断絶と孤絶の時代に抗して他者について考える
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断絶と孤絶の時代に抗して他者について考える

Takehiko Yoshida

優れた本を多々出版なさっている月曜社の小林浩さんにお声をおかけいただき、hontoのブックツリーに本紹介を書かせていただきました。とてもありがたいことです。ブックツリーとは、hontoが提供しているサービスのひとつで、テーマを決めて本を5冊紹介できるというものです。ぼくが声をかけていただいたのは小林さんがコーディネーターをなさっている「哲学読書室」というものです。

「哲学読書室」については以下のように説明されています。

知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。

「哲学読書室」ではとても良いテーマ設定で素晴らしい本がたくさん紹介されているので、お勧めです。ぜひご覧ください。

ぼくは今回、この記事のタイトルにあるとおり「断絶と孤絶の時代に抗して他者について考える」というテーマで選書しています。

ただ、ここでは他の方によって既に「哲学読書室」で紹介されたことのある本は除こうということと、あと品切れ本はそもそも紹介できないということで、載せられなかった本が幾冊もあります(どのみち5冊しか紹介できないのですが)。ですので、このテーマならぜひお勧めしたい本を、一部ですが改めてここで紹介していきます。

1.ジュディス・バトラー『自分自身を説明すること:倫理的暴力の批判』佐藤嘉幸、清水知子訳、月曜社、2008

月曜社さんのシリーズ「暴力論叢書」(ぼくが知る限りでもっとも優れた叢書)のうちの一冊です。残念ながら品切れですが、これはどのような手段を用いても入手すべき名著です。

これはぼくにとって常に生きる上での指針になってくれる素晴らしい本です。ちょっと引用してみましょう。

私たちは、倫理とはまさしく非知の瞬間に自分自身を危険に曝すよう命じるものだ、ということを認めなければならない。[…]しかし、それはまたチャンス――呼びかけられ、求められ、私でないものに結ばれるチャンスでもあり、また動かされ、行為するよう促され、私自身をどこか別の場所へと送り届け、そうして一種の所有としての自己充足的な「私」を無効にするチャンスでもある。もし私たちがこうした場所から語り、説明しようとするなら、私たちは無責任ではないだろうし、あるいはもしそうであれば、私たちはきっと赦されるだろう。

『自分自身を説明すること』p.248

これ以上の言葉は不要です。ぜひお読みください。

2.スーザン・ソンタグ『他者の苦痛へのまなざし』北条文緒訳、みすず書房、2003

これもまた名著。本書については下記で紹介しているのでよろしければお読みください。上記の暴力論叢書やバトラーについても触れています。

3.保苅実『ラディカル・オーラル・ヒストリー オーストラリア先住民アボリジニの歴史実践』御茶の水書房、2004/岩波書店、2018

これもまた名著です。研究テーマとしても学ぶところが多々ありましたし、何よりも研究をする、研究者であるということ、その姿勢や美しく生きるということについて、常に参照点になってくれる本です。ハードカバーの方はまだ手に入るのかな。これ表紙がとても美しいです。『ラディカル』についても以前に触れていますので、よろしければぜひ。

というわけで、再び自著についての広告を……。本当に良い本なので、ぜひ……。

いま気づいたのですが、リンク先の目次紹介の第三章、「神様の未来」となっていますが、これ「別様の未来」です。神様の未来って、それはそれで面白そうですが、ぼくらは神ではないので、これでは困りますね……。

出版社は共和国。魅力的なラインナップを出し続けている、いまもっとも注目すべき出版社の一つです。

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Takehiko Yoshida
環境哲学/メディア論研究者。非常勤講師とフリーランスのプログラマをしながら生きています。読むのも書くのも自然言語もプログラミング言語も好きです。要するにまあ、大体何でも好きです。 https://yoshidatakehiko.com https://cloud-leaf.com