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詩335 草原へ

必ず行く あの草原へ
小さな花束を 忘れない

軽やかに たんぽぽの綿を 風に流しながら あの草原へ

草原で吹かれる風が 気持いいから あの草原を目指して 行く

頬を撫でる風に捧げたくって
半年前から用意してきた花束 ──── 萎れたのは抜いて継ぎ足し継ぎ足し

花と風と草とが たわむれる昼下がり
まるで米を研ぐように
自然への愛を誓う

灯火とうかは太陽だけで足りるから
花束の形式について
朗らかに 風に 希望を聞く

ザワザワと耳元で騒ぐような
風の要求が
やや
愛おしく感じられる

腕を伸ばして風に捧げれば
花束はむしられて
花びらの一枚いちまいに分解される

草原が季節の変化を悟るたび
直情な光線に反応した、たんぽぽの綿が
金属化して舞い戻ってくる

指の上で自在に転がせば
花束は極小化して
あした 雨に反射する


そして孕む 虹色が溶け出す たをやかな 風の受精卵

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