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お客様は大泥棒_02
また会った
彼女もすぐに私に気が付いた
定期的に通っている産婦人科からの帰り
彼女には私の姿がどう映っているっているのだろうか
コンビニとファミレスの前を素通りするバス停から乗ってきて
大きな駅まで行かずに早々に降りていく私を
「前に話したときのことなんですけど」
急に以前の会話の続きを始められると思ったほど
私が彼女のことをよく覚えていることを彼女が感じ取ったことを肌で感じた
「どんな
魔法少女にあこがれて
誰にも見えない、わたしにしか見えていない
自分の頭上近くを飛び回る妖精
わたしの話し相手
そんな小さな妖精を伴って日々歩いていた
自然と口元がゆるみ、周りを見渡したくなる
一緒に空を飛べたらいいのにといつも願っていた
ふわふわでうすい羽をキラキラさせながら自由に
ずっと忘れていた
あの妖精ちゃんはなんだったのだろう
思春期の私の頭の中にいた妖精ちゃん
具体的な思い出があるわけではない
けど密
お客様は大泥棒_01
通院の帰りのバスの中だった
何度目かのバスの中で
彼女は営業をしていると私に打ち明けた
きっかけは私が新しい職場への不安を口にしたことだった
私も昔営業してましたよ、と言いつつ
どんな営業してるんですか?と話題をふる
泥棒を職業にしてる人が顧客の営業をしてるんです
と彼女は言った
それも結構大きめな規模の泥棒をしている方を
不覚にも興味を持ってしまった
それ以上のことは聞けないまま、先にバ
出発前のディベートパーティ
実物は触れた瞬間に溶けた
パーティは立食だ
ピンヒールが光っている
こっちだって長い間我慢していた
腰に手を当てる特権を持ちながら
姿勢を保ってきた腰は
唇に触れられた瞬間に保っていられなくなった
身体が溶けるのと同時に視界が歪む
もうだめだ
ずっと耐えていたのに
こっちだってずっと甘えたかった
ピンヒールもシャンパングラスも投げ捨てて
一応ポーズとして驚いていることにしているが
さっきお手