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【N高政治部】枝野幸男さんの特別講義の内容と感想をN高生目線からお届け!

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講義を見る(特別講義のYouTubeのアーカイブへ)
↑この記事で紹介されていない枝野さん自身の面白いエピソードなど
たくさん紹介されていますので、ぜひ試聴してみてください!

前回の記事を見る(前回の三浦瑠麗さんの特別講義の記事へ)

今回は11月13日に行われたゲスト講師の枝野幸男さんの特別講義の様子をご紹介します。

枝野幸男さんは立憲民主党代表としてご活躍されていて、民主党政権時は官房長官や経済産業大臣などを勤められました。

今回の特別講義は衆議院第二議員会館で行われたということで、高校生にして議員会館に入るというとても貴重な体験をさせてもらいました。こういう場所に入るのは初めてだったので、とても嬉しかったですし、本当に政治部に入れて良かったと改めて感じました(^^)

今回は枝野さんの特別講義三浦瑠麗(N高政治部特別講師)さんとの対談みんなの質問コーナー全体の感想という順番で講義の内容と僕自身の考えや感想をお伝えします。

この枠内に書かれた文章は僕個人の意見や感想です。

▪️特別講義: 若い頃から今までのご自分の人生にひきつけた失敗の経験といかに人間はそうしたものを乗り越えられか。

枝野さんは「失敗を失敗として引きずらない」タイプ

例:
・枝野さんは高校生の時あまり勉強をされなかったらしく、行きたいと思っていた大学に行けずに別の大学に行った。
→それは失敗かもしれないけど結果としては、その後の枝野さんの人生にプラスになった。
・大学受験がうまくいかなかった理由は英語が苦手で、高校時代や中学時代から英語の勉強をしてこなかった。
→司法試験には英語がないという消極的な理由で受けたが、結果的に枝野さんには非常にむいている試験で、司法試験が苦にならずに合格することができた。

英語が苦手で大学受験がうまくいかなかった分だけ、他の高校時代の財産があるという考え方

失敗は失敗だけど、その失敗にこだわるよりは別のところに何かプラスがあるはずだ、という意識でここまで乗り切ってきた。
政治家になると応援してくれる声がある一方、罵詈雑言を浴びせられる時もあるが、あまり気にせずにいられるのは、世の中にはマイナス部分があったら必ずプラスの部分があるという問題意識でやってきたから。

政治家はメンタル的にも大変な仕事だと思いますが、このような考え方が根底にあることで政治家を続けることができるのだなと納得しました。

<まとめ>
失敗は皆必ずするもので失敗して反省して改めることはとても大事だが、100%の失敗ではなく、その結果何か他に良いことがあるという考え方も大事。

これから先自分も大きな失敗をした時、その失敗で落ち込むよりもなるべく早くに立ち直れた方がいいのではと考えていましたが、「失敗を失敗として気にしすぎない」この考え方は立ち直るための大きな支えとなるような気がしました。


▪️三浦瑠麗さんと枝野さんとの対談

今回の対談は事前に募集した生徒たちの質問に答えていくという形で進行されました。
実際の話をだいぶ要約して紹介していますので詳しくはこちらをご覧ください。(→講義を見る

SNSの問題

SNSで嘘でも面白ければいい風潮や誹謗中傷によって被害者が自殺してしまう事例がありますが、こうした現象をどう見ておられますか?そして政治として何かできることはあるのかお聞かせください。

枝野さん:裁判所や警察に、誹謗中傷などに対してちゃんと対応させる流れを政治の方で作っていくのがいいと思います。これを政治が直接やってしまうと言論の自由などが絡んできてしまいますからね。
三浦さん:そうすると表現の自由ということを重視しながらも個人の救済は司法の場でということですが、枝野さんは弁護士でもあられるわけで、ここらの壁をどう見ておられるのでしょうか?
枝野さん:司法の世界ってどうしてもワンテンポ世の中に遅れがちではあるんですが、だいぶこの手のものに対して積極的に民事で損害賠償を認めるだとか刑事的に動くようになってきました。法律としては自殺に追い込むようなツイートなどは民事的にも刑事的にも対応できる法律になってますので、それをどれくらいきちんと運用するかだと思います。

悪意のある投稿に対応できる法律になってるということなので、被害を受けた方は1人でそのことを隠して自殺したりせず誰かに相談することが一番大事な行動だと思いました。

枝野さんのTwitterの返信欄(リプライ)には否定的意見もあり政治家はこうした否定的な意見をぶつけられがちですが、枝野さんは1人の人間として本当のところどう思っておられるのでしょうか?

枝野さん:返信欄は見てませんし、ミュートをかけていますので否定的な意見は見ていないです。ですが反対的な意見も聞かなければいけませんので、フォローしてくれている人たちが否定的な意見を取り上げて「これは一理あるよね」みたいなときは、それを追いかけていく形ですね。政治家じゃなければもっと見る必要がないので、基本的に見ないのがいいと思っています。
三浦さん:SNSが仲間内でいじめに使われてしまった場合どうしたらいいのでしょうか?
枝野さん:仲間内でのいじめの方が深刻度高いと思いますが、表現の自由などに絡めた問題ではなく、いじめを見て見ぬふりをする社会という構造の問題の方が大きいと思います。

シルバーデモクラシーと若者

若者の投票率が低いと報道されシルバーデモクラシーも強まっています。政治家としていかに若者の政治意識を変えようと思っておられますか?

