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漢文の海で釣りをして

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古今の漢籍が泳ぐ歴史の海に釣り糸を垂らし、釣れた漢文を我流な解釈で書き連ねたものです
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2021年3月の記事一覧

漢文の海で釣りをして【第1回】小さな春でも、春は春

漢文の海で釣りをして【第1回】小さな春でも、春は春

【漢文ってスゴいんです】 中国の大地に甲骨文字が生まれて爾来数千年。漢字で書かれた文章…すなわち漢文はその知恵を蓄積させ続けて、現代にまで読み継がれています。
歴史的に漢字を使用してきた国々では、ひとつの共通言語としての役割を果たしてきました。漢字文化圏において漢文は、国境はもちろん時代をも超えることが出来ます。
例えば『韓非子』に出てくる「矛盾」という言葉などは、千年前の中

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漢文の海で釣りをして【第2回】孔子の自己紹介

漢文の海で釣りをして【第2回】孔子の自己紹介

「憤を発しては食を忘れ、楽しみて以て憂を忘る」

≪意訳≫発憤すると食事をするのも忘れるくらい熱中し、興がのってくると心配事も吹き飛んでしまう。
≪出典≫『論語』述而篇

第2回目は漢文の王道中の王道である『論語』より。

いきなり脱線ですが『論語』は孔子の著作ではありません。孔子の死後、弟子たちが集まって亡き師を懐かしみ「先生はあんなことを言っていた」「先生とこんなこんなことをやった」というエピ

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漢文の海で釣りをして【第3回】わずかな変化をとらえられるか

漢文の海で釣りをして【第3回】わずかな変化をとらえられるか

「一葉の落つるを見て、歳のまさに暮れなんとするを知る」

≪訳≫桐の葉っぱが一枚落葉するのを見て季節が変わりゆくことを知る
≪出典≫『淮南子』説山篇

『淮南子(えなんじ)』は前漢の時代に淮南(わいなん)の王がお抱えの学者集団に編纂させた本です。日本でも有名な「塞翁が馬」という故事成語はこの本が出典。

さてさて。
アレンジされた「一葉落ちて天下の秋を知る」という句の方が膾炙していますが、オリジナ

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