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新型コロナウイルス感染症の重症化リスクの高い人とは?

※注意:この記事は憶測を含みます。不確実な内容を含みます。(私がR2.3.29時点で考えている内容を記事にしています)

最近新型コロナウイルス感染症でどんな患者の致死率が高いかニュース等で公表されてきた。

以前まで、高齢者、基礎疾患を持つ方はリスクが高いとされてきたが具体的な病名が出てきている。

その中で一部の記事やチームが高血圧患者の致死率が高いことを注目し、特にアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)使用のせいではないかという論調でニュースになっていたりするものもある。

現在SARSコロナウイルス2は2つの要素を使って侵入することが知られている。

1つ目がアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)

2つ目がセリンプロテアーゼ

ACE2に新型コロナウイルスのスパイク糖タンパクが結合し、そのスパイクがセリンプロテアーゼによって活性化され侵入するといわれている。

気になるのは、1つ目のACEを阻害するACE阻害薬は悪者の様に扱われるが、2つ目のセリンプロテアーゼ阻害作用を持つナファモスタット(フサン)は治療薬の候補として挙げられている。

普通に考えるとACE阻害薬も治療薬と考えられてもおかしくはないのではないかと思う。なのになぜ新型コロナウイルス感染症の悪化を招く悪者のように扱われているのだろう?

それは、高血圧治療薬で使われるACE阻害薬はACE2を阻害しているわけではなさそうだからだ。(ACE2阻害薬は治療薬として候補に挙がりそうではあるが)

〇ACE阻害剤

アンジオテンシンⅠ→アンジオテンシンⅡに変換するアンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害する。(アンジオテンシンⅡに変換する酵素はまだ別に存在するため完全にアンジオテンシンⅡへの変換を抑えられない)

他にブラジキニン分解酵素(キニナーゼⅡ)も阻害する

〇ARB

アンジオテンシンⅡがアンジオテンシン受容体に結合し血管を収縮させること(血圧↑)を阻害する(結果血管拡張し血圧が下がる)

〇ACE2

アンジオテンシンⅡ→分解(アンジオテンシン(1-7))

ここでACE阻害薬、ARBを使うことによって新型コロナウイルス感染症を悪化させるのではないかと考えられている方々の意見は、2つの薬剤を使うことでACE2を増やすので、ますます侵入リスクを上げてしまうのではないかと考えているようである。(このレニンーアンジオテンシン系機構はポジティブもしくはネガティブフィードバックする機構が存在しACE2を増やしてるのか?)

もう1つ、これは私の考えだが、ブラジキニン増加に伴う咳の増悪(ACE阻害薬使用時)と血管浮腫(ACE阻害薬、ARBに共通)による気道狭窄に伴う呼吸困難を招く可能性があるので、新型コロナウイルス感染症の症状の増悪がみられるのではないかと思う。

現在では、まだ情報が少なすぎるので、ACE阻害薬、ARBを使用する高血圧患者が新型コロナウイルス感染症に重症化しやすいかとの判断はできないと思う。

大切なことはそれらの薬剤を使う高血圧患者は自己判断で薬をやめず、心配であれば主治医に相談し、主治医とともに治療方針を選択していくことだと思う。(急な薬の変更もリスクを伴うことも忘れてはいけない)

安易に薬を自己判断でやめてしまうのも高血圧患者にはリスクが高いことも忘れてはいけないと思う。

不安を煽るニュースばかりに振り回されないよう気をつけなければいけないと思う。

大切なことは、自分自身の免疫系をいかに保つか、健康的な生活、食事、ストレスをためない生活を心がけることだと思う。

※あくまでいち薬剤師の見解です。

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