枝野さん:介護や年金などお年寄りの話だと思いがちですが、実際は若者たちへの制度ですからね。もし年金制度や介護保険がなかったら、ご両親の定年退職後の生活費をあなたが全部負担しなければなりませんし、寝たきりになったら全部あなたが面倒を見なければなりません。介護保険や年金がしっかりしているほど、あなたの親や祖父母に対する責任が小さくなるのです。なので年金制度の充実は若い世代が好きなことをできるための制度なのです。このことを政治が言わないから年金や医療や介護などはお年寄りのための政策で若い人は無視されているという誤解が生まれるし、これを説得しない限りは若い人たちの政治意識やシルバーデモクラシーを変えることには繋がらないと僕は思います。

自分的に今回の講義で一番納得した話でした。自分を含め若者は自分は政治と関係ないと思いがちですが、それは間違っていて政治は自分たちの暮らしを良い方向にも悪い方向にも簡単に傾けてしまう存在なんだと感じました。


立憲民主党の若者に対する政治戦略はどのようなもので、また若者に向けた調査などは行っていますか?

枝野さん
:政治に関心がない人に政治に関心持てと言ってもダメだと思うので、自分の趣味の話などをガンガンして、同じ趣味の人を取り込む、こういうところからでないと政治に関心持たないと思います。実際に政治に関心を持たなくても済むような社会に生きてますから。
三浦さん:若者は何を考えているかなどの調査を統計的に取られたりしているのですか?
枝野さん:調査は時々行い、世代別の傾向を把握することはできるのですが、調査に答える若者自体が意識が高い人だと思います。なのでその調査だけを頼って判断すると間違うと思っています。
三浦さん:若者は「どちらでもない」、「わからない」という選択肢を選ぶ人が多いのですが、それを見て「若者は意識が低いのではないか」、「若者は人生経験がないから意見形成できてないのではないか」という見方もあるのですが、どう見ていますか?
枝野さん:僕は逆の考えで、若い人ほどピュア度が高いと思うので、若い人はどの人に投票すればいいのか分からない人が多いんですよ。でも大人もそれが分からない人が多い思うので、まず最初は分からなければ分からないこと前提に分かる範囲で判断し投票する、それが民主主義だと思います。
三浦さん:そうですね。やっぱり大人の方が自分が選んだ選択肢が絶対に正しいと思いがちなのに対し、若者はそこまでの自己主張が強くないということかもしれませんね。

政治家というとなんとなく固いイメージを持つ方が多いと思うので自分と趣味が合う政治家がいれば親近感が湧いて政治への入り口としてすごく良いと思いました。

教育

ご自身の高校生活を振り返って学生にしかできない事やしておくべき事はありますか?

枝野さん:人生って何が役に立つかは分からないので、今関心があることを一生懸命やるのが良いと思います。

日本の学校教育のあり方についてどう思われますか?

枝野さん:都市部は色々な選択肢がありますが、地方に行けば行くほど選択肢が無くむしろ単線が強まっていると思います。これは子供たちにとっても、日本の将来にとってもよく無いことだと思います。
三浦さん:飛び級についてはどうお考えですか?
枝野さん:私立の高校では全員が飛び級のようなことをしているわけで本質的な問題では無い気がします。

地方の子供と都市部の子供との選択肢の差を埋めるものとしてインターネットの存在はこれからの時代欠かせないと思いました。N高が人気があるのも、その一つだと思います。

環境問題とゼロエミッション

菅総理は2050年までに温室効果実質ゼロを掲げ、これを達成するために原発の再稼働を進める方針を示しています。立憲民主党として、ゼロエミッションに向けた綿密なロードマップを独自に作成する予定はありますか?また東日本大震災の時の官房長官としてどんな思いを抱えておられますか?

枝野さん
:ここから30年の技術は全く分からないので、2050年までの綿密なロードマップを作ってもそれは嘘でしか無いと思います。ですが2050年までに温室効果ガスをゼロにする目標値を掲げるのは良いと思います。
僕はエネルギーの問題は火力を大幅に削減しても(ゼロにする必要はない)、エネルギーは足りるくらい再生可能エネルギーの能力は高く、 30年もあれば十分整備できると思います。後は蓄電ができないのが自然エネルギーの弱点ですのでそこをしっかりやり、送電線を国の責任で引くということをやれば良いと思います。原発をやめていくにあたって原発を受け入れるので国の補助金が出ていたような所の雇用をどうやってソフトランディングさせていくか、使用済み核燃料をどうするかという話の方が実は課題だと思います。

エネルギー問題において自分は原発か再生可能エネルギーかというポイントしか考えてなく、原発で生まれる雇用のところまで目を向けていなかったので、なるほどと思いました。

働く人や親への支援

賃金の上昇や仕事の効率化を目指していく中で様々な事情を持った人たちが安心して仕事に取り組める社会を実現するためにどんなことが必要ですか?

