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詩215 新年の人波のなかで

新年を迎えて みんなハイタッチ!
人ごみのなかを擦り抜けて
おみくじを引こうと急ぐ

大型スーパーのセントラルコートで
何十年ぶりかの餅搗もちつきをすれば
家族が行列を成して
我先に、と餅を見張る

ころころしたお餅を 頬張っては
ほころぶ顔に
辺り広がる新年の空気

子どもたちを追い抜いて
時代を先取りしようとする大人たちは
ずるい人たちでしょうか

新年の人波に 逆上のぼせそうになりながら
ありがたい言葉を 意味もなく貪って………

神社で引く正統なおみくじでさえ
あしたには
しわがれた紙屑になる


いつか 時代のトレンドも
雑踏に隠れて見えなくなるでしょう。
よろこびも
つかの間に

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