詩359 短詩輯7
2 - 62 君の頬に手を当てて、心が色付く秋雨の朝
2 - 63 いつも同じ時間のバスに乗るあなた、小さな両手でスマホを包み、何かを一心に読んでいる ──── 後ろから見える髪留めが、控え目に煌めいている
2 - 64 詩を作りたいときと作りたくないときと………風邪だろうか、ほんのちょっと喉が痛い
2 - 65 バケツに落ちる雨粒、水溜りに落ちる雨粒。仲間のもとへ、いざ、ポッチャン!
2 - 66 そろそろコタツを出していい季節になった。乾燥した自室では、暖房が付けっぱなし………無音のなかに室外機の音が染み込んできて、布団にくるまれ横たわる私は独りであることを忌んだ
2 - 67 細い柵の上を、カラスが器用に飛び跳ねる。何かを窺う目、遠くを見詰める目。それは楽し気か、悲し気か
2 - 68 本当にそれで善いのか ──── 自分に問い掛ける自分が、一番頼れる存在だと気付く未明。星空と梅雨空との臨海を放浪する
2 - 69 何でもできる人がムカつくんだ ──── ぼくはできないのに
2 - 71 「大丈夫だよ」と声を掛け安心させてくれる人、それはあなただけ。あなたとなら、心が通じる。それはまるで、奇跡のようです
2 - 72 膝の上に乗せたお弁当があったかい。ぬくぬく、冬の朝
2 - 73 「だるい」とボヤける相手がいない。その、たった一言を言うまでに、一体どれだけのことを憚かるのか。もし言えたなら、少しは気が楽になるのかい
2 - 74 あなたの今できることをやればいい ──── 背伸びなんてしなくても。いつかきっと報われる:信じることが、生きるエネルギーになるから。今のあなたを、ありのまま、私に見せて
2 - 75 朝、急いで家出したから、頭がボーッとする。何かを考えるエネルギーがない
2 - 76 地球上の見知らぬ人たちの人権が蹂躙され、刻一刻、幸せは壊れてゆく
2 - 77 周りにはぼくの夢を挫こうとする人たちばかりだ。そういう敵とぼくはいつも闘っていなければならない。人にいわれることなど、意に介するものか
2 - 78 駅のホームで待ちぼうけ、夕陽が足下に差す
2 - 79 カナリヤのさえずり、耳元で興ずる ──── 和室の中央で正座して
2 - 81 創作の意欲は止まる気配なし ──── 我が心、救われる
2 - 82 日が沈むとき、晩秋のピリリとした空気に悴む手。今、凪ぎ
2 - 83 図書室の沈黙のなか、囚人の心地に肉薄する。過去の罪悪感が、無音に蝕まれる
2 - 84 今日という日が終わりかけている。ある選択の正否を気にしつづけ、俄に眩暈がした
2 - 85 月はいつも変わらず、そこにいてくれる。変わらない安心感を与える尊さ、そして、偉大さよ
2 - 86 自販機で飲み物を買ってくれる………母の温かさがあるよなぁ
2 - 87 芸術の海で泳ぎつづけ、一向に陸地見えず。それでも、不安は一切なし
2 - 88 私を受け入れていない人々からの無言の視線。一瞬目が合って感じられる冷酷さに、温厚との凄まじい乖離を覚える。雑踏のノイズが耳に残り、チクチク刺さる
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