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これからの「正義」の話をしよう

何度も何度も読み返した本。
昨日からもう一度読み直しはじめた。
マイケル・サンデルの『これからの「正義」の話をしよう』。


ハーバード大学きっての講義の名手でもあるサンデルの授業が日本では2010年に「ハーバード白熱教室」としてNHKで放送された。
その素晴らしさたるや、すっかり魅了されてしまい放送を全収録したDVDも買ってしまうくらいサンデルに嵌まった。
この講義での生徒たちとの「白熱」の対話は『ハーバード白熱教室講義録』として全文を読むことができる。
その講義の基となったのがこの本であり、哲学書として異例のヒットとなった本である。

『これからの~』は正直いって哲学ビギナーには少しハードルが高い。
ビギナーにはこちらの『講義録』の方がよい。
「もしかして、哲学って面白いかも?」と感じられるかもしれない。
『これからの~』も『講義録』も今は文庫本になっているのでお財布にも優しい。

原題は『Justice ―What's the Right Thing to Do?―』
そのまま訳せば『「正義」―正しいこととはなにか?― 』くらいだろうか。
これを『これからの「正義」の話をしよう ―いまを生き延びるための哲学―』としたのは訳者のセンスか編集者の知恵か。
出版に限った話ではないが、ヒット作が生まれれば二匹のドジョウを狙ったものが雨後のタケノコのように出るのは世の常。
『これからの○○の話をしよう』『○○の正義』『○○大学の△△』的なタイトルの本が多数、世に出ては消えていった。

タイトルに話を戻そう。
実は英文での「Justice」と和文での「正義」はニュアンスが少し異なる。
近いニュアンスとしては「公正」あたりになるのではないだろうか。
訳者は、わざわざカッコをつけて「正義」としているのでわかっていながら敢えて「正義」としているのだろう。
サンデルの著作は色々なひとが訳しているが『これからの~』を訳している鬼澤忍さんのものが一番読みやすい。

ところでなぜこの本を読み直すことにしたのか。
実は色々と思うところがあってのこと。
それに関しては追々機会があれば書こうと思う。

今日、伝えたかったことはマイケル・サンデル待望の新刊が出ました。

『実力も運のうち ―能力主義は正義か?―』

訳者は鬼澤忍さん。
『これからの~』を読み直しはじめた翌日にたまたま出会った新刊の発売である。
昼休みに迷わず買ってきた。


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