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人新世(じんしんせい/ひとしんせい)

地球の歴史

人新世という言葉を知って、地球の地質区分をまじまじと眺めてみました。
地球誕生から46億年といいますが、A41枚に纏められた時代区分と生物の変遷はなんと賑やかなこと!そして当たり前のようにヒトが誕生すべく時代が整えられていく不思議。
原始生物の出現からシアノバクテリアの繫栄、カンブリア紀の生物大爆発、植物の陸上進出、魚類・昆虫類・爬虫類・両生類と続いて出現し,
いよいよ恐竜の時代へ。そして6600万年前の恐竜絶滅の後ようやく哺乳類の時代へ突入します。人類の出現はたった600~500万年前です。さらに私たちホモサピエンスの誕生は20万年前です。

ホモサピエンスが作った地層

地球が誕生して46億年もたつのに近々の20万年前に誕生したホモサピエンスが新たな地質を作り上げていると提唱されています。それが人新世という新たな地積区分です。

Wikipedia人新世からの抜粋
人新世の特徴は、地球温暖化などの気候変動(気候危機)、大量絶滅による生物多様性の喪失、人工物質の増大、化石燃料の燃焼や核実験による堆積物の変化などがあり、人類の活動が原因とされる

現状、現在の地質区分は最終氷河期が終わった1万1700万年前から続く「完新世」とされていますが、1950年頃を境に地層がそれまでと全く違っているようです。1950年頃と言いますとこの頃生まれた方もまだまだ生存している方たちが多くいらっしゃるでしょうし、地層的に言いますと『今境目を作っている』と言っても過言ではないでしょう。

どのような変化かと言いますと、オーストラリアのサンゴ礁グレートバリアリーフ、南極の氷床、別府湾の海底にある堆積物など世界で11か所の堆積物を調べたところ、自然界に存在せず、核兵器や原子力発電所で利用されるプルトニウム239コンクリートやプラスチック、石炭燃焼による灰化石燃料と化学肥料の構成物質など、私たちに『豊かで快適な生活』を与えてくれる物質が含まれている層が発見されるに至っています。
それまでの地層は自然界の変化による堆積物だったものが人為的に作り出された物質へと地球上で初めて変化したのではないでしょうか。

たとえば農業で作られた地層もある

今、竹を使った自然農法に係っていますから農業に係るニュースが耳に残りやすくなっています。
ヒトがそれまでの狩猟採集生活に別れを告げ、作業が煩雑でメンドクサイ農業を始めたのは安定的に食べ物を得る為です。1万2000年前に肥沃な土壌がもたらされる大河の流域で行われた農業は「いつでも食べ物がある」という大いなる安定を人々に与えたに違いありません。
だからこそ、それから延々とヒトは農業を続けてきたのですが、作物は畑に種を植えさえすれば収穫できる程、単純な作業ではありません。毎年同じ畑で収穫するには肥料等が必要です。長らく植物の灰や家畜の糞、石灰など、自然界にあるものを利用していましたが、産業革命後のヨーロッパで人口の急大に食料生産が追い付かなくなった時、増産の為に生まれたのが化学肥料です。『空気からパンを作る』と絶賛された技術です。そして瞬く間に全世界に広まりました。未曽有の人口爆発にある近代においては人類の生存に必要不可欠なものとなっていったことに間違いありません。
そして、作物に吸収されなかった余剰分が地層の構成物質の一つになったようです。


化学肥料に関しましては以前の記事にちょっとだけ記載しています。

長年の使用で残留農薬問題や土が瘦せていったり、野菜の栄養が1/3に減ってしまったり・・・。

微生物の40億年の歴史に培われた自然のサイクルの再現には到底かなわないのかなと感じます。

どくだみから野菜を考える|まる (note.com)


化学肥料の弊害が分かってきた

人々の飢餓を救った偉大な発見ですが、その多用や依存による弊害も分かってきました。
化学肥料は作物にとって頑張らなくとも楽に吸収できるので、根っこをたくさん生やさなくてもいいのです。元来、微生物が根っこに張り付くことによって作物が土中の養分を吸い上げやすくなるという構図ですがそれが少なくて済む。依って、微生物が増える必要もなくなる。そうなると土壌は有害な微生物の減少と共に病原菌がはびこる・・・自然のサイクルの人為的な破壊と言えるのかなと思います。
その他、作物自体の栄養分が少なくなるという弊害もおきます。

それだけではなく、化学肥料の土壌に残った窒素成分は、亜鉛華窒素ガスを発生させます。作物に吸収されない余剰分は温暖化の原因の一つとも言われるようになってきましたが、これが井戸に沁み込んでしまってその水で作ったミルクを飲んだ赤ちゃんが死亡する事例も起こっています。
また窒素やリン成分が川や湖に流れれば海に流出し、海中の栄養過多となりクラゲの大発生など、生態系の変化をもたらします。

これらの物質は必要なのか不要なのか

46億年もの地球の歴史上で直近のたった70年で新たな地層が人為的にできてしまった事実は私には衝撃的でした。それまでの生物が無しえなかった偉業(?)です。要・不要で判断した場合、どちらなのでしょうか?

近眼で見ますとホモサピエンスが自然の理を曲げて勝手に作り出した、物質です。
長い目で眺めますと、もしかしたらかつてプランクトンが年月をかけて石油に変化し、私たちに恩恵を与えてくれたように、何百万年・何千万年後の地球の支配者(ホモサピエンスではないかもしれません)にとって有益な物質に変化しているかもしれません。

自然のサイクルからの逸脱

仮に『不要(悪)』とした場合それを是正するとして、現在に生きる私たちに電気の無い生活・車の無い生活・舗装された道路の無い生活・スマホの無い生活・・・・・・・近代(産業革命)以前の生活が出来るでしょうか。私には自信がありません。
私たちは文明の発展に貢献し、便利なものをたくさん生み出してくれた多くの先人たちのおかげで、ホモサピエンス以前の生物には与えられなかった快適さを享受しています。感謝の気持ちしかありません。

しかしまた、その快適な生活環境を得るための行為は自然サイクルへの人為的介入であり、その代償は自然界からの解離で、巡り巡って自分たちの生存の不利益になるとようやく認識できるようになってきたのではないでしょうか・・・。

ホモサピエンスとはラテン語で『賢い人間』という意味なのだそうです。
様々発明を行ってきましたが、それは自然界に存在する物質を利用したものです。地球環境が成し遂げた【命を生みだす】作業は未だ出来ていません。
地球上の生物は46億年の歴史の内で自然のサイクルに則って栄枯衰勢を繰り返しています。ホモサピエンスと言えど、どんなに自然からかけ離れようが、そこからの逸脱はできないのです。

先程『自分たちの生存の不利益になるとようやく認識できるようになってきたのです・・・。』と書きましたが、ホモサピエンスは認知したからには是正する知恵を生み出し、必ず乗り越えられると信じています。


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