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竹洞 陽一郎
2021年4月3日 17:12
訴訟の概要2020年10月20日、米国司法省と11の州は、Googleをインターネット検索市場やオンライン広告の独占の維持のために、反トラスト法(独占禁止法)に違反したとして、連邦地裁に提訴した。訴状は、インターネット上で公開されており、その詳細を誰でも読む事が可能だ。訴状を読むと、米国司法省と11の州が、Googleの内部情報や社員の証言、また密約の契約書のコピーも入手し、Googleが行
2021年4月3日 19:05
前回に続き、訴訟を読み進める。II. 当事者III. 司法権IV. 訴訟原因発生地については、翻訳を省略し、V. 産業の背景から翻訳を掲載する。V. 産業の背景27. インターネットは、人々がコンテンツを消費する方法に革命を起こし、それと共に企業が消費者に到達する為に購入する事ができる広告の種類にも革命を起こした。「ディスプレイ」広告と呼ばれるオンライン画像ベースの広告
2021年4月4日 13:29
この節では、Googleがどのようにして構造的に競争を阻害し情報を統制して広告販売において高収益を確保できているのかが書かれている。2. ディスプレイ広告の為の電子市場: 取引所とネットワーク42. 取引所やネットワーク:米国のオンラインパブリッシャーの大多数は、今日は広告市場を介して間接的に広告主に自分の在庫の少なくとも一部を販売している。CNNやウォールストリート・ジャーナルのような大
2021年4月5日 01:11
この節では、Googleがどのように不正に広告購入ツールからの入札のプロセスを見えないようにしつつ、Googleに有利になるように処理しているのか、具体的な説明が書かれている。3. 大小の広告主の為の広告購入ツール53. パブリッシャーが広告取引所で在庫を販売する為に広告サーバに依存しているのと同じように、広告主は、自社の利益の代理人として、専門の仲介者、広告購入ツールを使用している。大規
2021年4月6日 00:35
この節では、パブリッシャー広告サーバの一般的な機能を説明しつつ、GoogleがDoubleClick買収後、その圧倒的なマーケットシェアを背景に、如何にパブリッシャーにパブリッシャー広告サーバ経由で重い課金を課していったのかを解説している。VI. 関連市場とGoogleの市場支配力A. パブリッシャーの在庫管理: パブリッシャー広告サーバ1. 米国におけるパブリッシャー広告サーバは、関連す
2021年4月7日 01:41
この節では、Googleがディスプレイ広告取引取引所でどのようにして圧倒的なマーケットシェアを獲得しつつ、競合の取引所には広告在庫が流れないようにして競争を阻害し、自社経由の取引のみを優遇したのかが解説されている。B. ディスプレイ広告取引1. 米国のディスプレイ広告取引所は、関連する反トラスト市場である。71. 米国のWebディスプレイ広告取引所市場は、関連する反トラスト製品市場である。こ
2021年4月8日 03:08
この節では、ディスプレイ広告ネットワークで広告枠を販売している売り手が、地方新聞社、ニッチなメディアサイト、ブロガーなど、PV数やインプレッションが保証できない小規模なパブリッシャーであり、買い手が小規模な広告金額を使う広告主である事を利用し、落札価格や取引手数料を双方から隠蔽することで高額な手数料で稼いでいる実態を解説している。C. ディスプレイ広告ネットワーク1. 米国のディスプレイ広告ネ
2021年4月9日 09:00
この節では、ターゲティング広告で利用するユーザのデータをエキスポートできないようにすることで、スイッチングコストを高騰させ、ベンダーロックに持ち込む事で、高い課金を行った事が説明されている。D. 大規模・小規模の広告主向けディスプレイ広告購入ツール1. 米国の小規模広告主向けディスプレイ広告購入ツールは、関連する反トラスト市場である。87. 米国の小規模広告主向けのディスプレイ広告購入ツールの
2021年4月10日 22:54
この節では、・Googleがディスプレイ広告ネットワークと検索広告のマーケットシェアを利用して、広告購入ツールのマーケットシェアを拡大・広告購入ツールのマーケットシェアを利用して、自社の取引所でしか広告が購入できないようにして、取引所のマーケットシェアを拡大・取引所のマーケットシェアを利用して、パブリッシャーにGoogleの広告サーバを強制的に契約させて、広告サーバのマーケットシェアを拡大
2021年4月12日 22:42
この節では、Googleがウォータフォールとダイナミックアロケーションと呼ばれる方法によって、自社の取引所が広告在庫を、有利に落札できるようにした方法が解説されている。競合の取引所に動的な入札を許さず、過去の静的な入札価格を利用し価格を抑え込み、それより僅かに1セントだけ高い価格で落札した手法が説明されている。これによって、Googleの広告購入ツールのみが殆どの在庫を落札できるようにした。B
2021年4月14日 02:33
この節では、Googleがクリックフラウドならぬ、インプレッションフラウドによって、インプレッションを割増しつつ、確実にGoogleが全ての利益を獲得できるようにした手法が解説されている。また、プライバシー保護も、この競争優位性を維持するために大義名分として使っている事が述べられている。3. Googleは情報を制限して競争を封じ、自らを有利にする。125. Googleは、パブリッシャーが
2021年4月15日 08:00
この節では、ダイナミックアロケーションの拡張版であるEDA(Enhanced Dynamic Allocation)の説明と、EDAなどの活用によって、Yahoo!やMicrosoftといった大手競合も排除し、相場の2~4倍の手数料を課するようになった経緯が解説されている。4. Googleは、競合する取引所がパブリッシャーの高額在庫にアクセスするのを防ぎ、自社で利益を得ている。144. G
2021年4月16日 08:00
Googleが行っている競争を妨げて、Googleのみが利益を上げる行為をオンライン広告業界が黙って見ているわけではなかった。SSP(Supply Side Platform)の各社は、後に「ヘッダー入札」と呼ばれる手法を生み出し、取引所における入札をGoogleの広告サーバが行うより先に行い、明示的に最高値を提示した広告主へと卸す仕組みを構築した。この節では、ヘッダー広告の説明と、Googl
2021年4月17日 14:28
この節では、FacebookがGoogleがヘッダー入札に脅威を感じていることを察して、自身もヘッダー入札に参入して広告業界に協力すると公式にアナウンスしてGoogleに交渉に来させるように仕向ける壮大な計画を実行し、Googleとの合意に達する経緯、その合意のスクリーンショットなどについて解説されている。D. Facebook、違法な合意でGoogleがヘッダー入札を殺すのを助ける171.