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観光庁公募「地域観光新発見事業(一次公募)」採択結果について

昨年度から訪日インバウンドは回復傾向となり、主要観光都市に偏ったオーバーツーリズム対策が待ったなしとなっているが、地方誘客を目的として新しい観光コンテンツ開発の必要性が高まっており、観光庁より3月8日~4月17日まで「地域観光新発見事業」の公募が行われ、5月29日に一次公募の採択結果が発表された。竹原市または竹原DMO(一般社団法人竹原観光まちづくり機構)でも地域の要望を受け事業連携を含めて複数の事業案を応募し、観光による地域内活性化に向け事業計画案を練り上げた。


「地域観光新発見事業」とは

-「事業目的・背景・課題」

観光庁公式サイトによると、事業目的・背景・課題は以下の通りだ。

  • 観光需要が本格的に回復する中、観光客の宿泊先はインバウンドを中心に都市部へ偏在傾向。観光による経済効果を地方にも波及するためには、特に地方部の地域間競争力を高め、地方誘客を強力に進める必要。(国内外の観光客の地方誘客を促進するため、本事業では、インバウンドに限らず国内観光客の地方誘客に資する観光コンテンツの造成を行うことができます。)

  • 全国津々浦々に埋もれる地域の観光資源を掘り起こし、地域の多様な観光コンテンツを造成するとともに、適時適切な誘客につながる販路開拓や情報発信を行うことにより、地方への継続的な来訪を促進。

国内のオーバーツーリズムの事例は、バスケ漫画”スラムダンク”で一躍有名になった江ノ電鎌倉高校前駅踏切周辺や、山梨県富士河口湖町にある”富士山ローソン”が有名だ。地元の方々は想定していない事態が訪れたことになってしまったが、どちらも首都圏から日帰りで訪問できる距離で、東京に近いということもオーバーツーリズムの大きな理由のひとつになっていると考えられる。

-オーバーツーリズムの海外事例

オーバーツーリズムの事例は国内だけではなく、海外でも深刻で、タイ南部にあるピピ・レイ島のマヤベイが一例だ。2000年に上映されたレオナルド・ディカプリオ主演「ザ・ビーチ」で一躍有名になり、もう24年も経った今でも爆発的な数の訪問者が後を絶たない。2018年にはオーバーツーリズムによる環境保全の理由で遂に一時的に閉鎖が決まった。その後も、状況に応じて解除と閉鎖を繰り返している。現在は24年7月末まで入域が許可されていて、入場に1名につき400バーツ(約1700円・5月31日現在)を徴収しているが、海外観光客の数は衰えを知らないようで、アジア有数の観光立国での環境保全対策に管理当局はかなり苦慮されてるのが伺える。

ピピ島への玄関となるプーケット島

竹原DMOが連携した採択事業「しまなみ映画祭2024」

-しなまみ映画祭2024とは

オーバーツーリズムの話が少し長くなってしまったが、今回、竹原DMOも連携する「しまなみ映画祭2024」が無事に採択された。しまなみ映画祭についてすこし説明したい。

まだ企画段階でアイデアを練っている段階だが、
しまなみ映画祭とは
しまなみエリアの島々をISLAND HOPPING(島巡り)しながら楽しむ、「海遊型映画祭」
4つの島を舞台に、映画を軸に音楽や食などのコンテンツも織り交ぜた幅広い層が楽しめる3日間のお祭りを夏の終わりに開催。

そして、コンセプトは3つ

海をつなぐ、海遊型映画祭
⽂化の醸成、カルチャーのアップデートを
未来につながるメッセージ

開催時期は9月末ごろを予定しており、4つの島とは、

  • 生口島

  • 因島

  • 大三島

  • 大久野島(竹原市)

大久野島はしまなみ海道から外れるのでは?というお声もいただくが、竹原港から瀬戸田までスピードボートで約20分、大久野島は大三島にもフェリーでつながっており、しまなみエリアのひとつの島として映画祭事務局からお声がけいただいた。

しまなみ海道と多々羅大橋

-しまなみ映画祭実行委員会

しまなみ映画祭の事務局は、しおまち企画が担当する。代表の小林亮大氏は
東京から瀬戸田に移住。30年先を見据えた町づくりを手掛けており、課題解決に向かうその活躍と姿は瀬戸内エリアで極めて代表的でありシンボルで、2023年には、フォーブスジャパンの30UNDER30にも選ばれている。
竹原DMOが小林氏と向き合う中でその熱い想いを映画祭の企画とコンセプトから受け止めることができ、しまなみエリアでの未来へのメッセージをのせた心意気に感じ入った次第だ。

-映画祭に向けて

小林氏と4つの島のメンバーの熱い想いを受けて実行委員会が立ち上がっている。メンバーのひとつである竹原DMOは設立してまだ1年と少しで、しまなみ海道のメンバーが手掛けるような大型のイベントの経験もない。委員会のメンバーは、よちよち歩きの我々に寄り添い、快くアドバイスを送り続けてくれている本当に頼りになる仲間だ。しかし、採択結果の喜びの裏腹に、予定している開催までもう4か月を切っている。うさぎで名をはせた大久野島で特色あるしまなみエリアの島々と連携しながら、新しい姿を見せることができるか大きな挑戦に向かうことになる。この映画祭をきっかけに、コンセプトの通り「海をつなぎ、文化の醸成とアップグレード、そして未来に向けたメッセージを送る」機会としたい。この大きな挑戦の開催までの進捗についてまた報告する機会があれば、こちらでお知らせしたいと思う。新しい映画祭の今後を見守っていただきたい。