見出し画像

Ortance - SCENERY (2023)

初夏の拝聴感想文。坪口昌恭さん率いる Ortance の新作を全曲通して CD で初めて拝聴した時の感想文です。勢いが重要だと思ってあまり文章を編集していない投稿です。まず聴き始める前に CDDB 情報を記入して gnudb.gnudb.org にサブミットしました。

Ortance - SCENERY submitted to CDDB

Ortance - Scenery (2023)

01: Jungle Peace
オーケストラヒットを聴いた瞬間、真っ先にマイルスデイビスの Tutu が頭に過ぎった。曲調は陽気でありトリッキーに聴こえ、これからの8つの情景に期待が膨らむ。

02: Ordinary Smile
西田さんのギターが左に居て、坪口さんのシンセがワイドに広がって、大井さんのキックドラムがビートを支える様は、Ortance の定位置と感じる。強調されたハイハットの最高域が耳の掃除をしてくれるかの様に心地よい。シンセソロからの飛躍する間奏の展開の気持ち良さ。ヴォーカルのメロディラインの 16 分音符の譜割に少し 80 年代のジャパニーズポップスを感じた。

03: Sentinel Island
おっ、Transformer 的なベースラインを軸として、Giant Steps 的なハーモニーが来た。右のグランドピアノと左のエフェクティブギターの掛け合いは、ライヴで観た坪口さんと西田さんの面白いトークの掛け合いそのもの。この曲はまさにジャズミュージシャンにしか創れない人力テクノハウスミュージックだ。キックとハイハット本当に生演奏なのっ?と思うほどにタイトである。

04: Warm, Snow Light
ピアノの後ろでなにやらグラニュラーちょい出し的にグリッチフィードバックされてる音、これを僕は望んでいるんだよね~。短いなと思ったけれど、3:23 ある事にちょっと時間間隔の妙を覚えた。

Ordinary Smile Lyrics

05: Milky Wave
この曲は大いに聴き覚えがある!歪んだキック、ラテンパーカッションのリズム、徐々に明るくなるシンセパッド、5:06 からの半音階で上がり下がりするコードからのレゾナンシーなアシッドベース。ストリングスオブライフならぬ、シンセブラスオブライフ。

06: Candle
インターリュード。ヒートアップしたところを一休み。坪口さんの多重ソロライヴ的。ランダムチックな低域シンセは、ハービーハンコックの Dedication (1974) の B 面の遊び心みたいな。

07: Break Polar
切れ間の極地。曲全体がブレイクパートみたいに思える。ステレオに広がる低域と、マシンドラムの音色が落ち着く。が、後半の張り付いていく緊張感と壮大さ。

08: Must Not Be Lost
きっと配信等では不本意な曲の始まりになるのかも。Break Polar の残響テイルからこの最後の曲にギャップレスで聴けるのは物理メディアの特権か。ピアノに断片的なフィールドレコーディングノイズのようなテクスチャーが絡む。いやこれはギターエフェクトか。Warm, Snow Light が A 面最後の曲とするならば確実にこれが B 面最後の曲ですね。

Back Cover Credits

オンラインで聴くだけなら無料、とかほんっと今更ながら関心します。

Ortance Discography @ YouTube Music
(music サブドメインではなく www としてのリンク)
https://www.youtube.com/channel/UCys-Z9cQ0lbzcLsX9nFOnOg

物理的にアーティストを応援します

Ortance - Scenery (Full Tracks List) (Official)

サブスクという概念すらもう古いとも思える。YouTube のようにインフラ、ライフラインとして成立した段階で空気のような存在になるんだろうと。

--

福島武司(武茶:たけちゃ)より。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?