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フクシキ


『複式学級』をわかってくれる人に出会わない。

たまたま出会ってきた人がそうなだけなのだが、ひとりぐらいはいても良さそうなものだ。

『フクシキ…学級?…なにそれ?』

と、不思議そうに言われるので、都度説明してきた。
小学校で言うと『1・2年生』『3・4年生』『5・6年生』といった形で2つの学年が1つの教室で勉強する。
時々、新入学生がいない年があったりするので、変則的になる。
僕も6年生の時は、一つ下の学年がいなかったので、その時だけは『6年生』だけの教室だった。

当時、複式学級では先生が黒板の真ん中に線を引いて、2つの学年を同時に教えていた。

先生は『じゃあ、今教えたところの、この練習問題やってて。』と言って、その間にもうひとつの学年の授業をしたりする。
1回の授業の間に2つの学年の間を行ったり来たりだ。
今思えば、普通に授業するのと比べたら、先生の負担や労力は結構大きかったのではないかなと。

ただ児童数は少ない。1学年が2、3人、下手すると1人だ。
だから、気を抜いてるとすぐ先生にバレる。
人数が少ないから、体育の授業は全校生徒でやったりする。
と言っても、せいぜい13人とか14人の話だ。

PTAも6、7家族で構成されてるから、全家族が何かしらの役員となり、順番みたいな形で誰かの父親がPTA会長になっていく。

こんな話をすると、僕の友人達は、ほとんど信じられないという顔で聞いている。

『えー!その学校まだあるの?』

と聞かれれば、もう無い、と言う事になる。
僕が中学生になった翌年には廃校になってしまった。
なんだかんだ愛着はあったので残念だった。
でも、この先、新入学生がいない事は近所を見渡さずとも明らかだった。

今年になって、初めて『私も複式学級なんです!』と言う人に、仕事先で出会った。
その人も『複式学級』を知ってる人に今まで出会わなかったらしい。

僕よりだいぶ年下のその人の話によると、近年の複式学級では、教室の前と後ろに黒板があると聞いて、なるほどなと感心した。

『複式学級』仲間との出会いは、思ってた以上の嬉しさがあった。
同席してた他の人間をほったらかしにして、2人にしかわからない『複式学級あるある』にほとんどの時間を使ってしまった…。







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