詩354 短詩輯2
1 - 32 寒い心に溢れる涙、深き井戸に流れる地下水
1 - 33 要らぬ安堵は消えぬ不安、夜のしじまに心凍える
1 - 34 終わらぬ人生の末路は、悪魔の野望の肥やしになる
1 - 35 消えた氷の欠片に泡沫の夢が見ゆ
1 - 36 存在に感謝すべきは、金の死を告げる神が遣わす精霊に、である
1 - 37 喉が痛い、と彼が言えば必ず雨が止む
1 - 38 過去の自分の判断による苦悩は自業自得と断罪されり、さらば
1 - 39 眠く眠く眠く眠く眠く、貸工場の煙突てっぺん
1 - 40 母が送った佐渡産の米、櫃に詰め替える深夜1時
1 - 41 雨頻り、新潟の冬近付きぬ
1 - 42 家を慌てて出るなり、カラスにカァと憂慮され
1 - 43 量産する言葉は吟味に吟味を重ねられるも、すべて前世の努力に属するものなり
1 - 44 スマホは便利だ ──── 脳髄を塩漬けするには十分過ぎるほど事足りる
1 - 45 知らないトイレで大便ができない、不便の情けさ
1 - 46 慌てぬこと、バスの運転手が乗客の安全を念慮す ──── アナウンスは沁みて
1 - 47 悲しみは探す必要がない………目を瞑ればまるで湯水の如く湧き上がる
1 - 48 不安に不安を被せ、紛らわした気になる
1 - 49 仲間は探せど探せど見当たらず、探す気の失せた頃に不図あらわれる
1 - 50 「人に騙され大人を知る」など、一向に正当化できぬ
1 - 51 やろうといい、やれた試しがない
1 - 52 スマホのバッテリーの減りと共に、空しさは増すべし
1 - 53 美少女に気を取られ、降りるべき駅名を忘れる
1 - 54 誰の味方にもなれなければ、誰も味方になってくれない=等価関係の法則
1 - 55 独りを嘗めた傷みは癒えず、降水のたびにヒリヒリと腐敗
1 - 56 誰もあなたを見ていない、誰も私を見ていない
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