人工知能になってみる試み×OS的思考の建築×与えられてからどう育てるか
この住宅はテクノロジー時代を予見し、2009年からリサーチを開始して、建築家のエゴやマニフェストを捨て、クライアントや環境などの情報だけで家のデザインを試みたリノベーション作品です。
このリノベーション案件の当初の目的は
「クライアントだけの家(本当のオリジナリティ)を創造する」
「ビックデータ(もどき)で建築を構築する」
「未来のデザインや建築を想像する」
などでした。
2年以上かけて四季それぞれ何日間かクライアントと生活をさせていただき、さらに他のリサーチも含め、大量の情報を模型や図面に落とし込みながら、リサーチ開始から2年半後に工事着工となりました。
リサーチした大量の情報を「過程」として残すことが不可能だと判断し、デザインにおける「プロセスの消失」を決断しました。これは人工知能が出した結果を人間が理解できないのと同じです。
常に結果のみで進められる建築の構築を信じながらデザインを進めました。
この住宅から得られたこと
・記憶のリノベーションが可能
・新旧デザインのコミュニケーションが生まれる
・人間は与えれる道具と化す
・与えられた後に何をするかが大切と分かる
など。
引渡しの日、クライアントに「確かに全く新しいのに過去の記憶が蘇る不思議な感覚になる」と言われ、子ども達は初めての空間なのに怖がることなく走り周り、情報にない可動式収納を通路に置くと「怖い」と言い始めました。
経験のない壁(可動式収納)を設置してみる
身体が持っている記憶の情報と空間が持つ経験の情報がリンクした瞬間でした。
この住宅作品の経験がTAKEHANAKE design studioオリジナルの思想「与えられるデザイン」に繋がります。
以前のブログをお読みください。
なぜOSなのか。
それは私個人の理想やマニフェストを入れず、情報だけで「箱」を作ったからです。そしてこの手法はどのクライアントにも適応できます。この作品を作ったのち、私は自分オリジナルの「アプリケーションやツール」探しをすることになります。
これから人工知能建築家(https://www.ipa.go.jp/jinzai/advanced/2017/gaiyou_h-1.html)が合理的で多様な建築を生み出す可能性があります。
しかし基本はこのOS的思考の建築のようなデザインや仕組みにどのようなアプリケーションやツール(オリジナリティ)を組み合わせるかが大切になると思います。
この理解があれば、人工知能が生み出す多様性だけではなく、人間が生み出す多様性にも可能性を感じることができます。
テクノロジーを駆使することだけが、これからの時代を生き抜く方法ではなく、どのように共存し、どのような自分らしさを挿入していくかが重要になると思います。
そしてこの考えはシンギュラリティなどの時代が来なくても有効な思考だと思います。
TAKEHANAKE design studio
竹鼻良文
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TAKEHANAKE DESIGN STUDIO
KURA COCOLONO
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