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【歴史本の山を崩せ#045】『日本のいちばん長い日』星野之宣

≪終戦ドキュメンタリーのコミカライズ≫

これまで2回、実写映画化。
終戦ドキュメンタリーの定番、半藤一利の『日本のいちばん長い日』が上下二巻構成でまさかのコミカライズ。
しかも筆を執ったマンガ家は「宗像教授」シリーズの星野之宣という「昭和」の巨匠コンビによるコミックです。
星野之宣が描く半藤一利と聞けば、それだけでゾワゾワするひともいるでしょう。

大筋は半藤の原作に即していますが、ところどころ「漫画家の感想」として星野の「仮説」が前面に押し出されているところがあります。
歴史学的な側面からいえば史料的裏付けがない推論に過ぎないですが、「宗像教授」的な立場だと思ってみればマンガ家・星野之宣のエンターテインメント性を発揮しているところであるでしょう。
阿南惟幾の容貌が宗像伝奇に似ているのは単なる偶然でしょうが…
マンガといえども星野の重厚な筆致で紡がれる上下二巻は読み応え抜群です。

同じく半藤一利を原作とするこの時代のマンガといえば連載中の『昭和天皇物語』があります。
こちらも当然ながら終戦についても書かれることでしょう。
果たしてどのように書かれるのか。
本書と比べながら読む日が楽しみです。

『日本のいちばん長い日』
著者:星野之宣(漫画)、半藤一利(原作)
出版:文藝春秋
初版:2022年
本体:各1,000円+税

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