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無印良品の漆器の品質表示(2012年ブログの再掲)

無印良品ブランドでは、河和田塗り(福井県)の漆器の汁椀や飯碗を販売しています。

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漆器は、塗料の成分や素地が外見からはわかりづらいのでお客様センターに問い合わせてみました。

塗装は化学成分を添加していない、いわゆる「本漆」だそうです。

素地は、木の粉にフェノールやメラミン樹脂などのプラスチックを混ぜて、射出成形機などで成形したものです。

無印良品ではこの商品の素材を、最近まで「天然木」と表記していました。プラスチックよりも木粉の割合のほうが多いから天然木と表記しよう、というのが理由だそうです。
しかし、最近は「木粉・メラミン樹脂」と表記を変更したそうです。
2012年9月現在、お店によっては表記シールが両方混在しています。
(なので、疑問に思って直接問い合わせたのです)

素地 天然木と表記
素地 木粉・メラミン樹脂と表記

「木粉&プラスチック混合」の製品は、安価に出来て変形も少なく、電子レンジにも対応できるなど、作り手使い手の双方にとってメリットが大きい素材です。
一方で木製品は天然素材で手作りのためコストが高いですが、堅さとしなやかさのバランスが程よく、保温性に優れています。
また、「拭き漆」や「目はじき塗り」「春慶塗」といった、美しい木目を見せられるのも、あたりまえですが木製品ならではの特徴です。

私は、かたくなに木製品を良しとしたり、木粉&プラスチック混合を否定するつもりはありません。両方に良いところがあり、きちんと知って、うまく使い分けることがうるおいのある生活文化に繋がると思っています。

工芸品は、下ごしらえや材料の吟味など
「正直さの大半が目に見えない」
ので、
木製品じゃないのに天然木製品かのような表記をすること、
「嘘は言ってないけれど、大切なポイントも言ってない」
そんな詭弁がまかり通ると、根本的な信頼を損ねてしまうのです。


無印良品のお椀のかつての表記は褒められたものじゃありませんが、表記を改めようという姿勢は評価します。今後も「良品正直表記」でがんばってください。

(参考)家庭用品品質表示法
食事用、食卓用又は台所用の器具
漆器類

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