はやしかわましん

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あなたは今幸せですか?私たちは幸福な<if>を憎み、取り憑かれていく。「ドクター・ストレンジMOM」ネタバレなし感想

 ※ワンダビジョン未見のものの感想です。  MCUフェイズ4はどこに主軸をおかれていくのか、様々な予想がかわされたけど、ディズニーマーベルは少なくともそのうちの一つに「マルチバース」があったと思う。それはクロスオーバーが容易になり色んな話の展開をさせやすいといった側面もあるだろうけど、少なくとも今作はそのマルチバースという題材によって今日的なテーマ(主にメタバース)とのリンクが描かれていた。  今の世の中は、まだまだ完璧ではないにしろ、安全で豊かな方向へ進んでいる。技術が

    • 映画「嘘喰い」 世界平和のために不誠実(≒嘘)を食う。原作への誠意はある!

       迫稔雄による、ギャンブルを題材にした漫画「嘘喰い」。先日、実写映画が公開された。自分は原作全49巻読了済み。 1. 原作も映画もまっとうな娯楽作 原作は所謂デスゲームも盛り込まれ、この群のえげつないイメージを未読者は想起しがちかも知れないが、最終的には主人公側の勝利と、人間への慈愛の目線が盛り込まれる、真っ当なヒーローものにして娯楽作だ。  映画版は色々と映像化に不向きな部分もあり疑問点もあるが、世界観がよりマイルドになり口当たりの良い作りになっていると思う。以下、良し

      • 絵に描き出したいものは、重力と空間と時間。これよく考えたらみんなが解き放たれたいと思ってるものであもる。

        • 私達は同じ映画を同じ映画として二度と見ることはできないのか。「過去のない男」

           「過去のない男」 巨匠アキ・カウリスマキ監督による2002年制作の映画。  私は映画が好きだ。同じ映画を何度も見ることも多い。必然、「初見」という言葉がある。映画でも漫画でもなんでも、最初に鑑賞するときのことだ。何か他の呼び方があると思うのだけど、勉強不足でわからない。ともかく、ネタバレを知らない状態で見るには、記憶を消さない限り一度しかチャンスがない。自分はこの映画の初見を見終わったとき「あなたがこの映画を本当の意味で見ることができるのは今回限りです」と突きつけられたよ

        あなたは今幸せですか?私たちは幸福な<if>を憎み、取り憑かれていく。「ドクター・ストレンジMOM」ネタバレなし感想

          その写真家は公害病の何を伝えたのか。 映画「MINAMATA ミナマタ」から考えるジャーナリズムの罪と正義

           世界各地で起こる公害病、その一つの水俣病。教科書にも載ってるから自分でも名前くらいは知っている。切り口は色々ある中で、この作品は元ライフ社員の写真家ユージンスミスの視点から描かれている。  ベースドオントゥルーストーリー。実際のことがベースではあるけど、全てがそうではない。自分はジャーナリズムを扱った映画が好きだが、その映画そのものが事実を脚色してるケースは多々あり、複雑な気持ちになる。  作品の時系列をおさらいすると、スミスが来日した頃には公害汚染そのものは政府が既に

          その写真家は公害病の何を伝えたのか。 映画「MINAMATA ミナマタ」から考えるジャーナリズムの罪と正義

          罪人の「やり直し」の機会について。 スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム

           軸はやはりヴィランたちの物語。エンドゲームと同じく、映画企画としてよくこんなことを成し遂げたなという感動がすごい。ソニーコロンビアのスパイダーマンを見続けた人たちへのご褒美のような作品。  かといってノスタルジーだけを攻めてくる作品でもなくて、現代的なテーマもしっかり描いている。  セカンドチャンスという言葉がある。原語では本編でも何度か言っていたフレーズだ。貧困に陥った人、罪を冒した人たちにも再起を与えるべきという思想で、この映画の場合は後者になる。  歴代スパイダ

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