少なくとも3ヶ月前後は見ておいたほうがいいと思います」

IT業界で20年近いキャリアを積んだプロマネ・大塚さんだからこそ言葉に熱がこもる。古庄をはじめ、全員に対して敬語なのは「人との距離感が分からないから」だそうだ。

古庄「そういうことなんですね、何も知りませんでした。でも僕知り合いの会社とかあんまりないので、もしいい会社があれば紹介してもらえませんか?」

こうして、役員陣をはじめとした幹部の人脈を活用した「逆リファラル」を主軸に「リファレンスチェック」付きの転職活動はスタートしたのだった。

ふとした瞬間にチャンスを掴む力

その週の金曜日、お昼は飯田橋でランチの予定があった。お相手は今後のキーマンとなるこの方。

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屋野 祐
おくの・ゆう(34歳)/アジアクエスト株式会社・取締役人材企画本部長。光通信、キャリアデザインセンターを経て、2014年にクライアントであったアジアクエストに入社。支援開始当時4名だった同社を3年で100名、5年で200名(9割エンジニア)まで拡大させた凄腕。菊池とはキャリアデザインセンター時代に一緒に仕事をした仲間。

前職のアルムナイ会で久しぶりに会って、お酒の席で意気投合したイベントをマジで実現させようと改めてランチmtgを設定した日だった。お店に入り、ほどなくして屋野さんが合流した。

ランチをしながら、イベントの目的や概要、ネクストアクションなどを決めていった。残った時間で事業や組織づくりの話をしていた。屋野さんの話は僕らのフェーズからするとそう遠くない未来に起こりそうな話でいつもおもしろい。組織の話の延長で人の話になったときに僕が古庄の件を切り出した。

菊池「屋野さんとこって、今未経験のエンジニア採用されてますか?実はウチのメンバーが転職することになりまして。未経験なんですが、どうしてもエンジニアになりたいって言うてるんですよ」

屋野「えーやめちゃうんですか!未経験は狭き門になりますが、まずはテストを受けていただいてから面談させてもらう流れになりますね。ちなみにどんな方なんですか?」

古庄の経歴と人柄、僕の目から見えてきたことと、転職理由とウチから送り出すに至った経緯を伝えた。コネもあって(?)、テストを受けられるところにはたどり着いた。ありがとう、屋野さん!

早速社内に帰って、古庄にアジアクエスト社の情報を共有。絶対にNGそうなところがなければ、まずはテストと面談を受けることを勧めた。こういうときに採用ページのコンテンツやWANTEDLYのページが充実しているのは本当にありがたい。200名までに成長する組織には理由があるなとまた一つ学びになった。

週明けには古庄から「ぜひ受けさせてください!」と連絡をもらったので、早速屋野さんと古庄をメッセンジャーでつなぎ、テストと面談を設定。

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退職面談の相談を受けてからここまで5日。このくらいのスピード感で物事が動くのがベンチャーってヤツだ。落ち着くことなど全くない。

僕は「業務調整できるなら勤務時間中に面談行ってもええよ~、その代わり最終日までコミットしてや~」と伝え、古庄を送り出した。

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古庄は無事に11月12日にアジアクエスト社へ内定。自分のことのように嬉しかったのを覚えている。あの退職相談からわずか3週間で転職先が決まった。これが売り手市場というマーケットか。

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ほかの選考が進んでいなかったのも決断できる要素として、そのまま内定承諾となった。

そして11月末、最終出社日。

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しんみりって感じではなく、なぜかめっちゃ笑ってるセレモニー。送別ってよりも新たな挑戦を応援したかったから。やりたいことが見つかって、望んでた道が拓けてよかったなぁ!


更に月日は流れ、2020年1月。

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アジアクエストの屋野さん・矢部さん(古庄の現上司)、そしてアジアクエストの古庄さんと新年会でした。授業参観に行く親みたいな気持ちでしたが、「飲み込みは早いほう」ということでよかったです。

屋野さん、矢部さん、古庄をよろしくお願いします!

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入社したての歓迎ランチ

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新卒同期で35億

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受託営業時代。後輩もできました。

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全社合宿で乾杯するチンピラ

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花ざかりの君たちへ

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2人で壮行会!


念願のエンジニアとして大きな花を咲かせよう
場所は変われど、応援してる

うまくいかないときは
ゴーリストで培った8つのバリューを思い出して

行動者であれ
変えられるもの
ネガティブ即シェア
誇りを持つ
踏み込む
当たり前の徹底
気持ちのいい人
可能性を信じる

思いっきり成長した姿で
またいつかどこかで一緒に仕事できたらええな!


【告知】3年ぶりに中途で営業職を採用します

キレイに書いてきましたが、2人しかいない営業で1人が抜けた穴は大きく、今は僕も求人ビッグデータ営業の現場に出まくっています。お客様は人材業界を中心として、求人ビッグデータを活用した営業リスト・マーケティングデータの提供を行っています。

また昨年リニューアルした人材業界の一歩先を照らすメディア「HRog」からのお問い合わせも絶好調でホントに問い合わせ対応だけで手いっぱいの状態が続いています。

人材業界の発展をさらに加速すべく、3年ぶりくらいに法人営業を中途採用で募集します!こんな会社や組織、事業に興味をお持ちいただけた方はぜひ下記のリンクより求人ページを覗いてやってください。

僕もそうだったように人材業界での営業経験者・大歓迎です。
人材業界に対する思いを僕と一緒に話しましょう!


HRog編集長の見えてること、考えていることを発信しています!HR業界、メディア作り、事業作り、組織作り!