枝野さん:兄弟が多いと言ってもお金持ちの家にとっては僅かな額だし、貧困世帯には足りない額になってしまうので、高校や大学を無償化にしてハードルを低くするなどして、お金を配るのではなく、サービス自体を安くまたは無料で提供するの方にシフトしていくのが良いと思います。
三浦さん:共働きのあり方と子育ての支援との絡みをどういうふうに調整していくべきでしょうか?
枝野さん:日本は夫がたくさん稼いでいて専業主婦が軸の女性があまり稼ぎすぎると損をするという税制だったりするので、共稼ぎによって生じるデメリット分を小さくしていくことが良いと思います。

子育ての費用と老後のための蓄えを管理しなければいけない今の現状は確かに負担が大きいと思いました。もう少し子育ての負担が小さくなれば、少子化問題も少しは改善されるような気がしました。また教育費に関してネットの意見を見ていると、海外の留学生よりも日本の貧困の大学生にもっと支援金を回して欲しいという要望がたくさんありましたので、この問題にも取り組んで欲しいと思いました。

所信表明

先日行われた菅総理の所信表明に苦言を呈されていましたが、ご自身が総理になった場合どのような所信表明するか詳しく教えてください。

枝野さん
:今の日本社会は競争ばかりにウエイトをかけすぎていて、自己責任を強いる社会になっていて、本当は 困って助けを求めたい人たちが声をあげにくい社会になっている、それがコロナで非常にひどくなっているので、政治がちゃんと困った時に支えるんだという役割を果たしていって安心を作っていくことが今の政治の最大の課題だということを所信表明すると思います。
三浦さん:菅さんの理想する社会像と枝野さんの理想する社会像はどのように違いますか?(前回のオリエンテーション講義で菅さんと枝野さんの自助の考え方が似ている話があった。→前回の記事へ
枝野さん:僕も昔は自助努力などにウエイトをかけていました。ですが2005年くらいに方針転換して東日本大震災の時に確信を持ちました。
皆が個人で自助努力してるけど、どうしたって自助努力だけではどうにもならないことがあるから、政治があるので、自助努力を政治が言ってしまったらおしまいだと僕は思っていて政治はこれをもっと強く意識しないといけないと思います。

この話はコロナ禍があったからこそ、よく理解できた話でした。一生懸命働いていてもコロナのせいで仕事がなくなってしまうとても理不尽なことが起きてしまった中、自助努力という言葉で片付けられない事だと思いました。東日本大震災の時、官房長官だった枝野さんがこの話をすることで、とても説得力のある話でした。

▪️みんなの質問コーナー

講義を見る(みんなの質問コーナーはアーカイブの52:50あたりからです。ぜひご覧ください。)

Q:憲法改正について憲法審査会が開かれていない状況があると思います。憲法は国民の権利を記したものであって、現行の憲法だけでは対応できない部分も実際出てきています。にも関わらず、海外に視察に行って1人200万円の視察費がかかってる中、憲法審査会が開かれていないのが現状ですが、それについてどうお考えですか?
A:憲法審査会は安倍さんの思った通りに進んでないだけで開かれてますよ。憲法は与党と野党が喧嘩して変えてはだめで、与党と野党が一致して変えなければいけないです。なぜならどちらが政権を取っても、この枠の中でやりましょうというのが憲法だからです。その憲法のルールを与野党で喧嘩して意見が別れているのを進めようとすること自体、憲法が何のためにあるか分かっていないから進まないんです。

憲法審査会は開かれているとはいえ、流石に何も進まなすぎだと思いました。与野党喧嘩しながら進めるのは確かによくないと思いますが、憲法は国の根底の部分で国民のための憲法でもあるので、与野党の喧嘩という理由だけで進まないのは納得がいきませんでした。またこの大事な問題をもっとテレビ中継などで取り上げて欲しいと感じました。

Q:若者の政治参画と教育についてお聞きしたいのですが、若者が社会を変えられるんじゃないかという感覚を手に入れることが大事だと思っているのですが、一方学校で校則があまり変えられないだとか、生徒会があまり機能していないという問題があって、学校で市民的な要素を学ぶ機会が少ないと思います。高校生があまり社会を動かせる感覚を持てていないのが投票率が低い原因だと思っているのですが、枝野さんの意見をお聞きしたいです。
A:若い人は政治を動かしていないかというと動かしています。特にブラック校則の問題は社会的な問題になって、校則を変えざるおえなくなってる学校が大幅に増えて社会を動かしています。なので自信を持って動いてみたらいいです。

▪️全体の感想

たくさんの社会問題について政治家の意見をこれだけ間近で聞けるのは本当に貴重で楽しい体験でした。この講義を聞いて共感することも大事ですが、ここは違うなと自分で感じた部分などは変えずにそのまま取っておくことも大事なことだと感じました。


とても長い記事になりましたが、最後まで見てくださりありがとうございます。この講義の感想や記事への感想などありましたら、気軽にコメントしていってください。
次回もお楽しみに!

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