痛みを知った娘が優しくなった話
昨日、保育園にお迎えにいくと、ムスッとした娘が先生と手を繋いでいた。
こちらに気がついても、いつもの笑顔がなく、むしろ少し怯えているようだった。
先生に詳しく話を聞くと、自分が遊んでいたおもちゃを年上に男の子にいきなり取られたとのことだった。
取られたことに怒ったのではなく、その勢いに驚き恐怖してしまったようだった。
その男の子は先生に怒られたらしく、娘も納得はしているけれど、恐怖心が取れない感じだった。
僕はこういう時、しっかりと話を聞くようにしている。思っていることやまだ言葉にできない脳にある感覚を整理させることを大切にしている。
これをしないと、寝ている時に夢を見て夜泣きをしてしまう時さえあるのだ。
「〇〇ちゃんがいきなり取ったの」
「怖かったの」
と必死に思いを伝えてくる娘の話を必死に聞いた。娘もだんだん落ち着いてきて、最後は
「〇〇ちゃんダメだよね〜」
と言えるまでになった。
落ち着いたのを見計らって、下の子の保育園に向かい、家路に着いた。
いつも家に帰ると僕は夜ご飯を作り、その間子ども達は各々で遊ぶ。そして大抵の場合、下の子と上の子が揉める(苦笑)。
「やめて!」
「邪魔!」
など言いたいことを言い続ける。
でも昨日は様子が違っていた。上の子がなぜか下の子に優しい。おもちゃを渡したり、頭をよしよししたり、今まで見たことがない光景だった。
娘は成長していたのだ。
自分がやられて心から嫌だったことを自分より弱い人間にはしない。むしろ優しく、自分がして欲しいと思うことができるようになっていた。
今朝起きても、いつもは弟に「嫌だ!!」という娘が、座った膝に弟の頭を乗せてよしよししていたのだ。
子どもは純粋に色々な経験をする。親にとっては守ってあげたいこともある。でもその経験を自分自身で受け止め、咀嚼し、解消することで子どもは成長していく。
これからも親ができることと親がやるべきことを見極めながら、成長を見守っていきたいと思う。
父 竹鼻良文
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