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あのこのかみさま。

高校の時、1学年したの女の子と付き合う事になった。
くわしくはわからなかったが、彼女の母親は反対しているらしい。
俺だからなのか、男女交際自体が禁止なのか。

とにかく、なかなか会えはしない。
友達と会うと嘘を言って、彼女は俺に会いに来る。
だが、生真面目な彼女は
俺の事を母親に話し、認めてもらえるよう説得し始めたようだった。

そんな時、
彼女から呼び出されて会った。
『うちのお母さんの事恨んでる?』
いきなり、そう言われた。
恨んでなどいないから、もちろん否定した。

彼女の母親はずっと体調が悪いらしい。
その原因は…
『あなたの生霊がお母さんに憑りついてるって…』
彼女は涙ぐみながら言った。
それで、彼女がお母さんから預かってきたお守りを渡された。
肌身離さずに持っていろと言われた。
そうすれば、お母さんの体調は良くなると…。

もちろん俺は言う通りにした。
あらかじめ長いヒモがついていたから、ずっと首からさげていた。
だが、めずらしく体育の授業に真面目に取り組んだ時、
そのヒモが突然切れた…。

高校3年生になり、進路の事などで不安定な気持ちになっていた頃
彼女と別れてしまった。

あの頃。
携帯もなく、こちらから家に電話も出来ず、
彼女が公衆電話から電話してくる時間を待っていた。
手紙のやり取りで近況を報告し、返事を書く前に次の手紙がすぐ来た。

あの時。
『もう…お守り…持ってないでしょ?』
わざわざ別れ話をするためにやってきた彼女は
まず、そう言った。

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