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詩340 関係破壊・劣位の形式

間抜けなほど幼い疎さが手遅れを決定付けた、
脆く弱い独自の形式。
スタティックに崩れるさまがソフトに極まった末
清らかな肌が温かく染まってゆくのを、
寂しく見届けていた。
* * * * あなた と わたし * * * *
見詰め合わなくなった年月は数え損なわれた ────
原因は小さな出来事だった。
二人の関係は、誰にも察されないほどに、
今や緻密ちみつになっている。
贋金がんきんを美しくまとう街並を
手ぶらで通り抜けるような、
虚ろな感覚。
子どもが描く夢の希望など
どちらの心にも
とうに
表れなくなっていた。

あなたの世界に蔓延はびこる毒に
固執していたのかも知れない。
わたしは、人には理解されない、と
はなから諦めていたのかも知れない。

自室の中途半端な湿り具合は、
人間関係のいびつさが高まっている証左。
居心地が悪い。
カラスの鳴き声の思い掛け無さに、窓の外に一瞬目を遣るも、
そくざに
今という人生においては詰まらないことだと悟り、
あなたへ目を戻す。
失望とは、何も待ち望んでいない状態をいう。
これには 空虚 という類語がある。
自分を責めているだけで、しばしば、一日が過ぎてゆく。
後悔は当てにならない:
何ものも高めないから。
高めるのは人間関係の歪さだけ。
電子的に結ばれる人間関係は、
どこまでもドライで、
無頓着な人心を生産するだけだろう。

悲しみに暮れるあなたの瞳。
そう、男には決まってセンスがない。
世の男は、皆、男を辞めてしまえ!
そうすれば、社会はもっとジェンダーフリーに近づいて、
理想をこの目で直視できるまでになろう。
器用にネットを使いこなす男(と一部の女)は、
不器用に人間を扱う ────
箸が転んでも笑い転げられる女に、いつも憧れて。

人間は自分を分析できない、真の意味では。
わたしはあなたに懸けていた。
人間関係にやさぐれた失意の処理に、
あなたは役立つものだと思い込んでいた。

自分の考えの過失は、いつまでも残る。
甘ったるい蜜の一滴を、わたしは取り零した。

わたしは心のなかで謝った。
あなたも瞳で謝っていた(ことがあった)。
は落ちて、辺りが暗闇に包まれてゆく。
退屈な自室の設計図の上、
水性ペンを角度零度で投げ落とし、
諦めていた、独自の形式の不完全さに
わたしはふてくされた。
すべては不覚だった。
世のあらゆる口に、笑われてもいい。

自身の劣位がより強固なものになった ──── この人間関係の結末だ。
わたしはもう、あなたに何もできない。
したたかな夜空に、流れ星は空振りに終わる。
けがれた月光が虹色にたなびく。
わたしはただ、性から解放されたかった、だけ

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