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takeoka
2017年2月26日 21:36
黄昏に染まる駅のプラットフォームには人もまばらだった。電車がくるまでのあいだ、うとうとしながら待っていたのだが、到着時間を過ぎても電車はやってこなかった。 事故でもあったのだろうか、と思って辛抱してなおも待っていたが、それらしい連絡も何もない。その時、ようやっと到着のベルが駅の構内に鳴り響く。 電車に乗り込んだ私は、一番近くの席へと座った。車内には私一人しかいなかった。隣の車輌も、そのまた隣
2017年2月6日 19:06
不意に襲われる懐かしいという感覚は、はるか昔に閉じ込めてあった記憶の澱が、なにかのきっかけで掻き回され、表象に浮かんでくるものである。 だいたいにおいてそれはセピア色に色褪せていて、色彩も、匂いも、物に触れたときの感触など、思い出せることはごくわずかであるにもかかわらず、杭を打ち込まれたかのようにそこから動けなくなってしまうものである。 一般的にはそれを"Nostalgia"という言葉で表現