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読書メモ:米粉調理で広がる世界

米粉パンに関する美味しそうなレシピってたくさんありますよね。

レシピ通りだと美味しいものも、米ぬかを入れたりおからを入れたりとアレンジが酷くなるにつれ、思ったような仕上がりにはなりません。


アレンジをうまくできない原因を考えてみると、
米粉の特性やどうやったら美味しいパンになるかなど、理論の知識が一切ないことがあるなと。


せっかく趣味として続けていくのであれば、もう少し根っこのところも勉強しようということで、↓の本を読んでみました。



レシピに関する書籍はたくさんあるのですが、目当ての内容が書かれた本を探すのに一苦労…
最終的にこちらを選んだ理由が序章に書いてあった↓の文。

米粉を使ったレシピ本は書店でも多くみられるが, 米粉調理に関して調理科学的視点からとらえた本はほとんどなく, 調理科学研究者の研究報告も情報発信としてはまだ学会誌等にとどまっていることが多い。

『米粉調理で広がる世界』序章より

まさに!
調理科学的視点(初めて知った)を求めていたんですね!笑


内容はなるほど!と思うことが多く、とても学びになりました。
書籍ですので、今の課題感にあった2点に絞って紹介させていただければと思います!






1. デンプンの糊化度が食感に影響する

第2章「小麦粉と米粉」の中で、
小麦粉で作ったお菓子における水分量とデンプン糊化度(※)の関係性について調査した論文が紹介されていました。

(※) デンプンの糊化
生のでんぷんを水と一緒に加熱すると柔らかくなる現象のこと。
宝酒造さんの解説がイラストもあってわかりやすいです。


小麦粉を使ったクッキーの実験ではありますが、
加える水の量が少なくなると、加熱中にデンプンの糊化が十分に行われず、粉っぽさを感じることがある、とのこと。

「パサつくのは水分が足りないから」までは想像できますが、
その間にある現象がわかってスッキリ。

小麦と米の違いはある(本書でも言及あり)ので、結果をそのままとはいかないかもしれませんが、原理としては参考になりますよね。


元の論文からグラフを引用させていただくと、水分量と糊化度には高い相関があることが見て取れます。

市川 朝子, 佐々木 市枝 (1986)
小麦粉の加熱調理に関する研究 (第2報)
焼き菓子製品中のデンプンの糊化度




2. 換水値を使った水分量の計算

では、必要な水分量はどうやって計測するのか。
こちらについてもヒントが書いてありました。

卵や砂糖などの添加材料は生地に直接水を加えるわけではないが, それを加えることで, ある程度水を加えたときと同じような影響を生地のかたさに与える。その程度を, 水を1としたときにどのような値になるかで示したものが換水値を計算するための換算係数である。

『米粉調理で広がる世界』第3章より

こちらの「換水値」の概念を使い、粉100gに対してトータルの「水」が何gになると良いかを考えるそうです。
本書では蒸しケーキの場合で理想の数値が記載されていました。


ただ、換算係数や換水値は食品成分データベース等にも載っていないのですね。
パンやお菓子作りで使用される材料しか調査対象にならないのかも?


メインどころの材料では記載があったので、参考にしてみようと思います!




まとめ

紹介させていただいた内容の他にも発見は多くありましたし、
この後読んでみたい参考書なども見つかりました。

米粉でパン作りされる方に、ぜひおすすめです!

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